#148 ブルーベリーパンケーキとモカ・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月14日(水)14日目・・・5
英会話スクールを終えて、初めて飲食店に入る。しかも1人で。
CLINTON ST. BAKING COMPANY & RESTAURANT (クリントンストリートベーキングカンパニー)へは予約もせず、英語も話せず、お金の払い方やチップの渡し方もわからず、チップの金額も見当がつかない。
こんなトンチンカンなまま入店して大丈夫かと、一瞬戸惑った。
でも、尻込みしていてはいけない。勇気を出すんだYUKIE、頑張れ、YUKIE。
旅の恥はかき捨て。ここで恥をかいても私1人が記憶に残るだけで、面白エピソードにでもなれば、楽しい思い出になる。
内心、ビクビクオドオドしながら、表面的には普通客をよそおって、ドアを開けた。
そこそこ大きな子供がいそうな、パートとおぼしき黒人女性が対応してくれた。「Cash or Card ?」
うおぉおおおおおおーーー!! 聞き取れた! 理解できた! 現金払いかカード払いか聞いてるんでしょ!? わかる!わかる! ひゃぁ~すごいぞ!私!!
大喜びを悟られないように、いかにも普通&平気をよそおって、ドヤ顔で堂々と答えた。
「Card」
ひゃぁ~、いかにもNew Yorkerみたいじゃん、私。
たった3週間の旅行者なのに。
本当は心臓がバックンバックンしていたが、まずは第一関門突破。
パートとおぼしき女性が席に案内してくれた。
メニューを渡されたが、実はあらかじめ食べるものを決めてきた。
ガイドブックや宿のオーナー・陽子さんおススメの、ブルーベリーパンケーキ。飲み物はメニューが読めたモカにした。
驚いたのは、頼んでもいないのにお水が来たことだ。
飲食店で無料でお水が出てくるのはてっきり日本だけで、アメリカでは有料で注文しなければいけないと思っていた。まぁ、もし有料でも、お金を払えばいいだけの事。それも旅の思い出なので、よしとする。
しばらくすると、先ほど席に案内してくれた女性がオーダーを取りに来た。「ブルーベリーパンケーキ」
と言いながらメニューの写真を指差し、
「and モカ」
と言ってみた。
女性は笑顔でうなづきながら、メニューをさげて、キッチンと思われる方へ戻って行った。
すごいじゃん、私。ちゃんと注文できたじゃん。こうして1つ1つミッションをクリアしていくのは、実に楽しい。入店時の心臓ドキドキはまだ続いているが、注文ができたことで少し安心したら、店内の様子を見る余裕が出てきた。
東京の激込みもどこへやら、平日のお昼過ぎは、席は8割方埋まっており、ちょうどいい感じの入店具合。
大きな窓が明るくて気持ちいい。外がよく見えるため、開放感もある。
ホールスタッフは常に客席を回り、テーブルや客に目を配っている。
お水も来るし、スタッフの目も行き届いてるし、日本の良質なサービスと一緒やん。
ふと前方に目をやると、カウンターの女性がお会計をしようとしていた。
自分の番のことを考えてガン見&観察する。アジア系で一見日本人にも見えなくもない。支払いの仕方を聞いてみたい気もしたが、ここは抑えてガン見&観察にとどめた。
カウンター内の店員に伝票ホルダーを手渡している。ふむふむ。食べ終わったら渡せばいいのだな。
もしわからなくても、ゼスチャーで何とかなるだろう。
そう思っていると、注文したパンケーキとモカが運ばれてきた。
おお、ガイドブックの写真と同じじゃないか。そしてモカはたっぷりすぎじゃね?と思うほど、大き目のカップになみなみと注がれていた。
注文したブルーベリーパンケーキは、もちろん美味しくて、決して不味くはなかった。
けれど、東京で睡眠時間ほどの、6~8時間も並んで待って食べるほど、激ウマには感じられなかった。もしかしたら、New Yorkに来てから食べたい日本食を食べていなかったことと、あまりにも良い前評判を聞いて、期待しすぎてしまっていたのかもしれない。
食べている間、スタッフはしょっちゅう声をかけて気遣ってくれていた。
けれども、何を言っているかわからず、とりあえずニッコリ微笑んで、胸元で小さく両手の掌を縦にして見せて、私なりの〝結構です〟をアピールをした。