#44 Union Squareでもできたお買い物・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月3日(土)3日目・・・3
Union Squareのおトイレを出て、再びテントを回り始める。
ドドーンと山積みになった人参やトマトは圧巻だった。
Spinachと書かれた緑野菜を見つけた。〝あ、ほうれん草だ〟。
そう、じゃが玉人参かぼちゃトマト以外で、私が唯一知っている英語のお野菜だった。こんな小さな小さな単語が1つ読み取れてわかっただけで、ものすごく嬉しかった。
中には得体のしれない物もあって、興味を持ったが、どんな野菜かは聞けなかった。
もちろん〝What is this〟と発することはできるが、答えてもらっても聞き取れないし、聞いた答えが何なのかを理解することも出来ない。
けれども、テントに並べられた、様々な品を見ているだけで充分楽しめた。
Union Squareのグリーンマーケットに行ったら、絶対に食したいと思っていたものがあった。
ホットアップルサイダーという飲み物だ。あちこちのテントが出しており、どこにしたらいいかわからなかったので、きっと美味しいから行列なのだともくろんで、そのとき1番列が長いテントに並んだ。
1杯2ドル。少し寒かったので、あったかいりんごジュースにホッとした。
甘味料の入っていない自然な甘さが優しくて、身体が喜んでいるような気がした。
飲みながらテントを回っていると、美味しそうなパウンドケーキに目がいった。宿に帰ったら晩御飯代わりに食べよう。せっかくなので新鮮なリンゴも1個購入した。
お釣りのコインを財布に入れようとすると、お店のお兄さんがボソッと、「ありがとう」
と独り言のようにつぶやいた。え? 日本語? 思わず反応してしまう。
続けて、
「Japanese?」
と聞いてくれたので、嬉しくなって、
「yes! Japanese。 お兄さん、日本語がわかるんですか?」
と話しかけた。
けれど、お兄さんは苦笑しながら顔の前で手を左右に振った。お兄さんにとっては“ありがとう”が唯一知っていた日本語だったようだ。
たわいもないやり取りだったが、憧れのNew Yorkで、エッセイを読んで15年以上焦れたUnion Squareのグリーンマーケットで、英語のできない私が地元民とコミュニケーションが取れたことは、とてつもなく素晴らしいことだ。
夢がまた1つ叶った。またここに来ることがあったら、今度は観光客ではなく、New Yorkerとして来たい。New Yorkで買ったお野菜で、New Yorkの料理を作ってみたい。お料理大嫌い人間の私ではあるが。