#90 911(nine eleven)メモリアルミュージアム・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月7日(水)7日目・・・5
ground zeroの慰霊碑から離れて、911(nine eleven)メモリアルミュージアムへ向かった。大勢の人が並べるように細く長い蛇行のロープが張られていたが、まったく混雑はなく、待つこともなく、シティパスで難なくスイスイと入場できた。
最後まで残った大きな鉄筋の柱、半分から後ろが無く骨組みがむき出しになった消防自動車、パネル、肉声など、館内のどこを歩いてもキリキリと胸が痛む。けれど、実際に自分の目で見て体感して、記憶に残せたことは、貴重な体験だった。
一通り見学し、エスカレーターを上っていくと、カフェに辿り着いた。
パンやサンドイッチ、マフィンが並んでいた。特に食べたい物はなかったが、何か胃に入れておきたかったので、とりあえずマフィンとアイス抹茶を注文する。
何がどう伝わったのかわからないが、受け取ったのはマフィンというより柔らかいビスケットと、これのどこが抹茶なの?という、色も味も薄いシャビシャビした、かろうじてジャスミンティの風味がするかしないかわからないような、水に色がついているだけのドリンクだった。
店員さんと会話も質問もできないので、確かめようがない。
仕方がないので、そのまま受け取りテーブルへ。
大きな窓からは、外の公園がよく見え、紅葉した木々たちの姿が、晴れ間とともに爽やかに見えた。
胸のキリキリした傷みが多少残ってはいたが、これも重要な歴史の1つ。
しっかりと胸に刻んでおこうと思った。
そんなことを考えながら休憩していると、女性が声を掛けてきた。
「#$%&Three ‘()」=)%’%Close$E#’#$%&!’()?」
なんと!奇跡的に、〝3〟と〝クローズ〟が聞き取れた。
どうやら〝ここは3時で閉まるけど大丈夫ですか?〟と聞いているらしかった。
「OK!」
と返事をすると、女性は納得したように笑顔で去って行った。
不思議だった。幼児レベルにも達していない私の英語理解力で、意思の疎通が測れてしまったのだ。本当は間違っていたのかもしれないが、おそらく合っていたのではないかと思う。
時計を見ると14:50。カフェにはまだ人がいて、のんびりしていたが、私の中にはまだ少し心臓のキリキリが残っていたことと、期待外れのマフィンと抹茶もどきドリンクで、あまり居心地がよくなくて、急いで流し込み、そそくさとエスカレーターを下りた。