#82 ホットって……勘違いアンポンタンおばさん・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月6日(火)6日目・・・4

人生初入店のShake Shack。そしてNew Yorkでの初めての店舗飲食。
カウンターからドキドキしながら受け取った、ハンバーガーとクッキークリーム味のフラペチーノのようなドリンクを持って席を探した。

ほぼ満席で人でごった返していても、1人分の席はポツンポツンと空いていたので、壁のない通路に向かって座るカウンター席についた。
テーブルに食べ物を置くと、その側スレスレを人が行きかうのだ。
こんな近くを行き来する人に向かって食べるのは、ちょっと恥ずかしかったが、そこは気持ちを切り替えなければ。
〝ここはNew York・Manhattan。自分が恥ずかしいと思うことでも、New Yorkerには当たり前の事なんだから、誰も見向きもしてないよ〟と。

お腹もすいたので、さ、食べましょ。ハンバーガーを持った。
〝え? あったかくない。しかも一部冷たい……〟
New Yorkのハンバーガーはあったかくないの? 
メニューにはホットと書かれてあったのに。
ハンバーガーがあったかいと思ったから、わざわざ冷たいドリンクを注文したのに……。
もし日本だったら店員さんに「あたためてください」と頼めるのだが、
ここでは無理だ。レジも受け取りカウンターも長蛇の列、席はほぼ満席、
しかもなんて言っていいのかわからない。
しかたなく一口かじってみた。ま、こんなもんでしょ……。

SNSには、そのおいしさを絶賛する声も多かったのだが、元々薄味好みで、しかもあたたかいハンバーガーを希望していたのに常温、しかも一部冷たかったので、空腹だったのに気落ちしてしまった。
仕方なく、通路を行きかう人々を眺めながら、あたたかくないハンバーガーをかじった。

初めてのShake Shack、そしてNew Yorkでの初めての店舗飲食で、少し緊張していた。でも、気軽に入れるShake Shackとはいえ、1人で飲食店に入れて、食べられていることに、嬉しさを感じていた。

ところが、初めのうちはよかったのだが、半分ほど食べると、口の中がカーッとなってピリピリしてきた。
げげっ!苦手なチリソースだ……。うう~か、か、からい。
これはキツイな……。

改めて電光掲示板のメニューを、よーくよーく見ると、写真のハンバーガーの下に、小さな小さな炎のマークが付いていた。
〝ええ~……、なんだぁ、ホットってあったかいじゃなくて、口の中に炎が出るほど辛いっていう意味か……〟
慌てて冷たいドリンクのクッキークリームを流し込む。
これがまた濃厚で甘さが強い。ああ、何のためにこんなに辛いハンバーガーを食べ、甘すぎるドリンクで緩和させなければならないのだろう。
私、何をしているのだろう。
矛盾を感じつつ、目の前を行き交う人たちを観察しながら、ひとまず空腹をおさめた。

けれども、New Yorkに来れたからこそできた体験だ。そう思いながら食べているうちに、段々と気持ちが落ち着いてきて、ホット勘違いをした自分に可笑しくなって、1人で吹き出して笑ってしまった。
帰国後、友人たちに話して大爆笑されたのは言うまでもない。

Shake Shack でNew York初体験をしていると、段々と周囲を見回す余裕が出てきた。
客層が面白かった。老若男女が入り混じっており、杖をついた小柄なお婆さんが、1人でハンバーガーを食べ、フライドポテトをかじっている光景を見て、その頼もしさに嬉しくなった。お婆さんには日常なのかもしれないが、年齢や世間体を気にする日本では、あまり見かけない光景が気に入った。
やっぱりいいな、New York。

もったいない婆さんの私は、残すのはイヤなので、苦手なピリ辛ハンバーガーを完食し、甘々クッキークリームドリンクも飲み干した。ピリ辛と甘々が上手く混ざり合い、結果的には帳尻が合った。

New Yorkで初めての飲食店は、大成功とは言いがたかったが、飲食店で食べるという、大きなミッションを1つクリアできたので、良しとする。

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YUKIE
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