Rain1 -湖に佇むチェ・ヨン-
Rain…
季節外れの温かい風が舞う中、チェ・ヨンは、あの湖の岸に一人立っていた。
一月一日の、崔家の湖。
蒼白い月が浮かんでいるそちらは見ずに、夜中というのに、隅々まで見えるほどの明るい空の、細かすぎる幾千もの星の束を見つめている。
ずっと一人、佇んでいる。
大晦日の夜、ウンスとともにチュホンを駆り急ぎやってきたチェ・ヨン。
間に合うように。
元旦の日が訪れるその前に、この二人の湖へたどり着けるように。
二人だけのあの刻を、今年もここで迎えられるように。
戦いの後の執務もそこそこに片付け、王に僅かな暇をもらい、チェ尚宮には正月二日に崔家の邸宅で執り行われるはずの儀式の一切をすべてを任せ、二人、やってきた。
久しぶりすぎて疲れ果てたのか、チェ・ヨンの胸の中で安心しきった寝息をたてているウンス。
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