東京のお父さん
先日、休職中の会社の上司に会った。
ひと月前、適応障害と診断されたと打ち明けたところ、
今すぐ休めと言ってくれた人だ。
ひと月ぶりの再会。初めはどんな顔で会えばいいかわからなかったけれど、一緒にお酒を飲みながらとても楽しい時間を過ごした。
私は本当に、上司のことが大好きだ。
新卒で社した会社の初めての上司が、その人だった。
そのままずっと、といってもたったの一年間だけれど、ずっと直属の上司だ。
優秀で、ユーモアがあって、部下思い。
休職する半年前くらいから、私は仕事にやりがいを見出せずに悩んでいた。
そのことを上司に打ち明けると、それから毎週のように私との個人面談に時間をさいてくれた。
いつもいつも、私のことを気にかけてくれていた。
ここまでしてくれる上司なんて他にいるのだろうか、というほど。
感謝してもしきれないというのは、こういうことなのだろう。
ひと月ぶりに会う上司は、いつも通り何も変わらなかった。
以前も本人から聞いていたのだが、上司も前職で適応障害と診断され、半年間休職した経験がある。
上司自身が同じ病気で苦しんだ経験があったから、
私には同じ苦しみを味あわせないようにと、すぐに休職することを勧めたとのことだ。
現在の転職活動の進捗を話すと、もっとゆっくりやっていいんだよと言ってくれた。まだ休職して1ヶ月。焦るなよ、と。
部下が休職や退職をすると、直属の上司は何かしらマイナスの評価をもらうことになる。
それなのに、どうしてそんなに優しくしてくれるのか。
あんなにサポートしてくれたのにあなたの顔に泥を塗る私に、どうしてそんなに親身になってくれるのか。
他人の私に、無償の優しさをくれる人。
お父さんのような人。
私にとって上司は、東京のお父さんだ。
どんな形になるか、今は全くわからないけれど、
いつか必ず恩返しをさせてください。
待っていてください。