単身引っ越しエレジー
4年間のおしまい。
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単身の引っ越しは安いイメージがあった。しかも、6月の平日となれば、値段はもっと割引きされるのかと考えていた。
結論からお伝えすると、単身でシーズンをはずした平日の引っ越し料金は「一般的に」は安い。ただ、僕はその「一般的」に含まれることはできなかった。
引っ越し業者に連絡をするのは、引っ越しの日の1か月半から2か月前が通常らしい。僕は、引っ越しの2週間前に連絡をした。そうすると、どうなるか。すでにうまっているトラックに無理をきいてもらわないといけないため、通常料金よりも高くなるのだ。
事前に動くことが大切なのだと学んだ。
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単身の引っ越し準備の梱包作業は、余裕があって楽だというイメージがあった。僕は、服も多く持っていないし、家のなかを見まわしてもものが多いとは思えなかった。
結論からお伝えすると、単身でも、梱包作業は意外とかかる。そして、引っ越し当日に梱包作業は絶対にしてはいけない。
部屋のなかにものがなかったとしても、押し入れのなかから大量の記憶にない物品が出てくる可能性はだれにでもあるのだ。それらをダンボールに梱包していると、5時間程度はかかった。
14時から17時までのあいだに搬出作業で業者が来るとなった金曜日の、朝9時前に起床して、梱包作業を始める。単純の時間の計算をしてもらえばわかるが、僕はいっさいの余裕などないスケジュールで当日は動き続けた。
きちんとしたスケジュール組みが大切なのだと学んだ。
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4年間住んだ家を離れるとき、心から悲しくなるのだと想像していた。
結論は、そんなに悲しくはならなかった。
でも、まちがいなく愛着はあった。仕事に疲れきった僕やお酒に酔っぱらった僕を毎日迎え入れてくれて、自炊した料理をもりもり食べる僕やYouTubeで時間を溶かす僕を文句もいわずに包み込んでくれていた部屋だ。
また出会えたらいいななんていうありえないことだって願ってしまうほどだ。
すっからかんになった部屋は、もう僕ではない次の人を見ているようだった。
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悲しみたいけれど悲しめないことも、ひとつの悲しいことなのだと学んだ。