彼女は女優⁉️
来月で11歳を迎える彼女。
彼女が生まれた当時は
白柴を目にすることなど
ほとんどなかった。
白は茶・黒と違い邪道とされ、
血統書があっても
高値がつくことがなかった。
クリスマスイブ前日の夜
家族で食事をした帰り
ホームセンターに寄った。
10歳になる娘は、当然のように
犬猫のいる奥のスペースへと
走って消えた。
「お母さん、お母さん」
遠くで私を呼ぶ声がする。
大方の検討はつく。
勘は当たる。
ショーケースの中の白い可愛い犬が
今日一日、人目にさらされ
くたびれながらもこっちを見ていた。
既に魅了されてしまった娘が
私の腕を引っ張り
「欲しい‼️」とせがむ。
よくよく見てみれば、
もう生まれてから3か月。
見るからに大きかった。
これでは売れる訳がない。
単なる売れ残りだった。
「もう3か月も経ってるじゃん。
無理だよ、大きいよ」
私は娘をなだめた。
その時、彼女の女優魂が開花した。
ムクッと立ち上がる。
すかさず店員さんが
「抱いてみますか?」
なんて素晴らしいタイミング。
もちろん、娘は頷いた。
それ用のために置いてあるかのような椅子に腰掛け、彼女を膝にのせた。
確かに可愛い。だが答えは出ていた。
懇願する娘を制そうとしたその時、
彼女は娘の頬をペロペロと舐めた。
その晩
彼女は何事もなかったかのように
我が家の一員に収まった。
途端
彼女にはとてつもなく大きな試練が待ち受けていた…。
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