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シリア人の親友

先日、離れて暮らす仲良しのお友達から半年ぶりに連絡を貰いました。

そのお友達は私より三つ年上のシリア国籍の女の子で、ドイツに留学していた時のクラスメイトです。なんだか懐かしくなったので、ちょっぴり長くなるかもしれないけれど、彼女との思い出をnoteに書いてみます。

ドイツが難民をよく受け入れる国であるということは有名ですが、私の通っていたドイツ語学校にも、難民であるシリア人が沢山ドイツ語を学びに来ていました。

特に私の在籍するクラスは半分がシリア人の方でした。多くは男性でしたがクラスに一人だけ女の子がいて、頭を綺麗にヒジャブに包んだその子はいつも一番前に座って熱心に授業を受けていました。

ある日、授業が終わって帰ろうとすると、その女の子がバス停に一人で座っていました。当時留学したての私はどうしても友達が作りたくて、決死の思いで「あなたを見かけて、話がしたくて声をかけた」と英語交じりのドイツ語で話しかけると、彼女は笑って「いいよ、話そう」と言ってくれました。


それからベンチに座って二人で色んな話をしました。途中でバスを三回見送り、そのたびに乗らなくて大丈夫か聞いたのですが、「あなたと話すのが楽しいから」とにこにこして答えてくれました。

まずはお互いの国について紹介し合って、シリアはアラビア語圏で、ありがとうは「シュクラン」ということを教えてもらったり、日本語に文字が三種類あると話して驚かれたりしました。

彼女自身についても教えてくれて、英語が好きで将来はドイツで英語の先生になりたいからその為に勉強しているのだと教えてくれました。また旦那さんがいることも教えてくれました。

その流れでお互いの家族構成について話が進んだのですが、兄弟はいるかという私の問いに彼女がふいに泣き出してしまいました。


聞けば内戦状態のシリアで弟さんを亡くされたそうです。


私にも弟がいますが、あの子が死ぬなんてとても想像できません。でも目の前の彼女はそれを経験してきている。それはどんなに恐ろしいことだろうと思いました。シリアが戦争状態なのはもちろん知識として知っていたけれど、現実で誰かの大切な人が殺されている。それに強い衝撃を受けました。おそらく彼女自身も命の危険を感じたことが何度もあったはずです。それでも彼女はそんな辛い過去をおくびにも出さずに、人前では前向きに明るく毎日勉強しているのです。そんな子が現実に存在しているのです。


私は泣いている彼女にかけてあげる言葉が見つからず、つらいことを思い出させてごめんと謝ることしかできませんでした。


長いので続きはまたにします。

おやすみなさい。


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