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カヤックで知床半島一周⑬4日目の最終日に向けて)

3日目の夜。
いつものように薪を集めて、夕食時に座る椅子になる丸太を運ぶのを手伝ったりしているうちに、オホーツク老人はあの伝説の鍋で美味しい香りを漂わせてた。。見ているとスープストックを入れてる。。。そして、、なんだか薄黄色い塊をどかどか入れてる。。更に白ワインを1本丸ごと入れた!

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薪集めに疲れてしまった私は、ちょっとだけテントの入り口で座って休憩しながらその様子を眺めてました。。それにしてもあの「レストラン」への道のりが遠いと思う訳をご覧ください。。地面(と言えるのか)はすべて丸まった石です。波でまるく削られた石が山積している中を、3日目で足ががくがくしている感じも否めない状態でえっちらおっちら歩いていかねばならぬと思うと、もうこの距離(多分7mくらい)がめちゃくちゃ遠く感じるのです。しかし、、お腹が空いていることもあり、視線はオホーツク老人の手元に常にロックオン!笑 

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最終日という事もあって豪華です。 この日のディナーはなんと「チーズフォンデュ!」Σ(・□・;)驚きですよね。知床の無人とも言われるエリアでチーズフォンデュを頂く私達。 シカ肉ソーセージまで焼いていて。。。

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食パンに付けていただくチーズフォンデュが(しかもワインがめっちゃ効いてる!)美味しかった。。。欲を言えば、別に飲む白ワインが欲しかった。。。ただ、私達って何て「人工的なもの」を頂いてそれが「人工的」だという意識を持たずに「自分だけで生きてる」と思っているんだろうとか考えてました。 こんなところまできて「人工的」に作られたものを持ってきて、食べて「あぁ、もっとあれがあればな」と思うなんて。
2日目までは好奇心が優先してそれほど感じなかった足りない事への「不便さ」を感じ始めたのも3日目くらいからで「ここに、あれがあれば完璧なのにな」というのが増え始めました。「好奇心」という魔法が「慣れ」と共に溶けていった感じでしょうか。 年数を重ねてきた私達だからこその「旅の終わりに向けての備え」なんだろうなと思います。 
若い頃はこの「旅の時間」を最初から最後まで全身で楽しみ、味わい尽くし、胸に響かせ、激しく「終わりへの抵抗」を感じていたのに、今は日常へ戻る準備を早々としているなんて、なんてつまらないんだろう。。。と思う反面、もし今もそうであれば、持ち帰った熱い気持ちをぶつける先に困ってしまうに違いない。とも思うのです。

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この日は明日がもう最終日という事もあり、火を見つめながら皆さん語るとも語らずとも過ごし、ウィスキーも気持ちも名残惜しい中、一人また一人と翌朝の天候を祈りながらテントへ戻りました。 

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翌朝。4日目です。海を見ながら歯磨きするのも見慣れました。
薄雲が少しづつ濃くなって、空は半分が雲に覆われました。オホーツク老人ことチームリーダーの予想通りお天気はいまいち。
でも私が全く心配してないのは、お天気の神か!?と思えるくらいの強力な「晴れ男」さんがいらっしゃるからです。 私は何度も彼と一緒にどこかへ行っていますが雨に遭ったのは一度きりです。しかも雨と同時に太陽が出ているという状態。 それ以外は美しい晴れた空しか見た事がありません。
でもそれは奇跡とか偶然とかいう事ではなくて、きっと常にそういうアンテナがその人の中には張ってあって、本人が気付くのは「無意識」だろうけれど、それに合わせて「行く」か「行かない」かを決めているんだろうと。そして結局それもすごい身体能力で、「運を呼ぶ人」と同じ原理なんじゃないかと思うんです。 常に前を向いて進んでるって事ですよね。 
もちろん、その人だけじゃなく今回のメンバーにはその力が備わってる人が多かったんだと思います。 
そしてこの日も案の定、カヤックを漕ぎ足してからしばらくすると美しい青空が薄い霧の向こうからどんどん広がって来てました。 ほんとすごい。。

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予定では一か所休憩を挟んでからの羅臼ゴール。とにかくこの辺りには海底火山噴火と太平洋プレートによって隆起してできた岸壁と、それらが荒波に削られて出来た洞窟が沢山あって、しかも希少な鳥(足だけが赤いケイマフリ!2枚目だけど遠くて足の色分からん。。とか)も沢山でシーカヤックを漕ぎながら写真撮ったり中を覗いたりで結構忙しい! 

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滝を見つけると、カヤックなので滝のしぶきを浴びるくらいに近くに寄れる。水の音と一緒に鳥の声も谷間に響いて、まるでジュラシックパークにいるような気分。。なんともいえない胸がすく気分ってこういう事を言うんだろうと感じた瞬間です。 

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実は、この日予定していた休憩場所にはかなり波が立っていて「皆さん、トイレが大丈夫で体力があるなら、このまま頑張ってゴールしましょう!」と言われちょっとがっかり。。だって早くゴールに着いてしまうではないか。。。しかも少し波があった事もあり、船酔いしがちな私は既に微弱に酔いモード。 「しまった。。このままいくときっと酔うかもしれない」と思い、今まで爺に任せていた「漕ぐ」事に集中。
幸い、ところどころ素晴らしい景色に癒され、一生懸命漕いでスピードが上がると少し揺れがマシになることを知り、この4日間で一番漕いだと思う。ワイルドにキャンプとかした割にはケガも筋肉痛も無さすぎる?と思えていたのだけれど、ここで親指と人差し指の間の水カキ部分の皮膚がべろりんとめくれておりました。 痛みを感じたのは後でお風呂に入ってから。笑 

ゴールが近づいて、久しぶりに「道路」を見た。
久しぶりにメンバー以外の「人」を見た。
久しぶりに「看板」を見た。

これまでの旅ではどんな辺鄙なところに行っても「道路」はあった。
山や森林に入ってもジャングルでも「人」はいた。
ドバイの砂漠の真ん中でも「看板」あったし。
こんな事を痛感する事など、考えてもいなかった。

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でも。到着するとその光景があっさりと馴染んできてしまい、今までの「冒険旅」がまるでアトラクションを乗った後のように感じる虚しさはどうしようもなかった。 

正直に言います。
知床半島一周してから既に1か月が経ち、その間にも色々と「事件」があったり「思い出」となることがあったりと人生を忙しく過ごしていましたので
記憶は朧気です。なのでこの記事の中で書いた事が実際は前後していたりすることがあると思います。 事実じゃない・・。でもこの4日間のあいだにあったこととしては事実です。 しかもそんなことはきっと(一緒に行ったメンバーでさえ)覚えていないだろうし、覚えていたとして「他愛のないこと」として人生の一ページに再び溶け込んでいくものだと思います。
毎日、何でもないと思って過ごしている日々と知床でもの凄い体験をしたと思っていた日々ではとてつもなく「違い」があると思っていました。
確かに違いは感じます。 この4日間の思い出は、こうやって何日もかけて思い出して記事にかけるくらいに鮮明なんだと思います。 

ただその違いは、場所とかお金をどれだけかけたかとかは関係なくて
そんな風に刻んで残しておきたい記憶を持つか持たないか。
日々そんな風に過ごしているか、じゃないかと思う。

これからも、そんな風に思える「旅」と「毎日」を過ごしたいと感じた旅の記録でした。  最後まで読んでくださってありがとうございます

ちなみにこの旅の一連を、同行者のアルファトラベル森野社長(強力な晴れ男さん)がYouTubeにまとめてくださってます。よければぜひ、ご覧ください! 

 

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