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つみれ脱走 ~つみれ通信~

その日はぼーっとしていた。猫の「みのすけ」が死んでしまい(https://note.com/yukianemone07/n/n0b19d752f133)、葬儀屋さんにお願いをしていた。だからか、油断していたというか…気が抜けていたというか…。飼い猫「つみれ」の脱走を許してしまった。

玄関の掃除をしなくちゃなと思って、玄関を開けっぱなしにしてしまった。普段なら開けっ放しにしないのに、するならつみれを隔離するのに。気が付いたときには既に遅し、道路の真ん中にいるつみれと目が合った。

しまった。大変だ。ぞっとした。血の気が引くというのは、こういうことを言うのだと思った。

それからその日は実家の母も呼んで、近所を探し回ったが見つからず。日中も夕暮れも深夜も、ぐるぐる探し回った。懐中電灯を持って、住宅街の路地まで入り込んで…。きっと、はたから見れば不審者だったと思う。

その日の夜。寝るときは、1階の物置部屋の窓を開けて、窓が見えるように布団を敷いた。あけた窓の前には餌を置き、部屋の中には"ちゅーる"を置いた。次の朝には外の餌がなくなることがあったが、我が家の周りには野良猫がたくさんいるので、つみれが食べたのかはわからなかった。

頑張って探さないとと奮起して出かけるも、帰るころには後悔でいっぱいにる。家では泣くことしかできなかった。

つみれが脱走して2日~3日ほど経った夜。
外に餌を出そうと物置部屋のシャッターを開けると猫と目が合った。つみれだった。頭の中は「捕まえないと!」という焦りと、「なんでいるの?」という驚きででいっぱいになった。けれど、自然と手が動き、つみれの前に"ちゅーる"を差し出していた。あいつも普通に寄ってきて、ちゅーるを食べた。その間に夫に外に出てもらい、私はちゅーるでつみれを部屋の中に入れた。外から窓を閉めてもらおうとしたが、失敗。その日は捕り逃してしまった。けれど、姿を見ることができて、とても安心した。

家に帰ってきていることはわかった。たぶん、餌場がないのだろう。捕り逃した次の朝には動物病院で捕獲機を借りた。前に捕獲機で捕まえたから警戒するかも…なんて心配もしたが、案外あっさり捕まった。

飼い猫がいなくなった、それだけで何も手につかなったし、何も考えられなくなった。後悔と奮起を何度も繰り返すだけで、頭がだめになってしまいそうだった。飼い猫でこんな風になってしまうのだから、これが人間だったら…と思うと、ぞっとするでは済まない。私だったら死んでしまうかもしれない…。道路の真ん中で目が合ったあの「ぞっと」の感覚は二度と味わいたくない…。

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先日、猫脱走防止用の柵を注文した(都合によりオーダーメイドになってしまった)。

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