Mundiについて
Mundiという作品を制作し、文化庁メディア芸術祭にインターネットアートとして出品しました。
作品紹介用にnote初投稿します。
作品解説
Mundiは、電気信号によって変化を繰り返すイカの皮膚をヒントに、ブラウザ上で生態系を表現するために制作されたインターネットアートです。
生物学者のHumberto Maturana と Francisco Varelaが提唱したオートポイエーシス(autopoiesis)という概念から、生命システムの固有性を考察しました。この概念は自己創出という考え方を持っており、自分が自分をつくることであり、生物であれば細胞や器官を生み出すように、自己が自己の構成素を生産することを示しています。当作品ではその固有性に着目し、作品のコアのロジックに生命システムを模した実装をしています。
有機的な何かをブラウザ上で製作するという想いに共感してくださったWataru Iwataさんがサウンドデザインを担当し、生態系、音、日食などの要素を取り入れることができました。
作品では、生物の分類に合わせて4つの階層に分かれたagentが用意されており、日食の前後に断末魔の叫びのような声をあげて反応する動物たちの様子や、Kris Ruhsに影響を受けた不規則性の表現に挑戦しています。また、日食が発生するタイミングは、ユーザーの滞在時間などの前提を考慮して、15分間隔で設定されています。
※ 動作環境について、ブラウザは、google chromeで閲覧が可能です。デバイスはPCおよびタブレットで挙動確認していますが、スマートフォンではweb audio apiのバグにより正しく動作していません。
参考にした情報
1. 不規則性について(konel)
私は以前、konelのUNプロジェクトに参加しました。
このプロジェクトでは、複雑な気象情報の中から「落雷」のレイヤーだけを抽出し、リアルな雷として再現するランダム家電を作成、何にもコントロールされない「不規則」な現象を生活に取り入れるための実験を行いました。
一言で言えば、人間の感情を刺激する「不規則」の作品化を行いました(詳細は、konel代表である出村さんの説明をご覧下さい)。
2. 不規則性について(Kris Ruhs)
2019年、ミラノにある10corsocomoを訪れ、アートディレクターを務めるKris Ruhsの作品を鑑賞しました。
彼の作品は静止画であったものの、動的に変化しているようで、そこに生物的な性質を感じました。上述した不規則性を映像化したようなもので、衝撃を受けました。
3. 自然現象について
動物たちは日食の前後、断末魔の叫びのような声をあげて反応することを知り、この興味深い現象を今回の作品の中に取り入れることを決めました。
日食の前後では作品に存在するagent達が現実世界と同じように激しい反応をするよう構想を練りました。
今後の活動
Mundiは、現在version 1.0.0として公開されており、今後も機能やデザインの追加が予定されています。また、この作品の活動はインターネットアートの制作に留まらず、様々な形で継続・拡大されることを目指しています。
以下のコミュニティにご参加いただければ幸いです
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