"私はダメな人間だ"の呪いを解き続けること
「わたしはダメな人間だ」
セルフイメージとして自分の中に浮かんでくるものは、いつだってこれだった。
例えば。クラスで1分間スピーチの順番がまわってきたとき、カンペをつくっていながら上手く話せずに泣いてしまう。
例えば。学年が上がって先輩になった時、後輩に指導や指摘をしようとしても何も思いつかない。
例えば。同期入社の子たちが周囲から怒られている様子なんて一度も見たことがないのに、自分だけ毎週のように叱られている。
周りが普通にできていることが、わたしは全然できなかった。
これらは実際に起きたことで、今のわたしはそこから大きく変わったと胸を張って言えるわけではない。
苦手なことは苦手なままだし、グループでの自己紹介もスピーチもフィードバックも、できる限り何も言わずに済めばいいなと思っている。
だけど、もう自分のことを「ダメな人間だ」と自分に言い聞かせたりしないし、そこに安住しようとはしない。
ダメな自分でいることを、わたしは好き好んでやろうとしたくないから。
ダメな自分に甘んじていた
「わたしはダメな人間だ」というセルフイメージを持っていると、落ち込む出来事があった時、すぐ頭の中は自分がダメな人間だからそうなんだという思考で持ち切りになる。
上手くできなくて・失敗して・叱られて、わたしはなんてダメなんだろう、本当に自分はダメなやつだ。
わたしはそれを心から本気で思っていたけれど、そうすることで得ていたものが確かにあった。
それが、"頑張らないですむこと"だ。
できないからできるように頑張ろうというのは自然な流れではあるものの、わたしの中では"わたしはダメな人間だから"できないのだ、という公式が出来上がっていた。
何かが起きたら自分がダメな人間なせい、そう思うことで頑張ったり向き合ったりすることから逃げていた。
それに気が付くことすらせずに、ダメなところをどうダメでなくするかなど思いつきもせずに、ただひたすら自分はダメだと思い続けていた。
無意識なまま、自分がダメな人間であると思うことで、頑張らない言い訳をつくっていた。
それでも「わたしはダメな人間だ」と思い続けることは苦しい
得ているものが確かにありはしても、やっぱり自分のことをダメな人間だと思い続けて生きるのはどうしても苦しい。
あぁわたしは本当にダメだなぁと思いながら過ごす日々には、どこか重たい空気が取り巻いている。
"わたしはダメな人間だから"、そうやって色々なことを頑張らないと同時に諦める。
本当は欲しいもの・手に入れたいと思っていたものも、でもダメ人間だし無理かって笑って、手をひっこめる。
そうやって色々なことを諦めて、コンパクトにまとまった怯えた暮らしをしていても、幸せにはなれなかった。
正しいかわからないセルフイメージに振り回されて、それが理由で世界を広げることすらせずに過ごす毎日は、いつだってどこか息苦しかった。
本当に「ダメな人間だ」としか思えないっけ
そのセルフイメージのままでも、生きていけなかったわけではない。
だけどそのセルフイメージのままいたからこそ、環境の変化に適応できないことが起きて、変える必要性に迫られて仕方なく変えた。
「わたしはダメな人間だ」と思い続けていた状態から、「わたしは価値ある存在だ」と意図的に思うようにした。
どんなところがダメ?
そのダメだと思う部分が克服できたらダメじゃなくなる?
ダメだと思うことで守っているものは何?
そんなことを繰り返し考え続けていくうちに、少しずつダメ人間の呪いが解けていった。
頭の中でどうやって考え方の癖ができていくのかとか、出来事と感情や思考が結びつくようになったきっかけとか、そんなことをひたすら学びながら、「ダメな人間だ」と思うセルフイメージをほぐして、少しでも例外を見つけていけるようにした。
そうこうしていくうちにやっと、ダメだから諦める・壁にそのまま直面しておくということではなく、できないけどできるようになりたいなら自分なりの解を見つけようと考えられるように、ダメでない部分も自分の中にあることを認められるように、なった。
思考の癖は続く、それでも
それで今、もう自分のことをダメな人間だと思わないかと聞かれたら、そんなことは全然ない。
心がマイナスに動く物事に触れたら、簡単に「わたしはダメな人間だ」と思うし、それを言い訳にしようとする自分が出てくる。
考え方の癖は人生を通して創り上げてきたものだからこそ強い力を持つし、完全に克服することはすごく難しいんじゃないかと思う。
だけど、今のわたしは「わたしはダメな人間だ」と思っている自分に気が付くことができるし、その上でそれを今受け入れるかどうかを選び取ることができる。
何かを思うことがいけないわけじゃない。
ただ、わざわざ自分を苦しめるような考え方をする必要もない。
だから、自分が思うことに気が付いてその上で自分で選択しているということは、ただ勝手に考え方の癖が動いて振り回されているのとは、感じ方も全然違ってくる。
わたしはこれから先も自分のことをダメな人間だと思う場面があり続けるだろうけど、その度にしっかりその呪いを解いて、今進みたいのか止まりたいのか、見極め続けて歩きたい。
それが一番私にとって、人生を豊かにしていくために、とても大切なことだから。
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普段はコーチングなどをしています↓