理由を探してる
この頃、「退職」に向かうベクトル方向の「理由」を探していた。というよりも、自分の中の漠然とした不安や、これからどうしていきたいかを考えた先に「退職」という選択肢があるような気がしていた。でも、やっぱり「退職」という決断をするには至らずにいた。
数年前、休職中に文房具コーナーで退職願セットを見つけて購入し、したためてみた。当時は精神不調という得体の知れないものに対する不安から、働けないかもしれないという思考に至った。今は、幸いにも復職して2年が経過し、一見順調に見える。しかし、「学位を取る」という一つの目標に到達した今、私は身体も心もボロボロで、一日の感情の起伏が激しく、逆に常に低迷していたりする。会社に行くことや、朝身体を起こすことさえ億劫である。
これがバーンアウトにあたるのかといえば、そうなのかもしれないが、よく分からない。
退職願セットはまだ手元に残ったままだ。
でも、そんな低迷期の最中、行き場を失った意欲の使いどころがやってきた。私にとって、今の生活を保つ為に必要不可欠な仕事に於いて、新たな長期案件の担当になる打診があった。関わったことのない仕事、ポジション。動揺がなかったかと言えば、嘘になる。だってその日の午前中は、「退職するためには」ばかりが頭の中を占拠していたのだから。
まだ、この仕事を続けられる、続けてもいいだろうと思う人が周りにいてくれることに対して、舞い上がる気持ちを必死に押さえつけながら、「お受けします」と応えた。
あの日の私へ。
ありがとう、耐えてくれて。
ありがとう、まだ自分を信じてくれて。
ありがとう、ほんとうにありがとう。
これから先も沢山理由を探しながら、ぼちぼち歩いていこうと思う。その思いが、後の自分を助けると思って。