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【#1分マガジン】プレ・プレゼント

高速道路のSAに着きました。
眠気覚ましにと買った缶コーヒーを片手に、
「今日は何日だっけ」
「あぁ、●日だっけか。じゃあ明日は…」
と、呟きます。

ふぅ、と一息吐き出したところで、
飲み終えたコーヒーが、
いつもの無糖ではなく微糖のコーヒー
だったことに気付きます。


(甘いやつ、か。)


缶をゴミ箱に放り込むと、
小高い丘のようになっている場所が見えました。

丘には西日が降り注いでいます。
なんとなく登ると、そこにはブランコが2基。
大人になってから乗るのは久しぶりです。
ゆらゆら、がブンブンにかわります。

クマの出来た大人の顔は、
いつしか少年の顔になっていました。

夕日は知っています。

明日はこの人の誕生日。

この人の生き様をほとんど毎日見てきました。
他人の為に頭を下げ、自分の時間を削る姿や、
ヘトヘトになってベンチに座り込んでいる姿を。

沈みゆく太陽は、こっそり月に伝えます。

「月さんあのね。」

ブランコから降りると、
もうあと少しで真ん丸に満ちそうな月が、
優しくこちらを照らしていました

小牧幸助さんの企画に参加させていただきました。
参加させていただけるだけで嬉しくて、
何度も読み返してしまいました。

#1分マガジン