C-001 子どもの[成績表/通知表]の見方がわかれば、子どもの道が開ける
数年前に書いた記事の再編集。学校に通えない今「授業が再開してやっていけるのか不安」という子ども自身の声。「授業もできず、テストもできないから成績のつけようもない」という先生の声もある。
だからこそ、今まで考えもしなかった「成績表」の本来の意味や意図を再考察してみるのもいいのではないか?と、5年以上前に書いた記事をnoteに引っ張ってきた。
今、長い長い時間を子どもと家で過ごしている大人たち。「ゲームばかりやるから困る」「YouTubeばかり見ていて勉強しない」だから、イライラしてつい怒ってしまう…。という負のスパイラルが当たり前になる前に、この記事をきっかけに、子どもへ新しい接し方のヒントになれば…と思います。
記事では、成績表を例に書いていますが、親子で、お互いに結果として見える形で共有されているものであれば応用できます。
早いところ接し方の例を読みたい!という方は、目次の▶︎3.子どもの心理をイメージするから読んでも大丈夫です。
これは、わたしが長女(当時8歳)をプレッシャーで抜毛症にしてしまったところからはじまった、わたしなりの個育て研究の答えです。
▶︎1.子どもの[成績表/通知表]の見方
学期末に必ず訪れる試練。子どもにも親にも効果的な対処方法が見つからない成績表/通知表の活かし方。高評価なら「よくやった!」と褒め、ときに褒美をあげたり。普通以下なら「もっと頑張りなさい!」とお尻を叩き、場合によっては簡単な罰を与えたり。
これ…本当は「あまり効果がない」と思っていませんか?
「えっ!?褒めないの?叱らないの?アドバイスしないの??じゃあ何すんの???」と聞こえてきそうですが、成績表/通知表自体の目的を再度考えてみると、ちょっと違った視点が生まれます。
1-1.成績表/通知表の目的とは
成績表/通知表というのは、日々の行動を数値化したモノ。
自分では頑張ったと思っていることでも、客観的視点で見たらどうなのか?という
主観と客観の差異を教えてくれるモノにすぎません。
だから、成績表/通知表というのは、子どもが自分自身を客観的に捉えるため+今後の子どものビジョンを明確にするための道具と捉えることが出来る。
1-2.実際によくあるシーン
親が子どもの頑張ったところを褒めたり、頑張れなかったところをチクチクしたり、もっとこうしたら良い成績になるよ!な~んてアドバイスしたり。
大人になった私たちも、子どもの頃は、親に見せる時にドキドキしたことを覚えているはず。おかずが減らさせるのではないかとか、いらない子と言われてしまうのではないかとか・・・成績の良し悪しで家庭内での居心地の良さが決まってくるなんていう方もいたことでしょう。
▶︎2.子どもへの声掛けの手順
子どもへの声掛けは感情にまかせてするのではなく、目的を持ってシンプルに行うことが大切。子育ての目的については、K-002子育てに悩まないためにもつべきモノで解説しています。
2-1.自己評価を引き出す質問
成績表/通知表を受けてまず、何をするのか?というと、子どもの自己評価を引き出す!
あなたはどう思う?どう感じる?
自分なりの目標は達成できた?
他に達成するためにどんなことが出来たかな?
親の顔色を伺うのではなく、純粋に本人がどう感じたのかが大事。親が子どもに対してジャッジをする気持ちを1ミリたりとも持たずに、子どもの中の現実を聞かせてもらうことが正しい自己評価を引き出すことに繋がります。
2-2.願望を明確にする質問
自己評価が引き出せたらそれを踏まえて子どもの願望を明確にする!
じゃあ次はどうしようか?
どうしたい?
どこを目指す??
それもまた親の納得のいく願望を言わせるのではなく、あくまで本人の純粋な願望を聞かせてもらうことが重要。
ここの部分に関してはとても重要な要素なので、親が出来る子どものキャリアビジョンサポートという記事で詳しく述べていきたいと思います。
2-3.日常のことに置き換えて再認識
少し難しく感じてしまう場合には、下記のように日常のシーンに置き換えてイメージしてみると簡単。
どこかに行く時
・どんな乗り物で行く? ・ 何時に家をでる? ・何を着て行く?
・何を持って行く? ・ 誰と行く? ・行った先では何をする?
カレーを作る時
・料理の完成形はどんなもの? ・材料は? ・買い足すものは?
・調味料は何? ・どれくらいの調理時間? ・何人分? ・誰と食べる?
と、思考を働かせているはず。このように、自分には出来ていることを子どもに対して使うだけです。
▶︎3.子どもの心理をイメージする
自分が行動したくなる時はどんな時でしょうか?
人は、他人からみて好ましい・好ましくはないに関わらず、何かが欲しいと思った時に、面倒臭さや疲れも忘れて思わず行動してしまうもの。
その「欲しい」は「ビジョン」=「願望」
純粋に、願望は人の行動を駆り立てます。
3-1.願望は目的
目的を目指して目標を掲げ、計画を立て実行する。ごく当たり前の行動様式で私たちは動いている。それは、なにも難しいことばかりではなく、日常の中で無意識にやっていることも多い。
逆に、欲しいと心から思わないものについては、「やらされている感」が強く、継続も難しくなり、成果も期待できないことが多かったはず。
子どもが、ゲームに夢中になるのは「クリアしたい!」「友だちよりもうまくなりたい!」「もっと先のステージを見てみたい」などという心から欲するものがあるため、何時間でも集中してゲームをやり続けることが出来る。
これは「人は自分の内側からコントロールされる」というわかりやすい例。
内側からコントロールについては別の記事で解説します。
だとしたら、成績表をみて、叱ったり焦らせたり脅したりしても、正直まったく意味はない。意味はないことはわかっちゃいるけれど、言わずにいられないのが親。親が「言わずにいられない」のは、親自身の内側にある願望を叶えたいため。
きっと、このまま子どもが勉強しなかったら、どうなってしまうのかが不安。
受験に受からなかったらどうしようか心配。
こういう親の中の「安心したい!」という願いが、「怒る」「叱る」「脅す」「焦らせる」という行動を引き起こしてしまうのです。
とはいえ「じゃあどうすんのよ!?」「放っておけっていうの?」「親なのに無責任じゃない?」と思われるでしょう。
放任はわたしも良いと思っていません。だからわたしは、怒る・叱る・脅す・焦らせる・褒美で釣ることをせずに、子どもの内側にある「願い」を聞くことだけに集中します!
3-2.成績も願望の現れ
ここで、わかりやすくお伝えするために我が家の長女が高校2年生の時のお話をしながら具体的にイメージして頂きたいと思います。
長女は、成績表を受け取った日の帰宅中にLINEで写メを送ってきました!
長女↓
「見て!www」
と。何で笑ってるのかと思ったら写メを見てすぐにわかりました!
なぜなら、成績の良い部分=自分が嬉しい部分のみを送ってきているからです。
しかし、そこには触れずに、LINEに返信。
わたし↓
「どうだった?自分的には?」
と聞きました!
すると
長女↓
「自分で選択した科目は5と4で揃ったから良かった♪」
と、嬉しい時に使うスタンプ付きで返信がありました。※5段階評価の通知表
そういう言葉を聞いてから
わたし↓
「自分なりに納得できたのなら、良く頑張れたってことだね!良かったね」
と伝えました!ある意味、これは長女が求めた結果で当然であると言えます。
ここで、再度質問です。
わたし↓
「他には?」と自己評価を聞く質問をしました。
すると、選択科目以外の
長女↓
「必修科目がヤバいね!」
と、今度は落ち込むスタンプと一緒に返信が来ました。わたしは、それも求めた結果だと知っていますが、そこは、長女が自己吟味できる環境をつくることを優先し帰宅したら話そうと言ってLINEを終えました。
3-3.目指した結果が平均以下の成績の原因とは?
長女の場合は、如実に「自分がどうしたいのか?」で成績は決まります。
自分で選択した授業(受けたい授業)は、本人曰く、普通にやっていただけでも5や4などが貰えてしまいます。
しかし、必修科目については、自分がやりたい・やりたくないは問題ではなく学校側から「やりなさい!」という科目。当然モチベーションは低い。 成績もアヒル(評価は2)さんです。
長女本人の自己評価を聞くに
「アヒルはやっぱりやばいよね・・・3くらいにしないとかな?」と。
多くの親は、ここで
『そうよね!さすがにアヒルは良くないよね。3にするように次は頑張るのね!
ちゃんとやってよ!約束よ!』な~んて言ってしまうでしょう。
しかしわたしは言いません!言わない代わりにこう聞きます。
『本当に3にしないとヤバいの???普段、必修科目の授業を受けているけど、テスト前にどうなりたいな~と思って勉強したのか教えて?』と。
すると
「あまり好きではない授業だけど、でも全くやらないわけにはいかない。だって、赤点を取れば進級できないし。赤点を取らない程度にがんばらないと!と思ったかな・・・」と答えました!
わたしはすかさず
『なるほど!赤点を取らない程度にがんばらないと!と思った訳ね!それは、赤点を取ると進級できないからね。ちなみにその場合、あなたにどんな不利益があるの?』と聞きました。
すると長女は
「だって、進級できないってことは、目指す大学に行くのが遅くなる。そうすると、大学で早く学びたいと思っているコトが学べないじゃん」と答えました。
わたしはこう返しました。
『そうか!あなたは早く自分の興味関心のある学問を学びたい!と思っているのね!その為には進級できないなんて有り得ない訳だ!だから、進級できるように赤点を取らない程度にがんばった訳ね!!するとだ、あなたは自分の目指した結果を手にしたことにはならない?赤点を取らずに進級する!ここがあなたが目指した成績!見事達成じゃん!!凄いよ!』
それを聞いた長女は一瞬考えましたが
「なるほどね!確かにそうだ!達成してるね!」と納得していました。
長女の納得を確認してから、わたしはこう言いました。
『3にしたい理由、3に拘る理由があれば、必ず達成できるもの。だけど、今わかったように、あなたには3にする明確な理由がないよね?だとしたら、3にする必要がどれだけあるのか?なぜ3にする必要があるのか?をちゃんと考えてから行動した方が、ただ不安でいることや、ただヤバいよね!って思うコト以上に有益なんじゃない?そもそも、アヒルで行きたい大学に行けるのかどうか?受験の内容なんかを調べてみたらどう?』とわたしは話を終えました。
▶︎4.成績表/通知表とはビジョンを明確にするための道具
成績表/通知表は自己評価を引き出すもので、決して、他人からのジャッジや評価を与えるものではない。
成績表/通知表を上手く活用すれば、キャリアビジョンのサポートも有効に行うことができる。自己評価を大切に、自主自律をサポートしていくことが子育ての最大の目的だと、このとき確信しました。
成績表/通知表を間に挟んで、そういうことを話すための時間にする。これが本来の成績表/通知表の存在意義。
プレッシャーを与えることが、愛だ!サポートだ!なんて誤解して、抜毛症にまで追い込んでしまった後悔の日々から得た研究結果。
「子育て」は「個育て」
「教育」は「共育」
子どもは「授かりもの」ではなく「預かりもの」
今はこんなふうに子育てを捉えています。
▶︎5.まとめ
成績表/通知表を見たら、一方的にこちらの思惑で「褒めない!叱らない!アドバイスしない!そして評価しない!」
やるべきなのは「子どもの自己評価を引き出す!願望を明確にする!」道具として上手に活用しよう。
▶︎おまけ長女の今
今現在(2020年)21歳になった長女は、自らの願い通り、音符も読めない身でありながら、音大生をやっています。わたしの大好きなマンガのロケ地になった大学で4年生をやっています。「音符が読めない音大生」このへんのプロセスについては、またいつか書きたいと思います♪