中年トランスジェンダー
僕は女から男に性別を変えて生きているFTMトランスジェンダー鈴木優希。今年42歳。
昔より出来ないことが増える。若さは平等。僕にも若い時があって今がある。今若いと言われている人たちにも同じように40代がやって来る。
でもそこにトランスジェンダーは身体を変えた代償がついてくる。
lgbtの悩みは思春期のもの?
のようだけど、性同一性障害の治療を終え性別を変えた「今」でも悩みは尽きない。
健康の事。
身体を変えているから不具合も多い。
老後の事。
病院、施設、老人ホームなどでも身体的状況があるから「元女」であることをつたえなければいけないんだろうなぁ。介護する人どう思うかなぁとか(笑)
戸籍変えたら終わりではない。
その後..どうなるの?って誰も教えてくれない。
女から男になった僕は更年期障害になった。そして骨粗しょう症のリスクも高いらしい。
そんなことも全てやり終えてから知った。
それはお医者さんのせいではない。
副作用についてもきっと伝えてもらっていたと思うが、先生たちは「性別違和」「性同一性障害」に寄り添ってくれるから、マイナス要素よりもプラス要素(例えば男性ホルモンを打つと元気になるとか髭が生えてくるよとか筋肉がつきやすくなる等・あとは戸籍変更をすると結婚できるとか)を沢山教えてくれる。
そして治療として手術をしてくださる。
女であることが嫌で男になりたいばかりの僕はプラス要素のそちらしか頭に入っていないあっぱれ野郎だったというだけのこと。
41歳になった姿なんて考えてもいなかった。
これはトランスジェンダーだからではなくて、普通の人たちでも同じ気持ちだと思う。自分が歳を取る姿なんて、なってみないとわからないのだ。
性同一性障害の治療をするにあたって、僕の身体を心配する家族に対して
「健康な身体で女として長生きしても仕方ない。自分らしく生きていきたい!女で生きていても生き地獄だ。」
なんてカッコイイことを言っていたけど、想いも状況も変わり、
健康に生きたい。
とあの頃が嘘のような真逆な気持ちになる。
親の言う事は聞いておくべきだとつくづく思う。
いいとこどりは出来ないことはわかっていたけど、心と体の性別を合わせることと健康で生きること。
生きていく中でどちらも大切な事のどちらかしか選べない人生なんだとガッカリもする。
中年トランスジェンダー
今出来ること。それは自分の身体を知ること。
弱さも老いも身体を変えた僕のペースがある。それに対してどう対応していくか?
老いも体の不具合も待ってはくれない。
どんどん押し寄せてくる。ひとつ崩れたらあっという間に他も崩れかける脆さがある。
だからこそ、自分の身体を知り、メンテナンスをしていくことが必須。
時間も費用もかけれる余裕を持っておかないといけない。
今が全てじゃない。
今の考えは変わる可能性がある事。
そして自分だけは大丈夫。の考えは捨てること。
覚悟を持って身体を変えるべき。
そして身体を変えたFTMトランスジェンダーがどう生きていくかはこれからの僕の人生を持って一つの参考にしてもらえたらいいと思っている。
※2022.5.21(土)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第8回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!
次回、第9回「BRUSHUP」は2022.6.11(土)名古屋にて開催決定!
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