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恩に報いる

先日、電話が鳴った。
昔からお世話になっている、農家のKさんだ。

「おはようございます。お久しぶりです!どうされました?」

僕は聞く。

「久しぶり。いや、草刈りのことを聞きたいんやけど・・」

「ええ、何なりと。」

電話の向こう、Kさんは話し始める。

「実はウチの村(集落農業で生産組合を営んでいる)で”意見”が出ててな・・」

「意見?」

「うん。組合の中で、自分で草刈りをしている人(労賃は組合から支給される)から、

「割に合わんのではないか?」
(つまり、全部組合に丸投げした方がトクなのでは?、ということ)

という意見が出ててな・・」

「なるほど。」

「ほやから、草刈りを任せるとどれくらいになるんやろと思てね。」

「そういうことでしたか・・」

事情は分かった。
もしそうなったら、Kさん達上層部で農作業を回すのはかなり難しくなる

実は、「集落営農」組織体からの問い合わせが、今期になってボチボチ入り始めている。

農家さんなら分かると思うけど、集落農業ってのは、要は村の共同作業体だ。だから、専属やオペレーターはいたとしても、共同作業ってのが基本になる。
「出役」とかで回すわけですね。

だから僕の会社では、個人の大規模農家さんの支援を優先し、マンパワーに“余裕”がある集落営農には営業をかけないできた。もちろん、数年以内に「必ず来る」とは考えていたけど。

だが、その綻びが予想外に早く表面化してきている。先日も1組織、仮の契約を結んだばかりなのだ。

料金体系などをざっと説明したのち、僕は伝えた。

「Kさんには御恩があります。もしご用命いただけるなら、最優先で入らせていただきますよ。」

と。

残念ながら、Kさんの村の経営規模(約30ha)では、資金的に草刈りをアウトソーシングする余裕がない。だから正直、委託は難しいと思う。

だが、そこは擦り合わせだ。
困っている面積、資金の余裕なんかを考慮して、こちらはサービスの内容を調整できる。だから是非、もう一度話をしたい。

いや、もっと積極的にアプローチすべきなのではないか?
私心なしで。

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