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登山道の草刈り③

一日の休養を置いて、僕達は最後の作業に入る。

登山道の入口はダムの向こう。初日の山の3本目の道だ。
僕達は許可をもらってダムの上をハマーで走る。

今日はここから初日の登山道まで、山を縦走しての草刈りになる。
なので仲間をもう一人呼んで、15時に向こうに迎えに来てもらう段取りである。

気をつけてね。


その言葉を背中に受けて、いざ出発。

ここは林床が明るい。しばらく進むと視界が開け、ブナの原生林が現れる。

美しいなあ・・


仕事とはいえ、役得である。

素晴らしい。

登山道が登山道として形を保つ理由は、

一年生雑草がない


ことが理由と考えられる。

この山は登山者が少ない。だから、原因は踏圧ではない。植生を観察すれば、多年生の草や灌木がその主役であることがわかる。

だから、「藪漕ぎ」となるところは、クマザサやススキといった多年生の植物が繁茂している。そういうことがよくわかった。

しかしこの山、このルートが一番いいんじゃないか?

そう思える。とにかく山が明るくて落葉広葉樹が美しい。途中、一度道を間違えたけれど、総じてその美しさを楽しめた。

あ、もちろん草は刈ってますからね。(笑)

ピーク。
空を見上げ、僕は思った。

人間って、なんて小さいんだろう・・


と。
僕の悩みなんて取るに足らない、そんな気がした。

来年はきっとここには来ない。だから、精一杯やろう。
僕達が道を間違えたポイントや、藪漕ぎのエリアを、心を込めて草刈りした。

いよいよゴールが近い。ちょっと寂しい気もする。
だが僕達は、夕方、無事下界に降りて来た。
縦走。素人がよく頑張ったと思う。

ここを縦走して来たのだ。

そして仲間が迎えに来る。

ありがとう!

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