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水田の畦畔管理94 ~クズ帝国の落日?~
クズ。別名、Green Monster。
畦畔に侵入すると厄介な多年生雑草だ。
このように、他の植物に覆いかぶさり(マウント)、
クズ・マント
と呼ばれる姿を形成する。
マウントされた植物は、光を遮られ、最悪の場合、枯死する。
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クズはものすごいスピードで生長し、あっという間に辺りを席巻する。
蔓の途中から「根」を下ろし(不定根)、”前線基地”を作っては、戦線を拡大する。
身体が大きいため、除草剤の使用にも一考を要する。
除草剤が「まだら」に効いてしまった場合、それは植物体を「分断」するに等しく、個体数が増加する。
かようにクズは、なかなか厄介な相手なのだ。
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だが最近、そのクズを手玉に取る(?)新手が現れた。
正確には、僕が、「そんな気がする」という現象である。
その新手は、
カナムグラ
僕のフィールドでは、崖の斜面なんかに自生している。
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しばらく前、農道に広がるクズが、ちょっと勢いを失っているエリアを見つけた。
「何だろう・・?」
不思議に思ってよく見てみると、クズと競り合うように、このカナムグラが勢力を拡大している。
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なんとこやつ、
クズにマウントをかけている
ではないか!
なるほど、さすがのクズも、自分がマウントをかけられたらなす術がない。
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カナムグラには、細かいトゲトゲが生えているのだが、とある資料によると、このトゲトゲが勝負に勝つ「武器」となっているらしい。
そう。カナムグラには、武器がある。
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専門的に言うと、このトゲトゲは、
アレロパシー
である。
これを嫌ってクズは、しゅんとしている・・ということらしい。
絶対王者、クズ。
僕はそういう思いでいたのだが、さすがに自然は、神の手を打ってくる。
クズの代わりにカナムグラが入ってくるのはごめんだが(笑)、いよいよ、クズ帝国も落日か?と思った次第である。
みなさんも、周りを見てみて下さい。
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