ゴールデンカムイ聖地巡礼・旭川~網走編(3)北鎮記念館で旭川と第七師団の歴史に浸る
7/31(月)~8/4(金)の5日間でゴールデンカムイ聖地巡礼メインで北海道旅行に行ってきました。こちらは3日目に行った旭川の聖地まとめです。
日程
1日目 普通の美瑛・富良野観光
2日目 大雪山系・旭岳散策、富良野、神居古潭
3日目 北鎮記念館(この記事)
3日目 屈斜路湖、摩周湖、硫黄山
4日目 阿寒湖、釧路湿原
5日目 網走刑務所、北方民族博物館、モヨロ貝塚、オホーツク流氷館
★北鎮記念館
この日は少しゆっくりめ(昨日比)に起きて9時の開館と同時くらいに北鎮記念館へ。車で行きましたが、旭川駅からバスで15分と市街地にあるので、公共交通機関でのアクセスも楽です。
こちらは現在は陸上自衛隊の第二師団が置かれており、明治時代では陸軍の第七師団が置かれていたところです! 第七師団の本拠地ですね。北鎮記念館は自衛隊の敷地内にあります。事前予約をしておくか、館内案内のタイミングが合えば、自衛官の方による説明が聞けます。ゴールデンカムイファンは説明聞くのがすごくお勧め! ゴールデンカムイファンであることを伝えると、関係ありそうな展示品の説明を重点的にしてくれます。
すずらん灯(ゴールデンカムイ10巻第97話)
上の写真で手前に写ってる街灯はすずらん灯というそうで、昔旭川の師団に向かう通りにずらっとあったそうです。ゴールデンカムイ作中でも第97話の杉元の背景にちらっと出てきます。
第七師団歴史
館内の撮影はありがたいことに自由でした(ただし人の映り込みには注意)
サクッと回りたければ1時間半程度、案内の方の説明こみでじっくり見て回りたければ2時間半は見込んでおいた方がいいと思います。この日は移動の予定があったので長居はしませんでしたが、時間の制限なければ私は3時間くらいじっくり見てられると思います。
さて案内の方の説明に従って、まずは「第七師団歴史」を拝見します。第二次世界大戦の終了間際に焼却命令が出ていたものの、後世に残すべきだと考えた黒川幸雄氏が秘密裏に保管していたものだそうです。黒川氏のおかげで現代でも見ることができて大変ありがたい限りです…。
日露戦争で二〇三高地に対する攻撃命令が出たときの記事です。写真で最初の行に「四日 二〇三高地再攻撃~」とあるのが分かるでしょうか。ゴールデンカムイファンとしてだけでなく歴史好きとしても興味深い…!
旭川の歴史
記念館では旭川開拓の歴史から紹介されています。
入植してきた屯田兵の家屋だそうです。屯田兵として入ってきた谷垣源次郎なんかはこういう家に住んでいたかもしれません。写真だと上手く伝わらないかもしれませんが、壁が薄くて本州仕様、少なくとも寒冷地の作りをしてないんですね。これは辛そう…。
写真の一番上が村田銃。二瓶鉄造から谷垣に受け継がれた銃ですね。いくつかモデルがあるそうで、作中に出てきてるのは展示されてるものより新しいモデルだそうです。一番下が作中で土方さんが愛用しているウィンチェスター銃です。作中で土方さんがくるくる回してる描写がありますが、その理由も説明してくださいました! 元ネタは映画だそうですが、薬莢を詰まりにくくするといった目的もあったそうです。
第七師団の歴史
写真の方が初代師団長・永山武四郎です。この人が町の整備にも尽力したそうなので、旭川市には「永山」さんから名をとった地名が残ってるのだとか。
大礼服は刺繍や勲章がたくさんあるため、たたまずに収納できる大きいトランクが使用されていたそうです。袖の刺繍がすごい。偉い人なので従卒とかいたんでしょうけど、運ぶの大変そうですね~。
各師団長の名前にはゴールデンカムイの登場人物と同じ苗字もありました。作中の鯉登少尉も、中将で最後の師団長となっていたので史実の鯉登中将をモデルにされてるかもしれませんね。
昔のスキーも展示されてました。2巻で杉元たちを追ってきた第七師団の人たちが履いてたやつですね! 裏に確かにアザラシの毛皮が貼ってありました! 現在の自衛隊スキーも裏面に溝が掘ってあり、同じ原理で坂を登れるそうです。
写真赤枠のあたりが杉元たちが潜入した歩兵第27連隊のところです。変装がばれて撃たれた後尾形が南へ逃げろと言っているセリフがあるので、練兵場で気球の実験をしていたという想定ではないか、と解説で聞きました。
それにしても敷地広い!
日露戦争あたり
ゴールデンカムイでキャラにそれぞれ大きな影響を与えている日露戦争についても大きく取り上げられています。
鶴見中尉たちがいる第七師団が派兵されたところでもあるし、パネルにもでてくる第一師団は杉元が所属してた部隊です。杉元は白襷隊にも参加してます。杉元は白襷隊でよく生き残りましたね…。谷垣も「畏敬の念がわいた」ということを言っていたと思います。
写真のパネルにあるエピソードは、ゴールデンカムイでも鶴見中尉と谷垣の会話の中で同じような話が出てきましたね。ここからネタを構想されたのかもしれません。
第二次世界大戦あたり
第七師団の歩んできた歴史を紹介しているので、もちろん日露戦争後の様子も紹介されています。上から古い時代の軍刀で、上の方のものは柄にきちんと柄糸が巻かれているのが分かります。下の方の刀になるうちに省略されていき一番下のものだと木に模様を彫っただけですね。段々と物資が欠乏している様子が目で分かってちょっと暗澹とした気持ちになりました。
尾形が樺太より後で使っていた38式歩兵銃の薬莢もありました。写真のような感じで5個で1セットになっているそうです。
ちょっと脱線しますが、この38式歩兵銃は第二次大戦まで現役で使われてました。使い勝手がよかったらしいんですが、明治に開発された銃が昭和まで現役ってすごいな。大戦末期には38式すら満足になかったそうですが…。
写真撮り忘れましたが、千人針の隣には赤紙もありました。このあたりの展示は生活に戦争が入り込んでいく様子が見て取れて、しんどくなってくる展示でした。でもしっかり見たい内容です。
ゴールデンカムイの時代の軍服
1階の一部のコーナーは、もしかしたらゴールデンカムイファンを意識して展示構成してくださってるのかなと思われるものでした。
歩兵第27連隊で階級章も少尉のもの。軍曹や一等卒、上等兵の軍服は支給ですが、少尉以上の士官になると自腹で仕立てるそうです。基本の型はあるけど、ある程度のカスタムは可能だったとか。
上等兵なので作中だと尾形や宇佐美が該当します。銃と弾丸、背負ってる背嚢(はいのう。リュックサックのこと)やら毛布やらを含めるとかなりの重量になりそう。実物を見て気づきましたが、肩の部隊番号のところって背嚢の紐を固定できるようになってるんですね。戦闘中に背嚢がずり落ちるようなことがなくて実用的な作りだ。
解説の方に聞いて初めて知ったのですが、三十年式の銃から菊の御紋が入っています。これ以前の村田銃とかにはなかったものですが、それだと兵が銃を捨てて逃亡してしまうというようなこともあったそうです。御紋を入れて銃を捨てて逃げるという選択肢をなくす、という意図なのだとか。残酷…。
階級は中尉のものではありませんが、肋骨服も展示されてました。飾り紐の部分がかっこいいのですが、輪っかになってる分引っかかったりすることもあったみたいで後にデザインが改められました。ゴールデンカムイでは、鶴見中尉は旧デザインのものを着てて、鯉登少尉は新デザインのものということになります。
サイン、コスプレコーナー
作者の野田先生も北鎮記念館を訪れていたそうで、第七師団メンバーのサイン色紙があります!
声優さんたちが旭川まで足を運ばれて見学されたってことですよね。役作りがすごい。
そして、コスプレコーナーもあります。衣装は館長さんの手作り。館長さん何者ですかw ちなみに飾ってあるゴールデンカムイグッズも職員さんの私物だそうです。職員のみなさんのゴールデンカムイ愛が素敵。
受付コーナーに声をかければこちらは自由に着ていいそうです(恥ずかしがってやらなかったんだけどやればよかったな)
この銃のレプリカも館長さん私物で、退官される時に持ち帰るそうです。今年(2023年度)で退官だそうですので北鎮記念館で38式のレプリカ担ぎたい人は今年が最後のチャンス!
売店(第七師団購買部)
こちらの売店でもゴールデンカムイ関連グッズをたくさん取り扱ってました。中でも売店の中の方手作りのぬいぐるみ衣装(軍服)のラインナップがすごすぎる。
こちらのティディベア、本体は市販品ですが着ている洋服は北鎮記念館で買った軍曹仕様の軍服です。元々は迷彩服着てました。着替え用の服の他のラインナップは一等卒、上等兵、少尉、中尉がありました。軍帽はティディベアの頭と軍帽に磁石が仕込んであってちゃんと固定できる仕様になっています。本当にこだわりが詰まってて素敵。ぬいぐるみを買う趣味はあまりないんですが、うっかり買っちゃっいました。
レシート見たら、「第七師団購買部」と印字してあったのもいいなー。
★北海道護国神社・国境標石レプリカ
神社の境内に、樺太編で尾形 vs 頭巾ちゃんの日露戦争延長戦で出てくる国境標石のレプリカがあります。場所がちょっと分かりにくいのですが、北鎮記念館の売店のお姉さんから場所を教えてもらいました。あとGoogle Mapにも載ってるのでそちらでも場所が確認できます。
★中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館(旧旭川偕行社)(ゴールデンカムイ6巻50話ほか)
第七師団の特徴的な建物なので、師団を象徴するようなシーンとかで背景に出てきます。偕行社は将校たちの社交場として建てられ、皇族が旭川に来られた際の宿泊所としても使われた由緒ある建物だそうです。
この日はスケジュール詰め込んでいたので建物内には入りませんでしたが、建物内部もゴールデンカムイ作中で背景で登場します。18巻の中表紙の鶴見中尉の背景もこちらだそうです。北鎮記念館で案内してくれた方から、鶴見中尉が立っている場所は光の当たり具合から建物内の北側の階段だと思うと教えていただきました。再訪して次は建物内も見たい!
旭川で訪問したのはここまで。3日目はこの後寄り道しながら網走へ向かいます!
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