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大親友だからこそ、頼めたこと。映画「よっす、おまたせ、じゃあまたね。」
少し前になりますが、6月24日(土)、吉祥寺Uplinkで映画「よっす、おまたせ、じゃあまたね。」が上映され、上映後に監督と出演者のトークショーが行われると知り、出かけてみることに(この映画館での上映はすでに終わっています)。
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映画のポスターやチラシには
「引きこもりの僕を連れ出した自称幽霊の友達。可笑しく切ない青春ロードムービー!(寄り道多め)」。
いつもの自分ならあまり見ようと思わなかったタイプの映画でした。
でも、毎週聞いているラジオ番組でLiLiCoさんとMCを担当している俳優の稲葉友さんが主役の一人を演じていて、この映画を見たLiLiCoさんが番組の中で話した感想を聞いて興味を持ちまして。
(ここから先はネタバレを含みますので、読みたくない方はここまでで・・・)
最初はこのタイトルも「?」なのですが、映画を見終わると、
「ああ、そうだったのか」
としみじみと噛み締めることに。
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主人公は二人。
大学受験に失敗した後、30歳を過ぎても実家に引きこもっているちばしん。
その彼の元にふらりと現れた小学校時代の友達、ながちん。
稲葉さんはこの「ながちん」役。
「よっす!」と笑顔で現れたながちんは、どうやらちばしんとはしばらく会っていなかった様子。
それでも屈託のない表情で
「だから、俺、死んでるから、一緒に俺の死体、見に行って欲しいんだよね」
というのです。
ながちんは、見えるし、触れるし、話せる。
タバコも吸うし、ご飯も食べられる。
それなのに死んでるって?
ちばしんも半信半疑ですが、それでもながちんに付き合ってとんでもない目になったりながちんの思い出の場所を巡ったりするのです。
詳細は省きますが、会わなくなってからもながちんにとってちばしんは、いつだっていちばんの「親友」でした。
だからこそ、彼に最後のお願いをしにきたのです。
生きているうちにしたかったことをするために。
会いたかった人に会うために。
お世話になった方に、心からの感謝を伝えるために。
大切な人に、どうしても伝えたかったことを伝えるために。
引きこもっていた親友のことを知っていたのに、会いに行けなかったことを謝るために。
そして、一番大切な親友に、自分の死体を見つけてもらうために。
挫折後に引きこもり、日々悶々としているちばしんに対し、一見明るく、チャラチャラしたながちんは地元の静岡を離れて東京で楽しく暮らしているように見えます。
でも、彼にも彼なりの悩みもあったようで。
二人の地元の静岡からながちんが暮らす東京に向かいつつ、どんどん予想外のことが起こるあまりに破天荒な展開に、グイグイ引き込まれます。
元々は監督が主催する劇団の舞台作品だったものを映画化した作品なので、セリフや役者さん同士の空気感にもとても惹きつけられました。
上映後のトークショーには猪俣和麿監督、ながちん役の稲葉友さん、今回の映画では古着屋の店主役を、お芝居の上映時にはながちんを演じた斎藤マッチュさん。
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脚本も監督が(別の名前で)書いているのですが、この映画のながちんには実際にモデルがいたのだそうです。
そして、映画では総勢35名の役者さんが登場するのですが舞台では主役2名+5名の役者さんが一人で何役も(多い人は7役)演じていたとか。
映画は夏の物語ですが(ストーリー上も夏だからこそ成り立ちます)。舞台では季節が冬だったので、役者さんが何役も演じるために着替えるのも大変で、冬服を着た状態で照明を浴びて汗だくにもなり、それはそれは大変だったそうです。
舞台と映画の両方に出演した斎藤さんの
「真剣に作ってこうなる、というすごいヘンテコな作品」
という言葉からは作品への強い愛を感じました。
稲葉さんは
「とても優しい作品と出会えた。
この映画を見た方も会いたい人に連絡をとったりこの映画を他の方に伝えてくれると嬉しい」
と話していましたが、この映画の中でどんどん表情を変えて行く稲葉さん、本当に魅力的でした。
監督も
「コロナが人に会えない時間を作った。
この映画を見て誰かに会いに行くとかしてくれたら嬉しい」
と話していましたが、確かにそうなのです。
会いたい人には、会えるうちにあっておこう。
したいことは、できるときにしておこう。
伝えたいことは、どんな形でも伝えよう。
最後の場面を見て予想外に号泣した後、エンドロールのアニメーションもびっくりするくらい作り込まれていて、その最後にも、胸が暖かくなりました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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*7月になり、わたしが東京に移り住んで丸5年が経ちました。
引っ越しと同時に働き始めた会社でも勤務6年目に入りました。
予想外のことも色々ありましたが、今も好きな仕事をして暮らせていることに感謝しています。
今月の「おついたち参り」に氏神様の武蔵野八幡宮に伺った際にはこれまでの感謝を伝え、
「これからもよろしくお願いいたします」
とご挨拶をして参りました。
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