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千年の時をこえて【インド旅行記11】
こんにちは!yukiです。
インド旅行記も終盤となりました。
今回は、
非常に貴重だと名高い遺跡、
エローラ石窟寺院
アジャンター石窟寺院
を訪れたときのお話をしますね。
高校で世界史の授業を受けた方は、
名前を覚えているかもしれません。
実際のところ、
「さすがインド!」
といった常識を超えてくる遺跡でした。
楽しんでいただけますように!
不気味な宿
青白い蛍光灯に照らされた
がらんと広い部屋に、
古いパイプベッドが16台。
黄ばんだマットレス。
シーツは無し。
道路に面した窓からは、
ププーッ!とクラクションが
響いてきます。
お客さんは、ゼロ。

ぽかんと立ち尽くしていると、
隣に立つインド人オーナーが、
人の良いやわらかな声で言います。
「1泊150ルピー(約260円)です。
どうします?」
「・・・ベッドの横に、
テント張ってもいいですか?」
「もちろんです、
お好きにどうぞ。」
かくして、
この不気味な部屋に
泊まることになったのです。
ここは、
インド西部のアウランガーバード。
教科書に出てくるほど高名な遺跡、
アジャンター石窟寺院と
エローラ石窟寺院へ
行くための拠点となる街です。
ささっと小型テントを組み上げ、
エアマットと枕をふくらまします。
テントは、
登山や野宿用に持ち歩いていますが、
ベッドで寝たくない時にも便利。
明日は、遺跡を見に行こう。
冷水シャワーを浴びながら
ぎゃあと声にならない叫びをあげ、
ぐったりと寝袋に入ったのでした。
2つの石窟寺院
鋭いクラクションの音で
目が覚めます。
窓の外はぼんやり明るく、
朝が来ていました。
天気もいいし、
さっそく遺跡を見に行こう!
まずはエローラ石窟寺院へ
行ってみることにしました。
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アウランガーバードから
バスに乗って遺跡を目指します。
「なんか観光地っぽいところ通り過ぎたな」
と思ったのですが、
ガイドブックに書いてある所用時間より
ずいぶん早かったのでスルー。
しばらく走ってからやっぱり気になり、
スマホのGPSを起動してみると、
案の定、通り過ぎていました笑
車掌さんに、
「エローラ行きたいから
降ろしてください!」
と言うと、
「やっぱり?!
声かけようと思ってたのに、
走り始めたらすっかり忘れてたよ!
ごめんね!」
とても悔しそうに謝られました。
いや、僕がちゃんと
見てなかっただけですし、
むしろ謝らせて申し訳ない笑
20分くらい、
てくてく歩いて戻ります。
ようやく入り口に辿り着き、
遺跡のゲートを通ると、
ゴツゴツした崖が見えてきました。
崖の一部が削りとられ、
中に建造物があるのが分かる。
いつか写真で見た姿。
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「想像してたより小さいな…」
と思いながら歩いていきます。
しかし。
小さく見えたのは、
遠近感のトリックでした。
近づいてみると、
かなり奥行きがあって、
その大きさに圧倒されます。
「うわー、何これ…」

崖の上に登って眺めます。
さすがインド、
柵もなく、フラついたら落ちます笑
高さは32mとのこと。
マンション10階くらいです。
この遺跡のなにがすごいって、
崖を掘って作られたということです。
全てがひとつの岩ということ。
信じられない!

ノミや金槌などのシンプルな道具で、
1世紀以上かけて彫られたそうです。
スケールが大きすぎますね。

ここはカイラーサナータ寺院と呼ばれ、
ヒンドゥー教のシヴァ神が住むとされる
カイラス山をモデルに作られています。
(カイラス山は、チベット仏教をはじめ、
さまざまな宗教の聖地です)
寺院の基部は、
象の彫刻で埋め尽くされています。
象たちが支えているという表現なのでしょう。
エローラ石窟寺院は、
3つの宗教の遺跡が入り混じっています。
仏教、
ジャイナ教、
ヒンドゥー教です。
この巨大な遺跡の他に、
34もの石窟があります。
初期のころは、
仏教の修行場として作られたそうですが、
その後に他の宗教も掘っていったとのこと。
まだ仏教が迫害を受ける前の時代なので、
うまく共存できていたのでしょうね。
見どころが多いため時間がかかり、
この日の観光はエローラだけで終了。
翌日、もうひとつの、
アジャンター石窟寺院へ向かいます。
こちらは、壁画で有名です。
大きな弧をえがく岩壁に、
石窟が掘られています。
見た目的には、
エローラよりもかなり地味な感じ。

石窟の中は暗く、
ひんやりとしています。
暗すぎるところは
照明が設置されていました。

・・・壁画は、あまりに衝撃的でした。
美しすぎる。

闇の中にぼんやり浮かび上がる、
1500年以上も昔の仏教美術。
美術館などですごい絵を見たときって、
あまりのオーラに吸い込まれてしまいます。
立ち尽くして、気づいたら30分…
なんてこともザラ。
アジャンターの壁画でも、
そのような現象が起こりました。

写真で伝えられないのが悔しいですが、
とにかく圧倒的な“美”があったのです。
もはや奇跡と言っていいのでは…。
壁画だけでなく、
微細な彫刻も堪能できます。

壮大なエローラと、
繊細なアジャンター。
どちらも素晴らしすぎました。
プチ・タージマハル
アウランガーバードには、
他にも有名な観光地があります。
その名も、
ビービー・カー・マクバラー。
(長いですね)
見た目が、
タージ・マハルっぽいのです。

でもタージに比べて何だか小さい、
輝きにも欠けるような…
近づいて建物に触ると、
カサカサっと軽い触感です。
タージ・マハルが
大理石で出来ている一方、
こちらは漆喰なのでした。
素材感の違いって、大きい!
タージ・マハルは、
当時の皇帝が、
王妃のお墓として建てたもの。
オール大理石かつ、
高さ70m超のタージ・マハル建設は、
国の財政を傾けてしまったようです。
(さっきのカイラーサナータ寺院は32m。
タージ・マハル、化け物ですね!)
このビービー・カー・マクバラーは、
タージ・マハルを建てた皇帝の息子が、
父と同じように王妃のお墓として建てたもの。
さすがに財政状況が厳しく、
オール大理石は無理だったようです。
とはいえ、
こんなお墓を作るなんて、
スケールが違うなあ…。
またもやインドに圧倒された、
アウランガーバード滞在でした。
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次回は、飛行機で、
最北部・ラダック地方へ向かいます。
一気に極寒の山岳地帯へ。
お楽しみに!
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
それでは、今日も良い1日を!
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