「寝る子は育つ」を科学する。
昔から、「病は気から」「医食同源」など、健康に関係する言葉が多く存在します。
そんな中で今回は、「寝る子は育つ」を、科学の観点から説明していきたいと思います。
人は「成長ホルモン」という、身長を伸ばしたり、人の代謝を向上させるホルモンによって少しずつ大人になっていきます。
成長ホルモンは思春期後期に分泌のピークに達し、大人になるにつれて、分泌量は減少していきます。
中高生が大きく身長が伸びるのはこのおかげです。
成長ホルモンは、身長を伸ばすだけでなく、からだの様々な臓器に関与し、代謝を促します。
代謝とは、からだにある物質をエネルギーとして使えるような物質に変換し、臓器が活発に動けるように働きかけることです。
代謝を繰り返すことで、子ども達はからだも心も大きく成長していくのです。
成長ホルモンは、子供だけでなく大人にも様々な影響を及ぼします。
日中の心身の疲れやストレスから解放し、からだの組織の修復、老化の進行を抑制するのも成長ホルモンの役割です。
この「成長ホルモン」はいつ分泌されるのでしょうか。
成長ホルモンは、深く入眠してから約30分で分泌のピークに達すると言われています。
時間帯でいうと、午後10時から午前2時の間です。
この時間帯にしっかり入眠し、質の良い深い眠りができていることが、大切です。
睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌が減少するほか、
メラトニンという物質の分泌が減少し、成長を阻害したり、自律神経系や脳の機能の発達にも悪影響を及ぼすことが報告されています。
近年は、24時間いつでも楽しめるゲームやテレビ、スマホなど、娯楽がたくさんあり、睡眠を大きく阻害する因子となっています。
寝る前に強い光を浴びることで、睡眠の質を低下させ、それが成長ホルモンの分泌低下につながっています。
なかなか寝られない、寝ているのに朝起きられない、集中力がない、など、睡眠が阻害されることによって引き起こされる症状は様々です。
からだの発達だけでなく、親にとって手のかかる子供であったり、発育・発達の面でマイナスな要素が多くみられるようになります。
日々の子供たちの生活リズムが、子供たちの発育に大きく影響していることはご理解いただけたかと思います。
もし自分のお子さんの発達で悩むようなことがあれば、もしかしたら睡眠不足による成長ホルモンの分泌低下が関係しているかもしれません。