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自分の気持ちに正直に生きて。中学生の僕への手紙


過去に手紙は届かないけれど、
25年前の僕、
中学生だった頃の僕に
手紙を書きたいと思う。




25年前の僕へ




こんにちは、
中学1年生の僕。


僕は25年後の、
未来の君。


元気にしてるかい?


いや、
元気にしていたね。


君は
小児喘息を患っていたけれど、
小学校高学年になって
剣道を始めたおかげか、
それを克服したんだった。


運動音痴で、
体力こそなかったけど、
昼休みにはクラスの友人と
ドッジボールをするくらいには
元気になっていたよね。


よきかな、よきかな。


剣道といえば、
小学校を卒業するとき、
剣道部の壮行会で
先生方に言われたことを
固辞したことがあったね。


「中学生になっても剣道を続けろよ」
と言われたにも関わらず、
それを固辞した君のことを
僕は今でも尊敬しているよ。


よくぞ、圧力に負けず、
自分の気持ちを貫き通した。


本当に、すごいと思ってる。


これからも
自分の気持ちを貫くことを
やっていってほしい。


なぜ今、
君に手紙を書いたのか。


それは、これから先、
君はそれを貫くことをやめ、
人の言いなりになることを
選んでしまうからなんだ。


これは
未来の自分からの呼びかけ。


注意喚起だ。




君はこれから、
保護者からの圧力が高まっていく。


君も身に覚えがあるだろう。


自分の思い通りにならなければ、
体罰を繰り返していたあの人のことを。


門限を守らなければ、
外に詰め出し、
中に入れたと思えば
怒鳴り声で叱責する祖父のことを。


彼からの圧力が増す。


なぜなら、
君は長男だ。


しかも、彼の孫の中で
最初に生まれた男の子。


特別な思い入れがあるらしく、
君を自分の思い通りに
育てあげようとしてくる。


だから、
彼からの圧力が
どんどん強くなっていく。


「言うことを聞かなければ、勘当だ。」


こういう言葉を
何度も聞かされることになる。


そして、僕は、
情けないことだが、
これに屈してしまった。


自分の思いをへし曲げて、
人生の大半を
彼に捧げてしまった。


自分の気持ちを
大切にしてやれなかった。


それゆえに、
僕は18歳で人生の終わりを感じ、
20歳で心が折れて鬱になり、
25歳の頃には自殺寸前までいった。


すべては彼の言いなりになり、
世間体を気にし、
自分の気持ちに
正直に生きなかったためだ。


そんな僕だが、
37歳になった今、
ようやく彼の呪縛から離れ、
自分の道を歩み始めている。


ようやくだ。




僕は、
君にはこんな回り道を
してほしくない。


こんな苦しい思いを
してほしくない
と思っている。


だから、
君に大事なことを
一つだけ伝えたいと思う。


自分の気持ちを大事にしてくれ。


彼に、他人に、
君の人生を委ねてはいけない。


彼は、自分の思い通りにするために
情報を制限してきたりもするだろう。


しかし、
それに流されず、
自分で情報を集めるんだ。


彼が言っていることが
事実なのか、
そうでないのか、
それを自分の目と耳で
確かめるんだ。


その上で、判断してくれ。




君は彼に育てられた。


彼の言いなりに
なりやすいように
育てられた。


自信を持てない気持ちが
強くあるのはわかる。


実の親が
あてにならないのもわかる。


だけれども、
彼の言いなりになってはいけない。


彼は君の気持ちを汲んだ
幸せな人生には導いてくれない。


彼は彼の思う
幸せな人生に
向かわせようとするだけだ。


その先には、今の僕がいる。


こちらにきてはいけない。


君の幸せは
自分で掴むしかないんだ。


他人に任せても、
自分にとっていい未来には
連れて行ってはくれない。




でも、一人で
それを成し遂げるのは
とても大変だ。


だから、君にとって
頼りになる大人を見つけるんだ。


幸いにして、
君の母方の祖父母、
そして、
おじが頼りになる。


君のことを大事にしてくれる。


離れたところに住んでいるが、
まずは彼らを頼ってみてくれ。


きっと君のことを
助けてくれるはずだ。




それに、
勘当されても人は生きていける。


学生だから働けなくても、
生活保護というシステムが
日本にはある。


君が生きている時代、
僕から見れば25年前の時代は
生活保護を申請することが
とても憚れる時代だったのは
よく覚えている。


でも、
申請していいんだ。


とても恥ずかしい気持ちに
なるかもしれない。


しかし、
これは国民に与えられた権利だ。


俺の税金でどうたらこうたら
と言ってくる奴がいても、
気にしなくていい。


年収600万円いってなかったら、
誰でも他人に
おんぶにだっこされてるんだから
気にしなくていい。


…なんていっても、
君は気にするよな。


自尊心を削られて
生きてきてて、
真面目だもんね。


わかってるよ。


ただ、
それの解決方法は
すまない、
わからない。


君は学生で、
働ける年齢に達していない。


だから、
開き直るしかないとは思う。


また、方法を見つけたら
手紙を送るから、
今はこれで許して欲しい。




それはそれとして、
勘当されても
君は生きていける。


これだけは、
確実に言える。


だから、
彼の言いなりにならないでくれ。


世間体も気にしなくていい。


ただ、
自分の気持ちに正直に生きてくれ。


自分が楽しくなれること、
したいことをして、
したくないことはしなくていい。


そうすれば、
君はイキイキと生きていける。


精神を病むことも、きっとない。


だから、
どうか自分に正直に生きてくれ。


健闘を祈る。




25年後の僕より。




もし、
25年前に手紙を送れるとしたら、
僕はこれを送りたい。


自分の気持ちに正直に生きて。


ただ、それだけを伝えたい。


彼に屈しなければ、
僕はどんな人生を送っていたんだろう。


今考えても
どうしようもないことではあるけれど、
もう少し気楽に生きていられたのかなと
考えてしまう。





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