2023年のレンタルスペース業界の事を考えてみる
初めに言っておきますが、スピード感のあるこの業界では予想が当たることはなかなか無いと思ってます。(いきなりガチガチの予防線)
それでも自分が事業を通じて感じている事、予約目的の動向、様々な業界関係者(ホストの方や予約サイト運営者)の方との意見交換を踏まえ、今自分が見えている視界について書いておきたいなと思いました。2歩先は見えませんが0.5歩先の世界はある程度見えてきた感じがしております。
先に結論言っておきますが、来年のレンスぺはチャンスだと思います!
ホストの方は収益アップすると見ています。
ではではどうぞご笑覧下さいませ~!
はじめに(自己紹介)
改めましてですが、私は株式会社クルトンの共同代表をしております森実(もりざね)と申します。
全国で空室や空床のレンタルスペース化のご提案から実際の運営代行までまるっとお引き受けさせて頂いております。
レンタルスペース運営代行件数は全国で約約900件。管理物件数では業界NO.1です。
またupnowという簡単に予約サイトを作成出来るツールの提供も行っております。
ワークブースPAOもメーカーと共同開発しまして、ワークブースを使った収益化のご提案などもさせて頂いております。
そして私個人はTwitterもやっていますので、もし宜しければフォローお願いします。レンスぺ業界の事をぽつぽつと呟いております。
https://twitter.com/crewtone
レンスぺ2022の振り返り
まずはレンスぺ業界の2022年の振り返りからいきたいと思います。
1.行動様式がコロナ前に戻った事
これはもう皆さまも感じていらっしゃるかと思いますが、「流石にもうこれ以上はじっとしてられない」というサイレントマジョリティー的な潮流によって経済は動きました。
それはレンタルスペースの売上にも顕著に表れており、2022年の弊社の管理レンタルスペース上位スペースの売上動向をみると1年間通して前年同月比を超え続けていました。
特に個人を対象としているパーティースペースの売上回復は顕著でした。
しかし会議室の売上はまだそこまでじゃないというのは面白く、会議室のメインターゲットの法人においてはまだもう少し大人数での会議は控えているような印象があります。
2.小型パーティースペースから中大型パーティースペースに移行が進んだ
2022年のトレンドとして「小型パーティースペース」が狭域商圏で爆増したことによる収益の悪化が全国の繁華街エリア中心に起こっていました。
関東であれば新宿エリア、関西なら難波エリアなど。
では大型のパーティースペースはどうなっていたか?実はコロナ禍において最もダメージを受けていたためこの2年でほぼほぼ撤退や業態転換していました。当たり前ですが、大型スペースになるほど賃料も大きいですからね。
そしてこの1年のパーティー需要の急回復、かつまとまった人数で集まる事にも抵抗が無くなってきた。それは利用時の人数を見ていても明らかです。
この2つの流れから、小型パーティースペースを畳んで大型パーティースペースに切り替える流れが起こりました。
弊社管理物件では無いですが、下記スペースとかすごいですよね。
3.リベース社(インスタベース)の上場
そして12月16日にあったサプライズとも言えるのが予約プラットフォーム「インスタベース」を運営しているRebase社の上場です。
弊社の取扱高を見てもこの2年ほどインスタベースの売上は非常に伸びていたのでもしかしたら・・・と思ってはいましたが、まさかまさかの年内に上場するとは。
業界で行くとスペースマーケット社に次いで2社目の予約プラットフォームの上場は非常に嬉しいニュースとなりました!
2023年のレンスぺ業界はどうなりそうか?
ここからは未来の予測をしていきたいと思います。キーワードは「アーリーアダプター」「インバウンド」「利用人数1人と大人数の予約が増える」「特定多数」です。
1.アーリーアダプター
まず2023年はレンスぺの普及率としては、イノベーター理論で言う「アーリーアダプター層」にまで広がるのかなと思っています。
参考:https://www.onemarketing.jp/contents/innovation-theory_re/
つまり「レンタルスペースって使ったことありますか?」と聞かれたら50%の人が使った事がある状態になるってことです。
大きく出過ぎでしょうか?
僕がそう思うのには2つ理由があります。
1つは上述の通り業界としてはプラットフォームで2社目の上場会社が誕生しました。(Rebase社)
業界としての知名度アップもそうですし、広告費の投下なども行っていくのではないかと思います。
そしてもう1つの理由。それは街中の至るところでレンタルスペースを見かける事に2022年は間違いなくなったからです。
街中で見かけるというのはこの2年で現れた「ワークブース」のことです。
JRの駅構内にあるステーションブース、メトロ地下などにあるココデスク、オフィスビルなどにはテレキューブ、商業施設にはPAOやリモートワークボックスと街の至る所に出現しました。
お堅い業界の方に「レンタルスペースって使ったことありますか?」と聞いてみても2年前なら、間違いなく使ったことあるなんて人はいませんでした。それが今では、「駅とかにおいてあるボックスは使ったことあるよ」と良く言われるようになりました。
ワークブースが目に見える形で街中に出現した事でレンタルスペースをリアルの場で感じられるタッチポイントにもなりましたし、レンタルスペース利用における1番のハードルである初予約のハードルを下げてくれたと思っています。
上記から2023年はレンタルスペースの普及率は遂にアーリーアダプター層に届くと思っています。ワークブースを使った事ががある人に会議室やパーティースペースを使ってもらう事が出来るかが普及のカギになると思います。
それぐらいワークブースは今までは考えられなかった層をレンスペ業界に呼び込んでおります。
2023年は新規ゲストがグッと増えるはずです。
2.「インバウンド」
インバウンド(外国人観光客の来日人数)の急回復は領域として近しいレンスペ業界にも大きく影響すると予想しています。影響としてはレンスぺについては売上のアップが見込めます。
大きくは3つの理由があります。
①ホテルのワークスペース貸し出し、飲食店やカラオケ店の個室貸しなどあくまで売上が回復するまでの「つなぎ」として掲載されていたレンスペが掲載を取りやめるため。
②不動産投資家の目線がレンスペから民泊に移るので新規参入が少ない
③レンスぺを賃貸物件で行う際の「転貸」許可の不動産が民泊物件と取り合いになりなかなか物件が出てこなくなる
上記の通りインバウンド効果でレンスペホストの皆様には好影響が出ると思います。
当然その効果はインバウンドの強いエリアほど顕著に現れると見ています。
3.利用人数1人と大人数(20人以上)の予約が増える
2023年のトレンドとしてはこれが間違いなくあると思ってます。
予約に占める利用人数のデータを取ればこの2つのシェアが高まるはずです。
<大人数予約>
そもそもコロナ前のレンタルスペースは「大人数」がキーワードだったんです!
20名程度で集まってのセミナーや趣味で集まりたい、社内研修やセミナーで使いたいけどそこまで予算はない。
そこにフィットする金額が高すぎず、それでも収容人数が~50名程度で使えるスペースが大人気でした。
大人数の集まりは当然予約時間も長く、単価も高く取れるので高収益。
今の予約データを見ていてもこのコロナ前のトレンドに戻りつつあると感じています。
これはパーティースペースにだけ言える話ではなく、会議室やダンススタジオなどでも大人数予約が2023年は増えていくと見ています。
足もとの予約を見ても会議室ではコロナでパタッと無くなっていた「講演会」「リアルセミナー」みたいな予約も明らかに増えています。
特に研修や説明会はリアルへの回帰が本格的に起こります。
企業のカルチャーを醸成するにはリアルの場はやはり必要と感じているのだと思います。
そういった法人の需要の揺り戻しが顕在化すると見ています。
そうなるとパーティースペースから会議室まで様々なスペースで大人数予約が増えると思います。
<1人予約>
そして1人予約についてもさらに増えます。これはオンライン会議需要が定着した事と週5日出社が起因しています。
1の再掲にはなりますが、2022年でずっと右肩上がりに成長したカテゴリーは個室・ワークブースのカテゴリーです。
一見すると「週5出社に戻す企業が多いのになんで利用が増えるの?」と思われると思います。
答えとしては「週5出社に戻ったけど、オンライン会議は無くならず定着した」ためです。
つまり
出社するようになる⇒客先での対面アポイントも増える⇒対面アポの合間にオンライン会議も入る⇒街中でオンライン会議をする場所が必要になる
という事です。
ワークブースはさらに2023年も全国で増台していく事も間違いないと思いますので、1人予約はさらに増えていくと予想しております。
4.特定多数
最後は特定多数という領域についてです。
レンタルスペースがターゲットとするのは当然不特定多数になるのですが、2023年には特定多数を対象としたレンタルスペース市場が伸びると見ております。
特定多数というのは例えば
・オフィスビルの入居テナントに貸し出し+不特定多数にも特定の曜日のみ貸し出し
・レジデンスマンションの入居者のみに貸し出し
・社員には無料貸し出し+取引先様には有料貸し出し
といった今までにない貸出需要が生まれております。
これもワークブースの設置がきっかけとなる事が多いです。
というのもこの相談は建物管理会社から弊社に相談頂く事が多い案件です。建物入居者や関係者からワークブースの設置の要望が多く上がり、それがきっかけで貸出導線を考えたいという相談が増えています。
この領域でみると実は貸出サービスにも商機があるように感じています。
テナント向けの予約システムが非常に使いづらかったり、いまだに紙で予約管理していたりしている事も。
ちなみに弊社ですと、upnowで予約サイトを作り、特定多数への運営代行の体制構築も可能です。
おわり
かなり長くなってしまいましたが、これが僕の2023年のレンスぺ業界の予測です!
新規でレンタルスペースビジネスをお考えの方や、既存プレーヤーの方で来年事業の幅を広げたい際に、1つの参考にしてもらえたらと思います。