現実的なオリジナルチームに女子選手を入れていいのかという問に対する自分なりの解
前書き
パワプロオリジナルチーム作成の大御所、ルイセンコさんが以下の記事を出されています。
こちらで書かれているところの「パトス」だけで突き走った結果の1人は私です。
パワプロ2022の頃から、他の方がオリジナルチームに女性選手を入れてるのを見て、自分もやってみたい!と勢いで女性選手がいるチームを作ったのがサンズでありナイツでありチクタクス、つまり私は太陽であり夜であり時間である(哲学者風)。
私のチームは実在球団とトータルでは同等レベルかやや弱いぐらいの戦力になってはいますが、個々の選手は現実的な査定(能力)かというとクエスチョンマークが付くとは思いますが・・・
妄想はさておき、ルイセンコさんから呈されている疑念というか違和感?はもっともなことで、作成したオリジナルチームがいるのが現実の日本の環境をベースに構築した世界観であるなら、そこに所属する女性選手も現実にある程度沿わないとそこだけ突飛なことになるでしょう。
かくいう私も現実の日本の延長線上に、架空の島などがあるということでチームを考えて来ました。
しかし、現実では男性の野球の競技人口に対して圧倒的に少ない女性の競技人口というのが日本の状況ですが、もし、仮に女性でも野球をプレーする人数が男性並みにいるとすれば、裾野が広がって、その中から今よりも、例えばフィジカルエリートと言われるような人や、野球に適した人が出てきたり、更にはお互いに切磋琢磨出来る環境が整ってもっと高いレベルに到達しうるのではないか、ということをぼんやりと以前から考えていました。
もちろん、今、実際に女性のプロ選手として活躍している方がフィジカルが弱いとか貶める意図は全くないのですが、今回のルイセンコさんの記事を契機に、以前から持っていた空想に基づいて、私なりに構築したロゴス(後出し)を以下に記載してみたいと思います。
考察
競技人口
以下、競技人口の推計と、カッコ内にプロ人数(もしくはトップカテゴリーの人数)を記載します。
競技人口の推計は以下の笹川スポーツ財団のデータ(2022年調査)から引用しています。
このデータは週1回以上、該当競技をしていると回答した人の率から推計した値となっています。なので、他で見ることがある◯◯競技連盟の登録者数といったものとは違ったデータです。
プロ登録人数は、サッカーはJFA、男子バスケットボールはbリーグの公式統計データから、他は各公式ホームページのチーム・選手紹介ページから筆者が目で見て足し上げるという、インターネッツと原始的な方法のハイブリッドで計上しています。
野球
男性:229万人(12チーム・840人(支配下登録・最大))
女性:27万人(巨人、阪神、西武各球団の女子チーム所属人数合計 66人(2025年1月確認))
サッカー
男性:224万人(J1 20チーム・660人(2023年度))
女性:75万人(WEリーグ 12チーム・338人(2023年度))
バスケットボール
男性:149万人(B1及びB2 38チーム・527人(2024年5月))
女性:85万人(WJBL 14 チーム・220人(2024-25シーズン))
※男性はB1だけの数値は見当たらず、手間を避けるためB2まで含んでいます
バレーボール
男性:65万人(SVリーグ 10チーム・175人(2025年1月確認))
女性:149万人(SVリーグ 14チーム・270人(2025年1月確認))
全部の競技を調べた訳ではありませんが、チームスポーツの競技人口で国内トップ4とされる(ランニングとかゴルフなど個人でもっと多いスポーツはあるが)を記載しました。
女性に関して言うと、競技人口ではバレーボールが最多、プロ(トップリーグ)の人数ではサッカーが最多となっています。
野球はそもそも女性のリーグが現在は無い状況ですが、競技人口もプロ人数も4番目で底辺も頂点も小さいということ、また男性との人数比率ではいずれも約10分の1で最大の差となっていることが分かりました。
競技人口、引いていえばアマチュアレベルから女性が野球を出来る環境が拡大し、プロのリーグが安定して運営され、プロ人数が拡大したとすれば、より高いレベルで野球を実施する選手も出てくると考えられるでしょう。
平均身長
身長データについては、以下のスクスクのっぽくんのサイトから引用しています。
ちょっとデータは古いですが、今回引用させていただいた以外にも色んな競技が載っているので、見るだけで面白いと思います。
17歳男子:170.7cm(2015年)
17歳女子:157.9cm(2015年)
野球
男性:178.8cm(2016年度日本代表)
女性:162.8cm(〃)
サッカー
男性:178.3cm(〃)
女性:162.3cm(〃)
バスケットボール
男性:191.6cm(〃)
女性:177.1cm(〃)
バレーボール
男性:190.5cm(2014年度日本代表)
女性:175.0cm(〃)
身長に関しては、必ずしも高いだけで活躍できるという訳ではないとは思いますが、身長が高い方が筋力量や動きの大きさで優位に働くことはあるでしょう。
もし女性の野球人気が向上し、例えば、その中で身長、筋力量がある人が野球を選んでくれれば、身体能力の頂点の位置が今よりもが更に高くなる可能性はあるでしょう。
走力
パワプロの数値で、他の競技の女性アスリートと比較出来そうなのが走力であると思ったところから、考えてみたいと思います。
もちろん直接的な比較は難しいですが、女性としての最大値がプロ野球(というかパワプロの数値)ならどのあたりに位置づけられるのかを見てみたいと思います。
元々これを考えてみたいと思うように至った記事がこちら。
こちらの記事とその次の記事によると、パワプロ2024収録の現役選手で最高の走力(S97)を持っている五十幡選手の大学の時の50m走の申告タイムは5秒42ですが、これは日本記録である朝原宣治さんの5秒75を越える、というもの。
いくらなんでもそれは・・・ということで、記事内にある研究によると、そのズレは計測方法によるもので、陸上競技での正確な測定方法との大体の差は0.6秒、といった内容です。
この差をそのまま雑に当てはめると、五十幡選手の50mの修正後タイムは6秒02となります。
また、朝原さんの100mのタイムが10秒02、これは自身の50mの記録の約1.742倍です。反対に言えば、100m走のタイムを1.742で割れば、プロ野球選手の50m走のタイム(修正後)になる、という凄い雑な仮定を置くことにします。
これを使って、パワプロに収録されている選手の数値と陸上競技における女性選手のタイムを比較して、女性としてのポテンシャルを見てみたいと思います。
パワプロ収録選手
パワプロでの数値は2024最終アップデート(ver.1.07)の数値です。
50m走の数値は、大体ドラフト関係の記事(出典はいろいろ)から引っ張って来たものです。本当は少なくとも出典は統一したかったのですが、去年の選手名鑑捨てちゃったのが悔やまれる。
五十幡選手(S97):50m 5秒42(修正後6秒02、100m換算10秒49、以下同様に記載)
高部選手(S90):5秒8(6秒4、11秒15)
滝澤選手(A81):5秒8(6秒4、11秒15)
浅野選手(B70):5秒9(6秒5、11秒32)
度会選手(C65):6秒0(6秒6、11秒50)
紅林選手(D56):6秒2(6秒8、11秒85)
戸井選手(E48):6秒5(7秒1、12秒37)
高部選手と滝澤選手が、同タイムなのに走力に差がありますし、高部選手と浅野選手のパワプロの数値の差が50m走のタイムの差に比べて大き過ぎますが、元々正確な測定ではないだろうし大体こんなところということで・・・
陸上選手の記録
次に女性陸上選手の100mの記録から、50mのタイムに逆算した数値を見ていきます。
日本保持者 福島千里さん:100m 11秒21、50m換算6秒44
※参考 福島さんの60m記録(日本記録)7秒29
これで行くと、福島さんの記録はS90の高部選手とB70の浅野選手の間ぐらい、よく見積もるとA80ぐらいとなります。
もちろん短距離走に集中して取り組む選手と、打撃や守備など他の動きも要求される選手とでは単純には比較出来ませんが、1割ぐらい割り引いたとして、女性のポテンシャルとしては走力はC65からB75ぐらいの数値なら、そこまで非現実的ではない、と言えるでしょうか。
また世界記録を見てみます。
世界記録保持者 フローレンス・G・ジョイナーさん:100m 10秒49、50m換算6秒02
1989年から30年以上破られておらず疑惑を示されることもある記録ですが、歴代2位の記録がエレーン・トンプソン選手(2021年)の10秒54なので、数値としては現世界記録とそこまで差はないこととなります。
ジョイナーさんの50m換算タイムは五十幡選手の50m走のタイム(修正後)と同じ、つまりS97相当となります。
多少割引くとしても、メチャ速外国人選手、みたいな想定であればA85〜88ぐらいあっても妄想の類い、とまでは言えないかもしれません。
肩力(球速)
その他に記載出来そうな数値としては肩力と球速です。
自分が見た限り、日本の女性野球選手での最速は森選手で129キロ。
パワプロ2024では最遅が日本ハムの鈴木投手で133キロ、肩力はE49。
次点がヤクルトの石川投手で、134キロでD50。
そうなると森選手の肩力はE45あたりとなるでしょうか。
世界の女性選手だと、日本語の記事だとハデク選手の137キロですが、英語記事だとGenevieve Beacom選手の138キロがヒットします。これは肩力ではD54あたり。昔、女性の世界記録は143キロとかいうのをどこかで見た気がするんですが、見当たらなかった・・・
陸上競技での投擲系の記録では、100m走などのスピード系の競技に比べて男女の差が大きく(日本でも世界でも)、肩力については男性とは差がつくだろうと考えられるため、現実の女性選手としてはこのあたりの数値が最大と見てもいいでしょうか。
ミート、パワー、守備、捕球
なんもわからん。パワーは過去の女子プロ野球のホームランから分かるかとも思いましたが、金属バット使用とのことで、思考の寄る辺がないです・・・
1つの答えがパワプロ12に収録されていた片岡安祐美さんの公式査定。パワプロ12を実際にプレーしたことがないのでネット頼みですが、弾道2EFEDCDという数値。
パワプロ製作陣がどれぐらいの心づもり(プロ野球選手の査定とのリアルな比較なのか、ある程度見栄えを重視したのか)で設定したかは分かりませんし、自分が1試合だけ茨城ゴールデンゴールズ(と千葉熱血MAKING)の試合で見た印象で語るのもなんですが、片岡さんの守備については確かに素晴らしいものがあった・・・ので、ひとまずこの数値が1つの基準ですかね。
余談ですが、かつてアメリカに存在した女子プロ野球を題材にした映画(A League of Their Own(邦題:プリティリーグ))を最近観たことがあって、そのリーグの実際の記録から何か分かるかなとも思いましたが、私の浅い調べでは球場の広さやバット、ボールの材質が分からなかったため、断念しました。
なお、完全に余談ですが映画にはあのマドンナさんが出演、時には土も被りながら演じているのを見てビビリました。
エンドロールでは、当時実際にプレーしていた選手がおばあちゃんになって野球に興じているシーンが収められているのですが、白髪にメガネのおばあちゃんらしい見た目ながら、恐らく175cmぐらいの身長と体格、そして審判のストライク判定に食ってかかる迫力を見て、この人が当時バットを振っていたのか・・・(ゴクリ)と恐れ慄き、現役時代は弾道3パワーB、プルヒッター、威圧感ぐらいあってもいいな、と思いました。完全にイメージ査定。
結論
これまで見てきた現実の陸上競技でのタイムが示すように、男性のプロ野球選手と同程度のスピードを出せるポテンシャルが女性にはあります。
また、身長などの身体能力含め、他の競技よりプレー人口が少ない野球において、より多くの女性がプレーしているとすれば、より高いレベルの選手が出ている可能性も考えられます。
以上を踏まえ、ルイセンコさんの問いへの私なりの解は、現実の日本の延長線上の世界観で、しかし野球をプレーする女性が現実より多く、かつ育成年代からプロまでプレー環境などが整っている、という前提を置くなら、プロ野球でもある程度通じる能力を持っていてもおかしくはない、というものです。
夢で語るなら、最大で弾道3ミートCパワーD走力A肩力C守備B捕球Cぐらいの選手がいる世界観でも有り得なくはない、というのが私なりの"ロゴス"です。
(まぁこれを超える女性選手作っちゃってるんだけど)
ただ、上記のことは多分にファンタジーを含んだ話ですが、大谷翔平という選手がプロレベルでの二刀流はあり得ないという疑念を完全に打ち消したように、過去、そして今、野球に打ち込んできた女性たちが積み上げたものが結実し、女性が野球をプレーすることが当たり前になり、女性が男性と一緒にプロ野球をプレーすることが実現し、仮定の世界観に頼らずとも"現実"が男女が共存するオリジナルチームは全くおかしくないよ、そんなふうに思わせてくれる未来もあるのではないでしょうか。
後書き
結論で、結局のところロゴスよりパトスまみれの一文で締めくくったところを見ると、自分は理論より感情を優先する方なのかな、と思いました。
根拠も計算の仮定も粗いにもほどがあるものを並べ立てて、ごちゃごちゃと述べましたが、ぶっちゃけオリジナルチームなんだから自由に作ればいいのです!!!(ルイセンコさんの冒頭と一緒)
最近自分でオリジナルチーム作りをするに当たり、選手の設定もですがチーム設定にも凝りだしてきて、いろいろ考えては書いてるのですが、現実に近いものほど設定の粗を探そうと思えばいくらでも出てきます。
例えば、結論で書いたように野球をプレーする女性が多くなったとすれば、その分減る分野(他のスポーツだったり、文化系の活動だったり)も出るでしょう。その減った分野の活動は弱体化したのかどうか。
また現実には無い地域、ましてや既存12球団に加えて新たに野球チームがあるとすれば、当然ヒト・モノ・カネを集めないといけないですが、それはどこから来たのか、他の分野(商業や観光など)や地域から集めたのであればそちらの衰退に繋がったのかどうか。他から集めたのではなく、純増したとするのなら、どうやって現代日本の少子化や経済縮小を乗り越えたのか・・・
更にはスタジアムを新たに作るとなれば、そこに元々住んでいた人や商店・会社などはどうなったのか、建設に反対運動は起きなかったのか、交通手段は確保されているのか、確保されていないなら交通渋滞はどうするのか・・・などなど。
現実的な設定を元に考えれば考えるほど、現実の情報量が多い分、重箱の隅まで考えなくてはなりません。
なので、私が自分のチーム設定を考える時や、他の方のオリジナルチームの設定を見る時は、一読してある程度筋が通ってれば、まぁいいか・・・の気分でやっています。
もちろん、しっかり世界観を作り込んだオリジナルチーム、設定は読み応えもあり楽しいですが、そうでなくても、ぜひ気軽にオリジナルチーム作り、更には女性含めた選手作りにチャレンジしてほしいな、というところで筆を置きたいと思います。