衆議院選挙~経済対策、多様性、DXを考える~
26歳ですが、いまだにポストに選挙の投票用紙が入っているとわくわくします。これが教科書で習った選挙権かぁ、てなります。
今回の選挙について、個人的に気になっている経済対策、多様性(ダイバーシティ)、DXの観点から考えてみたいと思います。
この3分野だけでも論点はたくさんあります。積極投資による経済成長が先なのか、それとも所得分配による消費拡大がよいのか。女性議員の割合166位の汚名をどう解消するのか。外国人労働者は受け入れるべきか。デジタル庁の役割な何なのか。民間のDX実現のために必要なことは何なのか。
以下にそれぞれの政党の立場について見ていきます。
経済対策
自民党は政策パンフレットでも経済対策について一番ページ数が割かれています。"分厚い中間層"をテーマとし、ロボット、マテリアル、コンテンツ(アニメ・ゲーム)等を成長分野とした投資や、カーボン・エネルギーへの積極投資を行うとしています。また賃上げを行う企業への税制支援もあげています。
一方、立憲民主党も"一億総中流"を掲げています。ただこちらは手法としては所得の分配に重きが置かれている印象です。年収1000万円程度までの所得税ゼロと時限的な5%の消費税減税は大きいでしょう。
公明党はGo Toキャンペーンの導入、マイナポイント付与、未来応援給付を行うとしています。
国民民主党は150兆円の財政出動と給付金10万円を掲げ、給料が上がるまでは積極財政と金融緩和の継続を訴えています。こちらも目指す先は中間層の所得増加/消費拡大であるという点では変わらないですね。
維新は規制改革による新規参入を促し、大減税を行うことで成長を実現するとしています。投資を通して国内産業を育成しようという方針は、自民党に寄っている印象があります。
ここからは個人的な見解になりますが、日本の賃金が上がらない、インフレ率を達成できないことの大きな要因としてサービス価格の低迷があります。2000年以降の日本の物価上昇率は年平均0.1%の一方、アメリカは2.2%と開きは顕在です。そして特にサービス部門ではアメリカが2.7%の上昇率に対し日本は0.1%にとどまります。
そのため日本の消費を促すためにはサービス部門の企業の生産性向上が不可欠になってきます。
そういった面での企業の成長を促すことができるのはやはり自民党か、公約的には維新の会になってしまうのかなと思います(両者経済成長による再分配を目指していると捉えます)。
個人的には給付金であったり減税などは持続性がなく本質的な解決にはつながりにくいと思ってしまうので、再分配→経済成長を目指す立憲民主党の政策には賛同しにくいですね。
▷積極投資による経済成長:自民党、維新の会
▷所得の再分配による消費拡大:立憲民主党、国民民主党
多様性/ダイバーシティ
続いて多様性です。
現在の衆議院の女性議員の数は462人中47人と1割です。
今年の国際女性デーに発表された、世界の女性議員の割合において日本が191か国中166位だったという結果は記憶に新しいです。
立憲民主党や共産党はこれに対し(候補者や議席の一定割合を男女に割り当てる)クオータ制の導入を目指しています。
このポジティブアクションの考え方は徐々に浸透してきているように思いますが、こういった"あえて"女性を推進するようなことに対して違和感を覚える声も理解できます。
一方代表制という観点からは現状の男女比率は問題視するべきで、議論は必要だと思います。
一度演説かチラシで見てすごいと思ったのが東京8区の吉田はるみさんです。大学教員出身で、がんを克服し、ASDの娘を育てながら、政治活動をする姿は尊敬しかありません。女性議員を増やすことについて発信されていたり、政策面でも医療・教育面での支援/改革は説得力があります。自分の選挙区ではないのですが応援したいですね。
また今論点となっている同性婚と選択的夫婦別姓については、自民党議員は反対の立場にいます。女性天皇についても立憲民主党と共産党が賛成、自民党、維新の会は反対の立場です。
移民・外国人問題についても、自民党公明党が現状維持(技能実習制度の活用)の立場でいるのに対し、立憲民主党や共産党はヘイトスピーチに対する差別禁止法などのより強力な法律の制定を目指し、また立憲民主党は外国人労働者の受け入れに対しても現状では不十分としています。
▷同性婚と選択的夫婦別姓の実現:立憲民主党、共産党
▷移民・外国人問題:立憲民主党、共産党は差別禁止法を推進
▷外国人労働者:立憲民主党は現状では不十分と主張
やはりダイバーシティの観点では現行政府の配慮が足りているとはいえません。候補者ひとりひとりのバックグラウンドや理念が問われるという面で、立憲民主党は信頼に値する人が多い印象です。
DX/デジタル化
社会インフラとなった米国の巨大IT企業は今期も増収増益を発表し、下落傾向だった米株式市場は一気に反発、史上最高値へと導かれました。
一方日本では今年9月にデジタル庁が発足し注目を集めました。
※個人的には政府として重要なのは今後のデジタル分野の発展と規制のバランスをどうしていくかを議論していくことで、政府手続き等のデジタル化は民間に丸投げしてよいのではと思うのですが、色々ハードルがあるのでしょう。
自民党公約では今回農林水産業の活性化に力を入れていますが、その中で水産業や林業のDX推進も盛り込まれています。また「デジタル田園都市国家構想」の実現のためマイナンバーカード活用を重視し、テレワーク、リモート診療/学習による地方活性化を目指します。
公明党も上記にならい、マイナポイント配布によるマイナンバーカード普及をデジタル化の柱としているようです。
また規制改革を銘打っているだけあって、維新の会もデジタル化については手厚いです。マイナンバーのフル活用、公文書の総デジタル化(ブロックチェーン導入)、日本型スーパーシティの実現による技術革新を促す競争環境を目指しています。
一方立憲民主党や共産党は森友・加計問題や桜を見る会問題での公文書改ざんを重くとらえ、公文書管理の法律は強化する姿勢をとっています。また以前から立憲民主党議員はデジタル改革におけるセキュリティ問題やその利便性が具体的でない点に対して現政権を批判してきました。
▷デジタル化による行政改革:自民党、公明党、維新の会
▷規制改革による技術革新の促進:維新の会
先にも書きましたが、こういった行政におけるデジタル化というのは物理的/技術的な話なのでとっとと進めて次にいって欲しいですね。デジタルを活用した経済・社会の発展という意味では自民党の地方活性化施策と維新の会の民間主導による成長促進が先を見据えられているのかと思いました。
以上、私が調べた限りの各政党の印象をざっくりまとめました。
改めて選挙のために色々調べたりして、やっぱり論点が多くて難しいなというのは実感しました。
多様性が大事なのはわかっていてもクオータ制の可否について考えたことはなかったし、9条のことは考えていても敵基地攻撃能力まで認めるかという具体的なことはわからないし、と選挙期間だけで意見を固めるのは諦めた部分もあります。
選挙が終わってからも勉強はし続けたいし、公平な社会を実現するために自分が取るべき立場について、考えておきたいと改めて思いました。