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第6期神決までの道【パウパー】
■ はじめに
ご無沙汰しております。MOではHeterodoxという名前でプレイしています、ゆーきと申します。
2月23日に第6期パウパー神挑戦者決定戦が開催されましたね。
嘘か真か、2年前の4月1日に第1期パウパー神決定戦の開催が発表されてから、あれよあれよと第6期まで来てしまいました。
これまで私を含む身内はシングルエリミネーションまで進出しても敗退してしまったり、決勝で散ったり、挑戦権を得ても神の牙城を崩せなかったりと、どうしても勝ち切ることが出来ませんでした。
今回こそは神を打倒するべく、しっかりと鍛錬を積んでいきたいところです。
そこで、デッキ選択をするために事前のメタゲームを洗い出しましょう。
■ 混沌を極めるメタゲーム
今回のメタゲームはあまりにも多種多様です。
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Tier1.5までが多すぎんだろ…
ここまでデッキの選択肢が多いと、どんなデッキを握っても常にワンチャンスを生むことが出来ます。すべての選択に裏目がある状態です。
とはいえ、メタゲーム上でカルドーサレッドが突出した母数と戦績を残し続けていますが、Pauper Challengeにおいて安定した結果を残せていないのは注目するべき点でしょう。
Magic Online上に限った話ですが、得たプライズの収益で生活しているプレイヤーもパウパーフォーマットには多数いらっしゃる為、Pauper Leagueにおいて周回効率を重視するためにカルドーサレッドが多く用いられていることは想像に容易いです。
また、これはカルドーサレッドに限った話ではないものの、Leagueとは戦う回数も人数規模も違うトーナメントになると途端にデッキに対する評価値が下がることはままあります。デッキの再現性の高さを過大評価する傾向にあるのはこの為でしょう。
この前提において、トップメタの強さ≠フォーマット内の立ち位置の良さであるということは覚えておきましょう。
しかしながら、それは今回に限っては例外であって、カルドーサレッドが最強であることは日の目を見るよりも明らかでした。というのも、ブラジルの強豪プレイヤーcarvsがリストを完成させた1-drop型のカルドーサは、既存のデッキをいとも容易く粉砕していったのです。
《無謀なる衝動》のような2マナの衝動的ドローを排し、ほぼすべての採用カードを1マナ以下にするよう構成されたこの1-drop型を用いて、carvsはPauper Leagueで27勝3敗——脅威の勝率89%を叩き出します。これが本番の約1か月前、1月31日の出来事です。
当時は《間に合わせの砲弾》のような初見殺しカードも搭載されていましたが、度重なるグラインダーたちの調整により着実にリストが完成。1-drop Burnは一世を風靡していきます。
安定したカルドーサレッドのリストが現れ、環境が赤一色に染まろうとしている最中、とあるプレイヤーの勝率が異常に伸びていることが判明します。言わずと知れた青黒フェアリーの名手、Beicodegeiaです。
赤系アグロの隆盛は、必然的にカウンターデッキとしての青系コントロールを呼ぶパウパーフォーマットの伝統があります。メタ上位である《きらきらするすべて》親和に対して《殺し》というキラーカードを持ち、フェアリー基盤によって雑多なデッキに対しても大きく優位を取りやすい青黒フェアリーが勃興することはメタゲームの自浄作用として必然であると言えるでしょう。
Beicodegeiaと、同じくパウパーフォーマットの強豪であるoutZEROoが青黒フェアリーのサイドボードガイドを共著して販売したことも、我々平民がマスタークラスのテクニックを手に入れる素晴らしい機会であったと言えます。第5期神決の時もそうでしたが、マスタークラスのテクニックを咀嚼することが出来るというのはデッキを握る大きな動機に足りえます。
パウパーフォーマットは如何にしてプランニングを立てて道筋通りのプレイを正しく行うかどうかが如実に勝率に反映されるため、いわゆる「マジックうま男」の意見を聞けることは非常に重要なのです。
また、今回縁あって日本パウパー界を代表するフェアリーマスターtarteさんを"パウパー神をちゃんと頑張る会"(以下パ頑会)にお招きし、新鮮な意見を取り入れる機会が出来たのも、青黒フェアリーを握ることを後押しする契機となっていました。
事実として、対カウゲートの青黒フェアリーのプランニングに関してはtarteさんのプランニングを取り入れた結果勝率が爆増。対戦相手がそのプランニングを知っていない限りはほぼ必勝となる程に完成されていきました。
ですが、これだけパーツが揃っていても青黒フェアリーを握ることが躊躇われる事態がありました。
イタリアの強豪チームGolden Pigsから、cicciogireのPauper Challenge優勝報告、そして鮮烈なリストが送られてきたのです。
DenisevichAlexeyやJace_MTG,Parallaxらが用いていた既存のジェスカイブリンクの構成とは大きく異なる点が散見されます。
① 軽い除去を《稲妻》に散らして採用
②《ケンクのアーティフィサー》の不採用
③《儚い存在》の3枚目の採用
④ 抜けかけていた《晩餐への遅刻》の採用
概ね、隆盛を極めているカルドーサレッドと《きらきらするすべて》親和を鑑みての変更点のように思われます。《雪崩し》では序盤に安定して除去札としての運用が出来ない為、《稲妻》と分けて採用することでアグロ耐性を与えることを可能としています。
《ケンクのアーティフィサー》はパウパー界きってのパワーカードですが、実質的に稼働できるのは本体+アンタップの土地を必要とするため4ターン目以降。4ターン目までに返せない盤面を形成してくるカルドーサレッドや《きらきらするすべて》親和に対して非常に脆弱であり、最もサイドアウトし易いカードです。メタゲームを読み切り、必要ないと判断したと思われます。
③ ④に関しては青系ミラーで無類の強さを誇る為、アグロの隆盛に伴った青系コントロールへの耐性もしっかりと配慮されているように見えます。
パ頑会がジェスカイフリークのれおさんらとvsジェスカイブリンクで青黒フェアリーを捏ねていたところ、どこまでサイドを寄せても不利という結論に至ってしまったことはあまりにも痛い帰結でした。重い青のコントロールに対して不利を背負ってしまうのはフェアリー基盤を持つデッキの宿命であり、《ロリアンの発見》の標準化はそれを後押しするように青系ミラーの不利をフェアリーへと押し付ける形となってしまいました。
また、ジェスカイブリンクはどう考えても日本人が好きそうな見た目をしていて、ちゃんとリストも強いとなると、神決当日にある程度の使用者がいることは明白です。前哨戦の一つであるPauper Mania#1でジェスカイブリンクが優勝したことも間違いなく影響するように思われます。
パウパーマニア
— ツナ (@thexxtokyo) January 28, 2024
#1
数で攻め込むエルフをかわし、
優勝を勝ち取るは
ジェスカイブリンクを使用した
大福さん@daifuku0290 でした!!
おめでとうございます!
また参加してくれた皆さん
ありがとうございました!
また会う日まで! pic.twitter.com/0cJodBX87h
完成されているように見えるリストが現れ、実際それまでに僕自身ジェスカイブリンクは相当に板かもしれないという意見を持っていた——少なくとも青黒フェアリーよりは擦る価値があるのではないか——故、そこから僕は数日ジェスカイを擦ることとなります。
この時点で同じくパ頑会のたばおさんはジェスカイを持ち込むことに決めていたようで、当日までにMOも含めテーブルトップで安定した戦績を残し続けます。
ところがメタゲームの変遷は止まらず、青系コントロールと赤系アグロの両方を咎めるデッキも登場し始めます。
ポーランドの雄、PR0boszczは既存のジャンドリアニメイトの基盤を大きく変え、土地を12枚まで切り詰めることでメインデッキのバリューを大きく上げることに成功しました。
それまでジャンドリアニメイトにおいて「手札に引かないとしょうがないカード」を採用することは憚られていましたが、PR0boszczがサイドボードに《悲哀まみれ》を採用し結果を残したことで、様々なカードを検討するフェーズに突入することになります。
その結果、それまで多くてもメイン・サイドボードに合わせて3枚までの搭載であった《死体発掘》は4枚フル投入することでイージーウィンを拾えるようにチューニング。ランド過多になりがちでフィニッシュブローに悩むこともありましたが、この点は大幅に改善されていきました。
第2期神挑戦者でもあるパ頑会のpraeさんはリアニメイトをとても好んでチューニングしていて当日まで使用を悩んでいたようですが、持ち込むにあたってネックとなったのは見た目に拠らないデッキの使用難度です。
「土地サイクリングで何を持ってくるのか」、「そもそも土地サイクリングをするべきなのか」、「相手の墓地対策を見越してどこまでスペルを切るべきか」等々、毎ターン複雑な悩みどころが訪れます。事実として、このデッキの使用に慣れていなければ50分いっぱい使っても勝ち切れない試合は発生しがちでした。8回戦が予想されることもあり、過度な疲労が予想されるデッキは持ち込みにくいでしょう。
尚、仮想敵として幾度となく想定されてきたものの使用に踏み切らなかった《きらきらするすべて》親和ですが、パ頑会のエルフマスター椎葉さんに調整を一任し、結果平日大会でのアベレージは異常なまでに仕上がっていました。
アゾリウス基盤の《きらきらするすべて》親和は4枚の《マイアの処罰者》と4枚の《きらきらするすべて》以外に脅威が全く存在しないことを懸念し、基本的にはボロス基盤に《物読み》をタッチする方向で調整。
それまでサイドボードに搭載されていた《払拭》は青マナを捻出することが厳しく、且つ《殺し》のようなカードに対する非常に限定的なサイドボードであるため不採用へと舵を切りました。
そこで、パ頑会のエースであるつばさくんが天啓として《鍛冶屋の技》を提案したところこれがすっぽりと適合し、デッキの完成度が飛躍的に上昇しました。サイドボードに青いカードを採用する必要がなくなり、それに伴って悩みの種であった土地基盤を調整することが可能となります。
何より、上記のジャンドリアニメイトやカルドーサレッドに明確に有利を取れることは特筆するべき点です。青系コントロールに対しては昨今のガードの上がり方を鑑みるに厳しい戦いを強いられそうですが、他のデッキに対して有利となれば話は別。選択肢としてかなり有り得るデッキにまで引き上げることが出来ました。
しかしながら、椎葉さん本人は例のデッキ(本人のnoteリンク)と心中するつもり満々であり、且つまだ完全にリストが完成出来なかったという理由により、パ頑会における使用者はプレイスタイルの合致もありやぎさんだけとなりました。
このデッキの完成は私達だけでは不可能だったので、どうにか他の方々にお願いしたいところです。
➡ 結論としてのTier
【定義(Tier0)】
⇒ カルドーサレッド
【Tier1】
⇒ ジェスカイブリンク、ジェスカイ親和、青黒/青赤/青単テラー、青黒フェアリー
【カウンターデッキ(Tier2以下)】
⇒ グリクシス親和、カウゲート、ジャンドリアニメイト、壁コンボ、カルニブラック、ボロスシンセサイザー
閑話ですが、パ頑会ではテーブルトップの《きらきらするすべて》親和は死滅していると想定してサイドボードを組んでいました。《きらきらするすべて》親和を調整している椎葉さんやぎさん以外にテーブルトップの大会で全くと言っていいほど使用者を見かけておらず、であれば実際に当日対面してもこちら側が要点を掴んでさえいれば恐らく大丈夫であるということで切り捨てる結論へと至っています。
この仮説は青黒系デッキの《殺し》の価値が下がっていることにも直結し、青黒系デッキを握る意義を捉えなおす契機にもなっていました。
■ 特に何も起こらなかった『カルロフ邸殺人事件』
昨今のスタンダード・エキスパンションは《トレイリアの恐怖》や《実験統合機》等、歴史に名を刻むパワーコモンを生み出しているため易々と見過ごすことは出来ません。直近でも《税血の刃》や《ゴブリンの墓荒らし》といったスーパーコモンがスタンダード・エキスパンションから生み出されています。
新弾である『カルロフ邸殺人事件』は神決当日より前に発売するということもあり、全パウパープレイヤーが注目しながらスポイラーを眺めていました。
しかしながら蓋を開けてみるとビックリ、本当にマジで何も収穫がありません。《脱出トンネル》が注目されていましたが、それもかなり捻り出している感じが否めません(勿論今までより強力なカードにかわりはありませんが)。
パ頑会内では、新弾の中で唯一《自白勧告》は《チェイナーの布告》よりも強い盤面が存在することを鑑みて評価していました。
《聖なる猫》や《戦隊の鷹》といった布告避けがいる状況下で、《息詰まる噴煙》等のお膳立てをせずとも直接《ギルドパクトの守護者》を触れるという唯一無二の布告性能を持っています。
それは《ケンクのアーティフィサー》で対象の取られた破壊不能土地や、《カルニの庭》トークンがいる時の《復讐する狩人》《カザド=ドゥームのトロール》も例外ではなく、黒系デッキであれば必ず遭遇する《チェイナーの布告》で受かっていない盤面を処理することが出来るスーパーカードとして注目はしていたのです。
ですが、《自白勧告》で最も処理したい上記のカードたちが環境に合致しないデッキのカードであれば話は別です。
カウゲートは1-drop Burnの影響を全力で受けていて、正直現状ではスイスラウンドを勝ち切る力は持ち合わせていません。メインボードから《息詰まる噴煙》のような全体除去を搭載しようとしても、結果としてデッキの完成度を歪ませることになるのですから、デッキとしての強度は落ちることになるでしょう。
《ケンクのアーティフィサー》の弱さはジェスカイブリンクの箇所で述べた通りです。《復讐する狩人》を使うようなカルニブラックが何故勝ち上がれないかは昔の僕の記事を参照(n回目)。
勝ち上がれないデッキに強いカードを入れてもしょうがない、ということで、確かに《自白勧告》は強力ですが今回は採用を見送らせて頂く運びとなりました。《自白勧告》のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
■ 師との邂逅
新弾の収穫もなく、しかし止まらない激しいメタの濁流に翻弄され様々なデッキが候補として挙がる中、どうにかしてブレイクスルーを見つけたい僕は燦然と輝く名前がMO Leagueの5-0リストに連なるのを見逃すことはできませんでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1708949891524-FDPw2hLoWB.png?width=1200)
SpockVidaLokaと聞けば、MOでPauper Leagueを走るプレイヤーや戦績をチェックしているプレイヤーならば必ず覚えていることでしょう。
数シーズン前から突如として現れた青赤コントロールの使い手で、どんな環境でも青赤コントロール一本で駆け抜けるブラジルのグラインダーです。昨シーズンは彼のチームメイトでもあるcarvsとリーダーボードのワンツーフィニッシュを遂げ、今シーズンもトロフィーはほぼ独走状態です。
上の記録を見る限り、何かすごい工作でも起こっていない限りは一日で少なくとも25-0以上を叩き出していることが分かります。長期的に多くのトロフィーを獲得していることは明白ですが、短期間にこれだけの結果を出すことが出来るというのは、余程デッキが環境に合致しているのか、若しくはプレイヤーが著しく優れているのかのどちらかであることは間違いありません。
どうしても本人から直接話を聞きたかった僕は、人脈を使うことにしました。saidin.rakenの運営するDiscordサーバーであるPauper Familiars内でSpockVidaLokaの連絡先を知る人を募ったところ、古来からのパウパーお兄さんであるRicardo Mattanaの友人であることが判明。彼の厚意によって連絡を取り次いでくれました。持つべきものは海外の知り合いです。
そして幸運なことに個人的にSpockVidaLokaと連絡を取ることに成功し、彼の青赤コントロールに関する意見を交換することに。英語が母国語でないにも関わらず理路整然とプレイや各デッキへのプランニングを教えてくれる彼に対して、気が付けば彼のことを師と仰ぐようになっていました。先述した仮説はデッキもプレイヤーも著しく優れているという結論へと至ります。
そして僕なりの解釈でチューニングを施した青赤コントロールは更なる前哨戦となる第7回パウパー提督決定戦でtop4、BIGMAGIC秋葉原店で行われたβ稲妻争奪杯ではチームメイトのたばおさんと決勝スプリットと、かなりの仕上がりを見せることになりました。
■ で、何を使えばいいんだ
こんな記事の見出し見たことありませんが、これが神決前日までのパ頑会(ほぼ)全員の悩みです。
デッキ5択が4択になった
— つばさ/flower270 (@flower270_) February 21, 2024
21日の夜にデッキが4択あったつばさくん。
3択になった
— つばさ/flower270 (@flower270_) February 22, 2024
なんと一晩で3択にまで絞ることに成功!(本番まであと10時間)
前日にデッキを決めても大丈夫なプレイセットを身に付けておくというのは素晴らしいことですが、ここにきてなんでも使える最大の裏目が見えてきました。
「どれを選んでも裏目がある」というのは、群雄割拠のメタゲームの最大の難しさです。
どれを選ぶにしても裏目がつきまとってしまう中で、どのデッキが最小限の裏目で済むのかという検討を続ける時間が続きます。
こちらとしては大方のメタゲームの予想も出来ていますが、それでいても何を踏むかどうかは当日の運次第。たとえ最強のカルドーサレッドを持ち込んでいても、8回連続でテラーに当たってSEに進出出来る程甘くはありません。
パ頑会内でも阿鼻叫喚の声が多数上がり、「とにかく前日の平日大会で決めにかかるしかない」と、各々が最も使いやすいデッキを持ち込んでいくことに。
かくいう僕も散々青赤コントロールを擦っていましたが、「敵を知って己を知る」つもりで調整していたカルドーサレッドの強さに驚愕し、本番のものの2日前までTC東京の平日大会に出場して勝ちまくってしまいました。カルドーサレッドのミラーマッチに関しては勝率100%を維持しており、不利かと思われた青赤コントロールや青黒テラーと対面しても勝利してしまう始末です。
「何故最強デッキが最強デッキなのか」を知ってしまった僕は、青赤コントロールに戻る理由を見失ってしまったのです。
SpockVidaLokaからサイドプランまで貰ったので、「折角なら」と前日の平日大会に青赤コントロールを持ち込んだところ見事に1-2。拍車をかけてカルドーサレッドを握る環境が整っていきます。
■ 信じることの大切さ
tarteさんが前日に東京入りすることもあり、そのこともあって久しぶりに平日大会に顔を出したのは加糖でした。加糖はどう見ても愛機のファミリアで心中するつもりであり、デッキ選択には悩んでいないようです。
パ頑会の皆で駅まで歩きながら帰っていく最中——前日の平日大会でもまだデッキを決められなかった俺を想ってか——、駅近くの喫煙所に行く僕に着いてきてくれて、話を聞いてくれました。
「ミラーの自信があるのはカルドーサ。いろんなことを教えてくれたSpockの青赤も良い。たばおさんのジェスカイもかなり安定してるし、練習してたから回せる。どれを使えばいいのかダイスで決めてもいいくらいには困ってる。」
自嘲的に呟く僕に対して、加糖は真摯に言葉を受け止めてくれて、僕の悩みを解きほぐしてくれました。気が付けば僕の手元のアメスピは2本目も終わろうとしています。
僕の散文的な言葉の句読点まで聞ききって、「そうねえ」と少しの沈黙を喧噪に浮かべながら、
「自分が使いたいデッキは?」と加糖。
最後の一吸いと共に、煙と一緒に出てきた僕の意思は、「青赤」。
「じゃあ自分信じて青赤握ろう」
ただの一節ですが、これが重く響きました。
色々な可能性を考慮して様々なデッキを握ってきて、最後に信じることが出来るのは直感的に自分が使いたいデッキ。これに尽きると。
思えば今までも、加糖は自分が使いたくないデッキは使っていません。いつまでもファミリアを信じてファミリアをキャストし続け、どんな逆境のメタゲームでもファミリアを強く使う為の構築を模索し続けていました。
最適解を追い続けるあまりすっかり忘れていた感情ですが、そういえば僕は《対抗呪文》が好きで、《思案》も《渦まく知識》も、《稲妻》も大好きです。自分が大好きなスペルが詰まったこのデッキをプレイすることの、なんと幸せなことか。
自分を信じてあらゆる知識を注いでくれたSpokeにも顔向けできません。
僕は”今この瞬間に”使いたいデッキを握ろうと決めました。
今回もちゃんと頑張ったけど最後の最後までデッキ迷った
— ゆーき/Heterodox (@yuki_heterodox) February 22, 2024
俺は俺と師を信じるぞ
![](https://assets.st-note.com/img/1708956402186-yn0ajQRtTp.png?width=1200)
結果、パ頑会として握ったデッキは以下です(敬称略)。
‣ 青赤コントロール:ゆーき、48
‣ 青黒フェアリー:つばさ、prae
‣ 青単フェアリー:tarte
‣ ジェスカイブリンク: たばお
‣ ジェスカイ親和:やぎ
‣ エルフ:椎葉
▸ 青白ファミリア:加糖
結果として僕は神挑戦者決定戦の当日、予選ラウンドを6-0の全勝からID×2で駆け抜け、2期連続のトップ8入りを果たすことになります。
あの瞬間の感情は忘れられません。思わず零れそうになるものを堪えます。
結局準決勝で角とうふさんのジャンドリアニメイトに敗北して敗退してしまいますが、おそらくあの前日のあの時間が無ければこの結果は無かっただろうし、一瞬一瞬の色々な決断が結果を生み出すのだなと実感する今期の取り組みでした。その最後の一歩を押し出してくれるのはいつだって仲間なのだなと。そんな仲間がたくさんいる大切な場所を作れたんだなと実感しています。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132177244/picture_pc_387879b401a5258c0513845a497cdf41.png?width=1200)
ありがとうSpock、ありがとうパ頑会!
そして何より加糖、勇気をくれてありがとう!
■ おわりに
今回の執筆にあたり、特に青赤に関してのプレイ指針やサイドボードの解説をすることはありませんでした。というのも、Spock本人から情報の流布をしないよう言われていますし、何より私自身真にこのデッキの強さを発揮できているとは思っていない為です。
加えて、Spockは近いうちにサイドボードガイドを含む青赤コントロールの記事を販売する予定だということも理由の一つです。青赤のことが知りたいか?欲しけりゃくれてやる…買え!
青赤が気になっている人でもそうでなくとも、パウパーをプレイする方は是非購入しましょう!!(ダイレクトマーケティング)
⇒(発売された時にリンク貼る用の空白 後日追記予定)
結文となりますが、今回パ頑会としてはベスト4に1人、ベスト16に3人と、アベレージは非常に高い場所で安定してきたように思われます。
しかしながら第2期以降誰も勝ち切れていないのは事実。まだまだチーム全体として上を目指せる余地があります。
「勝ち切る」という課題は引き続き共通の目標として掲げつつ、しっかりと今後も練習を重ねていきたいですね。
願わくばベスト8が全員同じTシャツ着てることが目標です(?)
それではまた、次の大会で!
パ頑会最強!