小学生の頃から、ZARDが大好きだった話
小学生の頃、同世代も親世代も『歌の大辞典』に夢中だった。
ヒットチャートをランキング形式で紹介していく番組。
面白いのは、今のヒットチャートだけではなく、交互に過去のヒットチャートを紹介してくれるところ。例えば『1980年のベストテン』と『今週のベストテン』を交互に見せてくれるのだ。あの番組で古い歌も覚えたし、最新のヒットチャートも知った。
そんな大好きな番組を見た小学生の私は、ZARDがお気に入りだった。
歌の大辞典で見た『Don't you see』はニューヨークで撮られたPVがおしゃれで大好きだったし、『永遠』は赤い車に坂井泉水さんがとてもかっこよかった。いつも曲を口ずさんでいたし、テープに何度も録音したのを聴いていた。
ドラマ『理想の結婚』(竹野内豊、常盤貴子)の主題歌だった、『君に逢いたくなったら』は多幸感が最高で大好きな楽曲だった。
冬になればCMで『My Baby Grand ~ぬくもりが欲しくて~』がめちゃくちゃ好きだった!なにこの、冬のキラキラ切ない感……と小学生ながらに気に入っていた。(冬のCMということしか覚えていなかったのですが、広末涼子さんが出ていたポケベルのCMだったのですね…てっきりクリスマスケーキかなにかだった記憶。笑)
そんなふうにして、小学生の私はZARDが好きだった。常に大ファン!とかではないのだけれど、いつの時代も常に好きだったし、新曲が出れば聴いていた。
中学生の時は、『promised you』が、冬のお気に入りだった。冬の白い息が浮かんでくるような情景が、とても綺麗だと思っていた。
高校3年生の受験期には、アルバム『時の翼』『止まっていた時計が今、動き出した』が好きでよく聴いていた。高校に入ってからはあまり聴いていなかったのに。勉強に集中しなきゃならない受験生の時に、またZARDを聴くようになって、そして励まされていたのを覚えている。
そして大学2年生の時。
坂井泉水さんが亡くなった。
高3の時の流れで、日々ZARDを聞いていたので、やっぱり悲しかった。と同時に実感が湧かなかった。めちゃくちゃ売れていたけど、テレビにバンバン出ていたこともなく、いつだって曲からしか彼女のことを知る機会はなかったから。だから悲しかったけど、ニュースでZARDのPVがバンバン流されていても涙は出なかった。
そのころよく聴いていたのは、『I Feel Fine, Yeah』『風が通り抜ける街へ』『息もできない』などの爽やか系の楽曲。たぶん、ちょうど初夏だったからだろう。あの頃、坂井さんが亡くなった頃、これらの曲をよく聴いていたのをなぜかよく覚えている。
実感の湧かぬまま、大学生の私は六本木のBeing事務所に用意された献花台に、お花を供えに行った。お花屋さんの位置も分からなくて、当時はグーグルマップもなかったから、道で誰かに聞いたような気もする。どんな花を買ったのかは覚えていない。
そして献花台につくと、そこそこの人だかりがあった。
泣いている人、立っている人、事務所の方だろうなという方々も見かけた。あまり詳細は覚えていないのだけれど、その時ちょうど『新しいドア~冬のひまわり~』が流れていたのは覚えている。
多数の楽曲を流していて、たまたまその曲が流れた時に居合わせたのか。それとも、その場にふさわしい曲として流していたのか分からない。
けれど、恐ろしいほどに悲しさがこみ上げてきて、初めてそこで涙が出た。
はるかな未来へと 新しいドアを開け
動き始めた 直感が行く道を決める
あの冬の向日葵 まだひとりでやれそうだよ
愛する人よ
今どこで眠っていますか?
外はこんなに晴れているのに
君のリンカクはぼやけたまま
無邪気に笑い合う あの空は夢の中
慣れない六本木の街を帰りながら、こみ上げてくる涙を流しっぱなしに歩いた。
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