Teaching Kitchen シンポジウムへ参加(1日目)
久々の日記となりました。
ペンを握りたくなったのは、とても貴重な食の学びを得て是非共有したいと思ったから。
11月13〜14日米国ユタ大学で開催された、「Teaching kitchen symposium」に参加してきました。
Teaching Kitchen とは?
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“キッチンの上で”食・料理・健康を伝えています。栄養疫学のエビデンスに基づき、医療専門家、シェフ、研究者、教育者が集うユニークな組織です。
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本シンポジウムが初めて米国のユタ大学で開催され、参加してきました。
このnoteでは、次のことを綴ります。
これまで、医療と食業界の両方でキャリアを積んできましたが、両領域は似ているようで、学術的に異なる点が多くあります。
この記事では、そんな相対する(?)領域が、密に交わる様子を、世界の視点で綴ります。是非、最後までご覧ください。
参加のきっかけ
Teaching kitchenの取り組みは、数年前からwebページで拝見していました。ヘルステーブルで大切にしてきた、「病院で解決できない社会課題を、台所で解決する」というミッションを、まさに体現していると思ったためです。
食という大きな枠組みで考えると、栄養学や医学に関わる論文は多く存在しますが、料理も踏まえた疫学論文やエビデンスは多くありません。
例えば糖尿病の食事指導において例えると、
病院ではこんなことを学びます。
適切なエネルギー摂取量
健康を保つために必要な栄養素
血糖コントロールのための食事
合併症予防のために必要なこと
※糖尿病学会の資料より抜粋
何を食べればいいのか?または、何を控えるべきか?については病院で丁寧に学ぶことができます。
(医療者の皆様に感謝ですね!)
ですが、上記だけの知識では、大好きな食べ物を我慢する・諦める、という選択になってしまうかもしれません。
実際に私も、その1人でした。
過去の苦い経験は、こちらに綴っています。
健康と食べる楽しみを両立するためには、どんな知識やスキルを身につければ良いでしょうか?
何年もの間、考えてきました。
そしてたどり着いた答えは、医学や栄養学に加えて、どう調理するか?どのように味付けをするか?という、「料理の知恵や技術を持つこと」だと感じたのです。
Teaching Kitchenでは、食を栄養学に留めず、疫学および料理まで幅を持たせて考えています。
さらに、ハーバード大学やスタンフォード大学などの学術機関や医療機関、食関係者が集う点がとてもユニークであり、世界中をみても数少ない取り組みです。
今回、米国という離れた地での開催であったものの、同じ想いを持つ方々に会ってみたい、学んでみたい、という想いから参加することを決めました。
シンポジウムの内容(1日目)
世界中から医療や食・料理の専門家が集い、講演やパネルディスカッションが行われました。
さらに、開催場所であるユタ大学での取り組みや施設見学の機会も設けられ、とても充実した2日間でした。
1日目の大まかなスケジュールを綴ります。
9:00 〜地域や社会との取り組みとフードエコシステムについて
11:00 〜 食は薬というTeaching Kitchensの重要な役割
創設者であるハーバード大学T.H.Chan公衆衛生大学院のデイビット先生の講義や、大阪大学 馬殿恵先生は、日本の事例も交えながら、医師の視点でお話をしてくださいました。
12:30 〜 ランチ
13:30 〜選択セッション
昼食後は、次の3つのうち
好きな演題にに参加することができました。
①医師および医療従事者向け栄養教育と調理リテラシーの強化
② Teaching kitchenにおけるマインドフルネスと運動
③ユタ大学におけるTeaching Kitchenの取り組み(校内ツアー)
私は①に参加させていただきました。医療と料理がどのように交わるべきかを考えるヒントを得たいと思ったためです。
15:30 〜 文化の多様性を尊重したTeaching Kitchenの実現
多民族国家であるアメリカらしい講義であり、食の多様性を実現するため、何を意識すべきか?について深く学ぶことができました。
16:15 〜 環境持続可能性を教育に統合するキッチン業務とカリキュラム
17:00〜 レセプション
学びと最も印象に残ったこと
講義及び休憩中のディスカッション、全ての場でたくさんの学びを得ることができました。
中でも一番印象に残ったことは、
各専門家がスキルを共有する大切さです。
食と一言で言っても、とても広く複雑な領域です。なぜかというと、医学や栄養学に加えて、サイエンスや料理、食料生産など、関わる専門家は多岐に渡るから。
例えば...
医学や栄養学:医療専門家
疫学:研究者
料理:シェフ
生産:農家、漁師
が、関わります。
さらに食は文化との関わりも大きいため、世界各地で食されている食材・食べ方も異なるのです。
Teaching Kitchenを実現するためには、社会・文化的背景も踏まえて、伝えていかなければならないことを、改めて学びました。
病気有無に関わらず、世界中の人が健康的な食を心から楽しめる状態を作るためにはどうすれば良いのでしょう?
皆さんが口にしていたことは、「各専門家が力を合わせること」ということです。
餅は餅や、という言葉がある通り
その道のことは専門家が一番熟知しています。
誰が上に立つのではなく
各専門家が知恵と技術を共有することで、
新しいイノベーションが生まれることを
学びました。
さらに、ここからは個人的な意見ですが、専門家に加えて「当事者」を含めた意見交換ができると、なお素敵だなと感じています。
専門的な知恵を届ける先にある、人やモノを大切にすることで、より良い循環が生まれるような気がしているのです。
今後のプチ目標(皆さんと叶えたい)
各専門家と当事者が集い、知恵・技術が交わるExchange skills(スキル交換)のできる場所を
形にすること
これが、私の次のプチ目標です。
医療者、研究者、料理人、生産者、教育者、当事者が、同じ目線で議論を交わせる場所を、日本にも作りたい。
1人では成し遂げることができない大きな目標です。記事を読んでくださった皆様、ぜひお知恵・お力を貸してください。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
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次の記事では、2日目の学びについて綴る予定です。特に、心に残ったプレゼンテーションについて綴ります。楽しみに^^