女性の絵@オルセー美術館③
この絵は、ヴィーナスの誕生をテーマにした絵の中で私が一番好きな絵。
『ヴィーナスの誕生 La Naissance de Vénus』(1863)
アレクサンドル・カバネルAlexandre Cabanel(1823-1889)
@オルセー美術館(パリ)
神話の主題を扱い、磁器のような肌をした女性の周りにはキューピットがいる。女性美の理想像を体現化したこの作品は、サロンで大変評価され、ナポレオン3世が即決で購入したらしい。
しかし、同じ年に制作された次の裸婦の絵はスキャンダルとなった。
『オランピア Olympia』(1863)
エドゥアール・マネ Édouard Manet(1832-1883)
@オルセー美術館(パリ)
「オランピア」は当時娼婦の通称であり、女性がサンダルと首に巻いたひもを身につけていることから、女性が娼婦であることが明らかであった事が原因。
『陽光の中の裸婦 Torse de femme au soleil』(1875)
オーギュスト・ルノワール Pierre-Auguste Renoir(1841-1919)
@オルセー美術館(パリ)
戸外の人物像にあたる光をどう描くかについて探求していたルノワールは葉を通して漏れてくる光を用いて、女性の身体を浮き上がらせた。しかし、この絵は
女性の上半身は、緑や紫のシミのある腐敗した肉の塊なのではないと説明してあげよう。こんな色のシミは死体が完全な腐敗状態にある時にできるものだ。
と、かなり強烈な批評を受けている。今の私たちからしたら、印象派の描き方は難なく受け入れられるが(というか私は好きだけど)、当時の批評家からすると、かなり衝撃的だったらしい。
女性を描いた絵を紹介してきたので、この時代の女性の画家の絵をちょっと紹介。アメリカ出身のメアリー・カサットは、女嫌いのドガに「私は、女性がこれほどうまくデッサンするのを認められない」と言わせた。
『庭で縫い物をする若い女性 Jeune fille au jardin』(1880)
メアリー・カサット Mary Cassatt(1844-1926)
@オルセー美術館(パリ)
その後、ドガに見出され、彼の影響を受け、女性や子供の姿を描いた。のちにアメリカに印象主義を紹介する功労者となった。
もう一人の女性画家、ベルト・モリゾはマネの弟、ウジーヌと結婚し、ルノワール、ドガ、モネといった画家や、美術収集家、詩人と交際を続ける。
『揺り籠 Le bercau』(1872)
ベルト・モリゾ Berthe Morisot(1841-1895)
@オルセー美術館(パリ)