『はな恋』が大ヒットしている理由
映像クリエーターの優希です。
このアカウントは、映像を制作する身として日々あらゆる作品をインプットしている僕が、せっかくなら素敵な作品を皆さんとも共有しようと思い始めたものです。
本日は、今話題の『花束みたいな恋をした』についてお話していこうと思います。
誰もが共感できる映画
2020年から大ヒット中の『鬼滅の刃 無限列車編』を抑え、国内映画ランキング4週連続首位を記録している本作(2021年2月28日現在)。実は、公開当初は人気俳優と人気女優の恋愛映画という話題集め映画に思われ、映画マニアの間ではさほど注目されていませんでした。
しかし、ふたを開けてみれば1か月におよび国内映画ランキング首位。多くの若者の心をつかみ、大きな話題となっています。なぜ、これほどまでに注目されるようになったのでしょうか。
その理由として、「誰もが共感を持てる」映画であることが言えるでしょう。少女漫画原作のような学校一の王子様が出てくるわけでもなく、病気によって余命宣告された恋人が出てくるわけでもない。出会いこそ運命的ではあったものの、どこにでもあり、誰でも経験しうる、ある意味平均的な恋愛の楽しさと残酷さを描いています。そのため、映画を見終わった後にとにかく語りたくなります(笑)。そうやって話題が広がっていったと推測します。
しかし、ただただ平凡なカップルの平凡な日常を描くだけでは、退屈しそうですよね。そう思うのですが、わたくしはこの映画を見ている約2時間が本当に一瞬でした。その理由として2つの工夫がなされていたからだと思います。
理由①恋愛におけるあるあるを全て網羅している
共通の趣味があれば仲良くなりやすい、3回目のデートで告白しないと友達になってしまう、彼女の髪を乾かしてあげる、一つのイヤホンをLとRで分け合う(このシーンは映画の中で重要なキーワードになります)、そして別れることになった原因など。。とにかく、恋愛したことある人なら当てはまるであろう出来事が次々と起こっていきます。執拗なあるある攻撃のおかげで、スクリーンに映されている美男美女カップルに起きる出来事が自分事の様に感じられてしまいます。
理由②実在の固有名詞
主人公が二人ともサブカル好きということで、漫画、お笑い、映画、小説、ゲーム、歌手などあらゆるジャンルの作品が、実在の固有名詞で出てきます。
押井守、『ゴールデンカムイ』、天竺鼠、新海誠、『シン・ゴジラ』、『ショーシャンクの空に』、『実写版 魔女の宅急便』、今村夏子著『ピクニック』、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、きのこ帝国『クロノスタシス』、『SMAP×SMAP 最終回』などなど。僕の記憶に残っているだけでもこんだけの作品、人物が固有名詞で登場し、登場人物の生活の中に組み込まれていました。
この映画は、2015年から2020年の5年間の恋愛の話であるというのが、映画の冒頭で告げられます。その5年間、上記記載の固有名詞がしっかり時代考証され出てきます。そのため、スクリーンを見ながら「あ、あの時期の出来事か(あ、SMAPが解散した時期の出来事か)」と感じることができ、一気に二人との距離が縮まる感覚を覚えます。
終わりに
上記二つの理由により、この映画は、若者の心を掴み離しません。僕は麦と絹(菅田将暉と有村架純)とほぼ同世代なので非常に心に刺さりました。この映画は、25歳前後の男女には一番刺さると思います。
劇中、「恋はなまものだよ」というセリフが出てきます。私はその言葉に共感するとともに、「この映画もなまものだ」と思いました。特に先ほど述べた25歳前後の人々にとっては、一日でも早く見たほうが良い作品だと思います。20代前半の記憶がすぐ近くにあります。そして、ここ5年くらいの社会(文化/カルチャー)の動向とリンクさせてこの映画を見ることができます。DVDが出る頃、サブスクで見れるようになるころには既に新鮮さがなくなっているかもしれません。もしまだ見てない方がいたら、是非劇場で見ることをお勧めします。
いや、まだまだ語りたい。。また記事にするかもしれません。。
予告編のリンクを張ります。
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