おにぎりは非効率

日本の国民食といえば何だろうか。
そう、おにぎりである。

家でも握るし、コンビニやスーパーに行けばいつでも購入できる。
イタリアにおけるペペロンチーノみたいなものだ（知らんけど）。

しかし、僕はそんなおにぎりが好きではない。
おにぎりは非効率なのである。
非国民だと謗られようが、僕は言う。おにぎりは非効率だ。

では、なぜおにぎりが非効率なのか、説明をしていく。

なお、今回は、コンビニ等で売られている工場生産のおにぎりは除外して考える。
おにぎり工場のことはよく知らないからである。
本論（僕の異常な言いがかり、または屁理屈）は「ご飯を握るよりも容器に盛るほうが効率的である」という事実に基づいており、もし工場のロボットがおにぎりを爆速で握れたならば、論が崩壊するからである。

まず、私たちが米を食べる場合、主に2つの形態に分けられる。
握る（これをAとする。以下同じ）か、握らない（a）かだ。
具体的に言うと、おにぎりか、容器（基本は茶碗）に盛ったご飯かである。

次に、米の温度も2種類ある。
温かい炊きたてご飯（レンチンも含む）（B）と、冷たい冷やご飯（b）。

そして、米を食べる場所も2つに分類することができる。
自宅（C）か、それ以外（c）かだ。

米を食べるという行為は、この3つの要素で説明がつく。

例を挙げる。
毎日の夕飯は、たいていがaBCだろう。対して、お弁当となると、Abcとabcの2パターンが考えられる。また、同じ家で食べるのでも、朝食では、ABCとaBCがあり得る。
こんな感じ。

さて、このように米を食べるという行為はアルファベット3文字で概ね表現できることが分かった。

ここからは、いよいよおにぎりの非効率性について検討していく。
私たちがおにぎりを食べるであろう場面を1つずつ挙げ、その場面においておにぎりがおにぎりであることの妥当性を考える。

1つ目は、ABC。すなわち、家で温かいおにぎりを食べる場合。
朝食で多いようなイメージがある。
この場合、握る必要は全くない。お茶碗やお皿に盛るほうが、動作が少なくて効率的だ。家には箸もあるし、わざわざ握る手間をかけなくてもいいように思う。具（おかず）も、中に入れないで横に添えとけばいい。
朝食におにぎりを推奨する主婦雑誌をよく見かけるが、特に急いでる朝だからこそ、おにぎりは向いていないのではないだろうか。

2つ目は、ABc。すなわち、外で温かいおにぎりを食べる場合。
この例はあまりないように思われるが、飲食店でおにぎりを頼んだ場合などはこれである。
これもほぼ意味ない。さっきと同じように、容器に盛るほうが手間がかからない。そのほうが、店の利益も多少上がるはずだ。
ただ、「ほぼ」と書いたのは、意味のある場合が存在するから。それは、パフォーマンスやエンターテイメントのためにおにぎりを提供する場合である。僕がどれだけ非効率非効率と言っても、やはりおにぎりは文化として日本に根付いてるから、懐かしさみたいなものを感じさせたい時はおにぎりが役に立つ。
ただしこれは情緒的な問題であって、理性的に考えると、おにぎりが非効率なことに変わりはない。

3つ目は、AbC。すなわち、家で冷たいおにぎりを食べる場合。
こちらもあまりなさそう。
こいつはただ単にABCが冷めただけなので、説明は省略する。

4つ目は、Abc。すなわち、外で冷たいおにぎりを食べる場合。
お弁当としておにぎりを食べるのがこれだ。
この場合も、なぜお弁当箱に詰めないのか？という疑問が付きまとう。そっちのほうが明らかに楽なのに。洗い物が面倒なら、お弁当箱にラップを敷いてから食材を入れればいい。
ただ、このAbcに関してのみ、abcにはない画期的なメリットがある。それは、箸がなくても食べれるということだ。箸がなくても、立ったままでも、机がなくても、おにぎりなら無問題で食べられる。もしかしたらみなさんのなかには「私は箸なし弁当も食えるぞ！」という弁当信者の方がいるかもしれないけども、流石にお弁当を犬食いすると人間としての何かを失うことになるからおすすめしない。

以上のことから、おにぎりが容器ご飯に勝っているところは2つであると分かった。
情緒的であるということと、箸がなくても食べられるということだ。

このような利点を発見したからには、僕ももう「おにぎりは非効率だ」とはがなり立てないようにしようと思う。
けれども、逆の言い方をすると、このような利点がどうでもいい場面においては、おにぎりを作る意味は一切ないということでもある。

急いでる時の朝食とか、落ち着いて食べられることが確定している外昼食では、ご飯を容器に盛るほうが簡単で楽で効率的なのだ。

また、みっちりしてるとか他人が握ったのは食べられないとかいう理由でおにぎりを嫌う人はいるが、容器に盛ったご飯が嫌いだという人は聞いたことがない（米そのものが嫌いな人は除く）。
こういう点から考えると、他人に振る舞うのにも、おにぎりはあまり適していないのではないだろうか。

米はお茶碗に盛るのが一番美味しい。

（abcの話、別にいらんかったな）