無痛分娩は神だった。10時間30分の出産レポ
2021年12月2日、20時26分。息子が生まれた。
私は無痛分娩で出産したのだけど、いわゆる計画無痛ではなく、自然に陣痛がきてから麻酔を入れるというもの。計画ではない無痛分娩は24時間体制で麻酔を管理できる医師がいないとダメなので、やっている病院が少ない(と思う)。
そのため、こうした無痛分娩で出産した人のレポもやっぱり少ない。それは私自身、妊娠中にレポを読み漁っていたときにもすごく感じたこと。なので、この出産レポは私自身の備忘録であると同時に、誰かの参考になることを願って書こうと思う。
本陣痛っぽいものの始まり〜破水
12月2日 0:00頃
なんだか定期的にお腹痛い。前日からちょいちょい張りがあり、検診でも「そろそろだよ!」と言われていたので、念のため計り始める。だいたい10〜20分間隔。でも等間隔にならないし、痛みもそこまでなのでほっとく。布団に入って少しうとうとするも、微妙に痛くて寝られない。
4:00
諦めて起きる。ちょっと痛み強くなったような気もする。陣痛間隔計るアプリを起動し、記録し始める。7〜15分間隔あたりをうろうろ。一応産院に電話してみるも、完全に10分切ったら連絡して!と言われる。その後も同じようなペースで痛みがくる。
7:00
夫、起床。出勤するかどうか迷ってたので、再度病院に連絡する。まだ完全に10分切ってはいなさそうということで、様子見になる。とりあえず朝ごはんをもりもり食べる。夫は会社へ。
10:30
痛みが強くなる。寝てても痛くて起きるくらい。痛いときは動けずうずくまる。
12:00
やれる家事はやっておこうと思い、洗濯したり洗い物したりする。意外と動けていて、痛みが弱いときもちょいちょいある。というか、動いていると痛みがまぎれる。昼過ぎくらいにうんちでる。出産前に出てくれてよかった…!
13:00
ご飯食べるのが面倒くさくて、そのへんにあった無印のバームクーヘンを食べる。(のちにこれを大後悔。ご飯しっかり食べておくべきだった…。)
13:30
ベッドで横になっていたら、かなり痛い波が来てウッとなる。その後立ち上がると、ビシャーと股から水が漏れる。どう見ても破水で、産院に電話。すぐ来るように言われる。
バスタオルを股に挟みつつ、夫に連絡して入院バッグの最終チェック。股からじょぼじょぼ水が出ている感覚があるので、サクサク動けない。羊水で水浸しになった廊下を足で拭く。ちなみに、羊水の匂いは“しばらく洗ってない金魚の水槽の匂い”でした。
バスタオルを挟んだまま夫の運転で病院へ。
ついに入院。進みが早く喜ぶも……
14:30
産院到着。夫とはいったん入口で別れ、出産近くなったら再度来てもらうことに。内診されると子宮口4cm。前日の検診では1cm、かつ初産ということを考えるとかなり進みがいいらしく、「いい感じだね〜!」と先生や助産師さんたちが沸き立つ。「5cmになったら麻酔入れようね」と言われる。このときまだ5〜10分間隔で耐えられる痛みだったので、余裕あるお産ができると期待する(大誤算)。
「早ければ今日中。まぁ明日くらいに生まれるかな」と言われたので、立ち会い予定の夫と、遠方の母親にもそれを連絡(これもまた大誤算)。
15:30
破水していたので抗生剤の点滴をされつつ、入院の説明や準備などがバタバタと進行。一通り終わったあと病室に案内され、「分娩着に着替えて、軽く食べてから分娩室戻ってきてね〜」と言われる。
しかし、この頃から徐々に痛みが増してくる。なんとか着替えたものの、夫が持ってきてくれたおにぎりすら痛すぎて食べれない。断続的に痛みがくるので、コンビニおにぎりのフィルムを剥がすという繊細な作業をやる余裕がない。加えて、この間も常に羊水が出続けてるので、ベッドが濡れないか不安で座れない。これ早く行かないと歩けなくなるぞ…と危機感を感じて、ほぼ何も食べずに分娩室へ。
16:00
壁伝いによろよろ歩きながら分娩室に戻る。かなり辛そうな様子の私を見て、「あれ?結構痛そうだね」と助産師さん。それもそのはず、内診してもらうと5〜6cm開いてる。「わぁ、もう5cm開いてるよ!今、先生オペ中だから、それ終わったら麻酔入れてもらおうね!」と言われる。
麻酔が効くまで、痛みとの戦い
(このへんから時間曖昧)
16:30
先生、全然来ない。痛みが限界突破。叫びはしないものの、呼吸するのが精一杯。さらに羊水で分娩着が濡れたのもあり「寒い!」を連呼。震えが止まらない。かけてもらったタオルにくるまり、とにかく痛みに耐える。痛みが落ち着いている一瞬に意識が遠のき、「あれ、私なんでここにいるんだっけ。赤ちゃん産むとか夢じゃない?」という気分になるも、すぐに猛烈な痛みで現実に引き戻される。
ちなみに、陣痛の痛みは人それぞれ違うらしいが、私の場合はとにかくやばい生理痛。普段の生理痛を1万倍にしたような感じで、子宮を握りつぶされてるような痛みだった。
16:45
やっと先生くる。「痛みの感じどう?さっき(最初の内診)までと違うでしょー?」とフランクに聞いてくるも、答える余裕などない。「わかんない!!!」と半分キレながら叫ぶ。
その後、陣痛きてるときに内診されて、「いたいいいいいい!」と叫ぶ。あまりの痛みに錯乱状態で、助産師さんの手を反射的に握りしめる。一方で、人間って痛いときに「いたい!」って叫べるんだな、と頭の隅で冷静に思う。
17:00
やっと無痛処置。背中を丸めて助産師さんに押さえつけられる。合間に陣痛の痛みがくるので体勢を保つのがつらい。おそらく局所麻酔をしたあと、麻酔の針(管?)を刺してるっぽいが、麻酔の針が痛くてビクッと体が動く。「危ないよ!」と先生に怒られるも、こっちも動きたくて動いてるわけではない。
途中で陣痛の波が来て、「今陣痛の痛みが来てるので少し麻酔処置待ってください」と伝えたいがそんな長文言えるわけもなく、「おながいだいいいいい」と声を絞り出す。意図は伝わったようで、少し麻酔待ってくれた。
処置が終わり、「もうすぐ麻酔効くからね〜」の声かけに「いつ!?!?」と叫ぶ。
このあたりで、夜勤の助産師さんに交代。「担当変わりますね」と挨拶されるも、答える余裕はない。目で「よろしくお願いします」と伝えたつもり。
少し麻酔が効いてきたあたりで夫を呼ぶ許可が出たので連絡。しかし電話に出ない。数分後に折り返しかかってきたので「病院来て」と伝える。「産まれるのは早くて今日中」と伝えていたので、家でシャワー浴びてたらしい。
麻酔が効き、自我を取り戻す
17:30
左向いたり右向いたりして、麻酔を両側に流す。足の感覚は残ったまま、少し痺れているような感じ。何度か保冷剤を足に当てられ、麻酔の効きを確認される。
麻酔が効いてきて、自我を取り戻す。まじで麻酔、神。助産師さんや先生の質問に文章で答えられるようになる。少し余裕が出てくると同時に、日勤の美人な助産師さんに醜態を晒し続けたのが申し訳なくなってくる。次に会ったら謝りたい。
18:00
獣から人間に戻ったところで夫入室。夫は入院時と麻酔効いてからの私しか見ていないので、痛みMAXのときにいてもらいたかったのが本音。お産がこんな穏やかなものだと思うなよ!
19:00
子宮口全開になったらしい。痛みはないけど、骨盤の骨がぐぐっと押されている感覚はある。いきむ練習をする。お昼にバームクーヘンを食べたっきりだったので、お腹がすいて力が出ない。麻酔入れると食べられないので、無痛の人は食べれるうちに食べておくべき。これが一番の教訓。
20:00
相変わらず痛みはないものの、中から押されるような感覚がお尻の骨あたりに変わる。いきみたい感じはないが、「今陣痛の波来てるな〜」というのは分かる。
本格的にいきみ始める。横向きで何度かいきんだあと、産むときの体勢になっていきむ。そして、またしても先生の到着待ち。どうやら先生の交代のタイミング?あたりだったらしく、「○○先生まだ来てない?××先生に連絡してみる?」と助産師さんたちが相談してるのが聞こえる。なんでもいいけど早くきて!産ませて!
20:15
先生が来る目処がつき、本格的に産む準備が進む。医療器具とか必要な道具が一気に集められる。私の方は麻酔の量を減らされたくない一心で、空腹のなか渾身の力でいきむ。助産師さんたちに「上手〜!」とおだてられて俄然やる気が出る。
20時26分、息子爆誕!
20:20
先生登場。「会陰の伸びが悪いので切りますね」と言われ、サクッと切られる。妊娠中は会陰切開に怯えていたけど、もはやどうでもいい。早くお子を出してくれ。
20:26
息子誕生!股の間から人間出てきてビビる。思ったより手も足も長い。よくお腹に入ってたな……。
こんな私でも感動するかなと期待してたけど、「終わった……」とただただ放心。最初「ホギャ……」と泣き声が弱めで心配したものの、すぐに元気に泣いてくれてほっとした。あと夫に激似で、その衝撃がでかかった。
その後、処置もろもろ。助産師さんが臍の緒を引っ張って胎盤が出たよう。見せてもらえばよかったな、と今更思う。
お股縫われる。結構長い時間縫われてて、どんだけ切ったのかと不安になる。でも怖くて聞けない。諸々終わった安心感とか緊張とかで足がぶるぶる震える。
21:00
麻酔切ってもらう。夫ときれいになった赤ちゃん来る。赤ちゃん元気に泣いてて、「本当に私が産んだのか?」とまだ信じられない。助産師さんが写真撮ってくれるも、足の方から撮ってたので私の顔はすべて二重顎。もっと上から撮ってほしかった……(泣)
2時間ほど分娩台の上での安静がマストなので、夫とおしゃべり。病室に行く際、分娩台から車椅子への移動は自分の足でしたのだけど、立った瞬間に骨盤がグラグラでびっくりした。痛みがないからわからなかったけど、体はめちゃくちゃダメージ受けてるんだな。
以上で私のお産はとりあえず終了。夜中に会陰切開の痛みとかでまた苦しむのだけど。。
結論、無痛分娩は神
出産が怖すぎて、妊娠がわかった時点で無痛分娩一択だったけど、本当に麻酔は神だった。私は予想以上に進みが早く、それなりの痛みも味わったのだけど、それはそれでよかったなと今は思う。(最中はそんなこと思う余裕はない。)
もし二人目を産むことがあるとしたら、そのときも無痛で産みたい。(つわりが辛すぎたので、今はあまり考えてないけど……。)
ただ、麻酔との相性があるのも事実。私の友達にも、体質的に麻酔が合わずに吐きながら産んだという人もいるし。
なので、一概に全ての人におすすめとは言えないけれど、個人的にはとってもよかった!もし迷っている人がいるなら全力でおすすめしたいし、一度検討してみてほしいなと思います!
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