映画ログ『17歳の肖像』
あどけなさの残る目で17歳の少女は言う、
「退屈なことをし続けて退屈な人生を送るの?」
「退屈な人生などいらない」
「教育するならその意義を教えて」
それは至極本質的な問いであり、大人ですら困惑し、大人ももう一度自分自身を問うたろう。
明確な答えを出せない大人を置いて彼女は1人で一歩外の世界へと歩み出る。
一見きらびやかで、スピーディーでかっこいい、大人の世界。少し背伸びして覗きたい世界。
日本の高校生でもきっとそういう世界に憧れる子はいるだろうし、なんなら飛びてて行く子も多いだろう。私の周りにも実際いた。
押しつけられる勉強や義務や制限の下では、そういう世界に好奇心が湧くのはもはや当たり前だろうし、すごくわかる。
ただ、一歩踏み違えると、人生は大きく変わる。
もちろんいい変化もあるだろうが、快楽にただ流されているだけの場合、その逆に陥る。
とても危うい次期。
しかしその危うさは、16、17歳という大人になりきれない子供だけがもつ一種の美しさとも思う。
この映画の主人公ジェニーはそこで大きな経験を経て、挫折し、それでももう一度帰ってきて言う、
「人生に近道なんてんかった」と。
彼女の眼差しはもう少女のそれではなく、大人の眼差しだった。
もうかつての危うさはなく、強く、まっすぐに未来を見据えていた。
彼女の愚直でブレない姿が最高にクールだったし、私もああなりたいと思った。
2017/5/10