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《創作交換日記》場所と感覚、記憶について
創作交換日記「今日もぼちぼち」
今回は、山科達生(@tatsuoymsn)さんです。
宮脇さんの日記に書かれていた荒川河川敷での呼吸について。
何より身体に良い影響をくれるのが “呼吸”
特に仕事やプライベート、心に変化があった時。
荒川に行って深い呼吸をすると、身体の内臓全部が大きくなって、吐くときには、自分の背骨から羽が生えるような感覚があります。
何度かゆっくり時間をかけると、さらに膨張して、心身ともに変幻している実感があります。
面白いですね!
「荒川」で「呼吸」をすることで、羽が生えるような感覚を覚える。
荒川河川敷は、ほどよく整備された大きな河川敷だと思いますが、ここに限らず、空が広く見える自然環境で深呼吸をすると、とても気持ちが良いですよね。
ここで思ったのですが、
河川敷や、山や森といった、自然環境に居るというイメージを持って、例えば街中などの「他の全く違う場所」で深呼吸をしてみる。
そうした場合、荒川で感じられたような「あ〜気持ちいい〜」という感覚を感じることはできるのでしょうか?
ということで、ちょっと実験してみました。
実験場所
・車の中
・交通量の多い道の歩道
・花屋の横(偶然)
・早朝の電車内
まずは、エンジンのかかった車の中でやってみます。
「スゥ〜ハァ〜」
そんなに気持ちよくはないです。
ですが、余分な力が抜けて落ち着きます。
視界が広がって事故のリスクが減るかもしれません。
ドッドッドッドッドッドッと、
エンジンの振動が爪先から頭のてっぺんまで響きます。
次にまあまあ車の通りが多い、道路沿いの歩道でやってみます。
「スゥ〜ハァ〜」
力が抜けて動き出したくはなりますが、気持ちいい〜とはなりません。
走る車の音や行き交う人の足音。
視覚的にも聴覚的にもストレスを受けます。
何かあったら、と思い少し身構えてしまいますし、人の目も気になります。
難しいなぁと思いながら歩いていると、花屋の前を通りかかりました。
その時にフワッと花の華やかな香りが飛び込んできました。
めっちゃいい香りです。
鼻から飛び込んできた香りが、顔や頭の中を飛び回って、身体が浮き上がる様です。
これはすごい!急いで先ほどの道路沿いへ向かいます。
この新鮮な感覚を持って、香りを思い出すように深呼吸をしてみる。
身体が浮き上がるような「花屋の感覚」を感じられるのか!?
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「スゥ〜ハァ〜」
ダメでした。
香りの記憶は残っているものの、イメージをしても、
あのフッと身体が浮き上がるような、
軽やかで華やかな感覚は感じられません。
実際に香りがないと難しいです。
日はかわって、早朝の電車内。
ここでも河川敷をイメージして深呼吸してみました。
「スゥ〜ハァ〜」
一瞬、あ、いけるかも!と思いました。
人はそんなに居ないですし、居ても寝てる人が多い。
車内は閉ざされた空間です。
早朝の電車は静かで集中しやすかったからでしょうか。
今回は荒川で感じたような感覚を、イメージ(体験したことがあること)することで、他の場所で感じることが可能なのだろうか、という実験でした。
結果としては、イメージ・記憶で感覚を呼び起こすことは、なかなか難しかったです。
自身のイメージ、記憶、感覚のレコードが濃密であれば、「気持ちいい〜」の再現は難しくても、近しいところへはいけるかもしれません。
舞台作品では、表現の方法として「感覚を呼び起こす」ということを行うこともあるのではないかと思います。
創作において、みなさんは感覚表現を行う場合、どのように行っているのでしょうか?
「荒川の羽」という作品を創るとしたら、どのようにつくるのだろう。
また実験してみようと思います。