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嫌になってしまう前に、離れること

好きなお笑い芸人のひとりに、ANZEN漫才のみやぞんさんがいる。

私は昔からお笑い番組を積極的に見るタイプではなくて、お笑い芸人についてのリテラシーが20代とは思えないほどに低い。自覚している。

先日友達とランチをしているときに「こないだのミルクボーイが出てた番組、見た?」と聞かれたのだけど、そもそもミルクボーイがわからなかった。

「ミルクボーイって…なに?」

「知らないの!?元M-1王者だけど…!」

「えっ、うそ。M-1王者なの?」

「『ほなコーンフレークと違うかぁ』ってネタ」

「ああ〜!聞いたことある!そのネタの芸人さんね!」


お笑い芸人を覚えるのは、なぜだかすごく難しい。
芸人を覚えること自体が、一般的にも難しいことなのだろうか。ただの私の、やる気の問題?

……とまぁ、少々脱線したけれど
私の脳内に記憶されている芸人さんは、ごく少数であることはなんとなくお分かりいただけただろうか。

そんな芸人リテラシーの低い私の脳内で、みやぞんさんの人として好きなところ、面白いエピソード、即興ソングのネタの数々は色濃く刻まれている。記憶に残っている彼の言葉も、いくつもある。

日本テレビ系列のバラエティー番組『世界の果てまでイッテQ!』に初登場した2016年から、ずっと私の「好きな芸人さん」だ。

彼はしばしば、番組内の「世界の果てまでイッタっきり」という企画で、与えられたお題を達成できるまで日本に帰ってきてはいけない、という無茶なロケ(というか修行)を強いられている。

「ヘッドスピンを2週間で習得する」
「世界の美術品100作品覚える」
「アクロバティックに牛を避ける闘牛技に挑む」

など、お題の内容は基本的に無理難題で、危険を伴う挑戦もある。


この企画が何年も続く人気コーナーとして番組に定着したのは、ひとえに彼の忍耐強さ、根の真面目さ、そして絶えることのないチャーミングな笑顔があったからだと思っている。

「成功するまで日本に帰ってくるな」というお題に対し、「そんなの無理だよ〜😭」とすぐに根を上げる人では企画が成り立たない。

……とはいえ、真面目に黙々と取り組む人なら誰でもいい、というわけでもないだろう。ただツラそうな人を映し続けていたって、見ている人は楽しくないじゃない?

たぶん、楽しい企画として成立させるためには、一生懸命お題に立ち向かいながらも、修行中にもクスッと笑えるトークをくり広げたり、視聴者の気持ちが明るくなる笑顔を届けなければいけない。

言ってしまえば、いつも笑顔で努力家な彼のキャラクターに、ほとんど依存して成り立っている企画だと思うのだ。聞こえは悪いけれど。

彼がスタッフから有無も言わさず押し付けられた難題に対し、異国で粛々と努力をしている様子を見て……かつ、立派に仕事をされている姿を見て。

私は「どうしてこんなに笑顔で戦っていられるんだろう」と、いつも不思議に思っていた。

数年前にこの疑問を、番組内でスタッフがご本人に投げかけてくれたことがあった。「どうしてそんなに、笑顔で頑張り続けられるんですか?」と。

そう!その話聞いてみたかったんです!

記憶が正しければ……たしかスペインで5本のブーメランを順番に投げてキャッチする、「ブーメランジャグリング」に挑戦した回だった。

質問に対して彼は、いつもの笑顔で「嫌になっちゃう前に休憩するんですよ。そしたらずっと続けていられる」

……と答えたのだ。

嫌になってしまったら、「もう一度頑張ろう」と気持ちを持ち直すまでに時間がかかるし、ストレスも大きい。だから気持ちが切れる前に、「まだ頑張れるぞ」と思えるうちに、休憩を挟んでおく。

大丈夫なうちに、10分だけでも離れておく。

この時の彼の言葉を、私は今でもよく思い出す。
そして、実践するように心がけている。

とくに原稿は、気持ちが一度切れてしまうともう一度立て直すのに、相当時間がかかる(私の場合は)。

一度「ああ〜もう難しい…嫌だ……!!」と思ってしまうと、元々短い集中力がさらに保てなくなるのだ。
負に満ちた心では良いものができないし、締め切り前で時間がないのに、その日は書き進められなくなったりもしてしまう。

息を抜くタイミングは、本当に大切なんだよなぁ。仕事上手は往々にして、息抜き上手なのだ。

集中しているからといって、「やり尽くす」のが最善とも限らない。

疲れ果てながらようやく出したアウトプットには、「ここまでやったのだからいいものに決まっている」という先入観が邪魔をする。

満足感ゆえに厳しいジャッジができなくなってしまうなら、余力のあるうちに休んで、次の日に終わらせた方がクオリティは高い。

「休みどころをいつにするか」の指標を持っておくべきだ、ということを、私はみやぞんさんから教わった。


……ということで、今日のnoteはここまで。

「嫌になる前に離れる」を実践したときのエピソードを書こうかとも思ったけれど、もう深夜1時を過ぎている。

嫌になっちゃう前に切り上げようと思います。みなさん、おやすみなさいませ🌙


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