いつもありがとうございますという告白
「いつもありがとうございます」
僕はお店で言われたら嬉しいので自分もお客様に「なるべく」言うようにしている。
インパクトがあるお客様はすぐに覚えることができるので2回目でこの間のお客様だと気付けるけどいつもありがとうございますとは言わなくて、だっていつも来てないから。僕の中でのいつもは5回を超えたあたりから。それでやっといつもありがとうございますを言うかどうかを「悩める」ところ、つまりスタート地点に立てるということです。あなたのこと知ってるよのほうがいいのに、あなたのことは知らないというテイでいたほうが、いいこともある。だから悩む。
もちろん僕も言われる側だったら嬉しいんですけど、それを言われたことで嬉しい反面次にそのお店に行く時にハードルが上がるというか。(いや、嬉しんですけどもちろん!)
ちょっと億劫になるというか。変なコミュニケーションを取らなきゃいけなくなったらどうしよう、みたいな。早く帰りたいのに気を使って話しかけられたりしたら面倒だよなぁと感じる面もある。
だからそれをお客様に言う側になると悩む。
これを言ったら2度と来ないのではないか、と。いや、大抵の場合はそんなに大袈裟なことじゃないから言いますけど。
いつもひとりできてゆっくり過ごして帰られるお客様にそれを言ったら「自分だけの聖域」というムードを壊してしまって台無しになるか?と勘繰ってしまうのです。
だから告白にすごい似てるなぁと思うのです。
今の関係のままがいちばんいいけど、もう一歩踏み込むには少し進んだコミュニケーションが必要でそれが告白なわけじゃない?好きです、っていう。
でもそれをしたら今のままではいれなくなるかもしれない、っていう。
それなりに長くこの仕事をしているとちょっとは分かるんですよ。この人は喜んでくれる人だとか、ひとりの時間を楽しみにしてきてるからそっとしとこうとか。
その中間ですね、迷うのは。どっちとも取れるぞ、っていうお客様はいろんな情報を総動員して考えますけど…
結構通ってるのにいつまで経ってもいつもありがとうございますって言ってくれいなぁとか思われるのも心外だし!
でも、興味ないわけじゃないよ?って伝える手段すらないのでこっちは。
だからポイントは結局「認知されることで居心地が悪くなったと感じる人がいる」という事実です。
実際に店と仲良くなることを求めていない人もいるわけで、僕はちょっとそっち寄りです。
ちなみに、そんな微妙なお客様に意を決していつもありがとうございますをいうときには少し突き放した感じで言うようにしている。ベタベタしない。認知はしてるけど、そんなに興味はないんだからね!っていう具合。
だからぼくの中ではどっちでもいいんです。
大事なことはお客様がフラットに店に来てくれることなので。お得意様を作ることが目的で「いつもありがとうございます」を使うようになったらおしまいなのかな、と思います。