見出し画像

2階は大変

隣の隣くらいにラーメン屋さんができた。そこは少し奥まっているけど一階の路面店。

仙台の店舗が今年で11周年で、僕はお店を始めるときに「隠れ家みたいなお店にしたい」と思っていた。誰にも気付かれないような店構えにして、それでも繁盛しているようなお店に憧れていて、そしてそれは、品質やモノの良し悪しで達成できるモノだと思っていました。

でも、お客さんは全然増えなくて。
「なんで!?こんなに頑張っているのに…」

今も当時もたくさんの飲食店に行く。
繁盛しているお店には法則があるんじゃないか、と思って色々考えているうちにあることに気付きました。
僕はすごい美味しかったお店や、すごいいい接客だったお店がたくさんあったにも関わらず、それらのお店はたった1回行ったきりでもう行かなくなっていたんです。

逆によく行くお店にあったのは「入りやすさと親しみ」だと気付いたんです。僕が作った隠れ家のようなカフェは「入りづらい、親しみにくい」お店になっていました。

人が飲食店に行くときに品質やスペックは理由にならないっていうことにそこで初めて気付いたんです。
今はお客さんがいくらか増えましたが、グランドメニューは当時も今もレシピ的にはほとんど変わっていない。見せ方もほとんど一緒。


親しみっていうのは、親近感のことで「どんな人が店をやっているのか」っていうことです。
それを伝えていくのがブログとかSNSかな、ということで当時から毎日何かしら書いている。
仲良しになるとか、そういう親近感じゃなくて「共感」っていう方が近いです。「今日も暑いね!?」っていうだけでいい。
「分かる分かる!」がお店に行くことの安心感を作り出す。

それで、僕が見つけた2店舗目の物件は1階のガラス張りでした。最初に書いた2軒度なりのラーメン屋さんみたいないい場所です。


なので、中が見えないストレスっていうのは特に1階路面店ではなるべく無くしてあげた方がいい。
結構あるんですよね、商品のサンプルディスプレイを並べたり、壁にプロジェクションマッピングしたり(この店はすぐ撤退しちゃいましたが…)、デザイン施しまくったりして、中が見えないっていう。
勿体無いですよね、そもそも1階路面店のメリットが何かを認識できてないとか、「中が見えて安心だから入ってみようかな」っていうお客さんの導線をデザインしてないんだと思うんですけど。
(僕が今抱えてる店はどっちも2階だからちょっとひがんでいる)

お店が「存在」していることを教えてあげないと、入りやすい云々以前の問題でお店に入ろう、もしくは入りたくない、とすらも思えない、ということです。以前も書きましたが看板(広告、PR)は大事…
ここにあるよ!っていうのをアピールしないとお客さんは入ってきてくれません。

「隠れ家が隠れたまま終わる」というのは辛い。


これがさっきの1階路面店の話ですけど、1階は目立つから発見してもらいやすいっていうメリットがあって、しかも中が見えていればなんとなくお店のことって説明できる。暗くてカウンターしかなければそういうbarみたいな感じかとか、女の子がたくさん入ってワインとか飲んでいれば少しカジュアルなお店なのかなとか。

発見してもらって、こんなことができるお店だよ、って教えてあげることが隠れ家が隠れ家で終わらないために必要かも。


ファサード(入り口というか外に面する部分ですね)って実は結構な金額で、どこのお店もそうだと思いますが、1番費用がかかる場所です。
しかもガラスっていうのは高い…(白目)

2店舗目は路面で、まぁちょっと嫌な言い方なんですけど「こんなにお客さんに発見してもらえるもんなのか…」と。1店舗目と3店舗目が2階なのでやっぱりすごい苦労したというか、ブラックボードの立て看板なんかじゃ効果がない。「階段を登らせる」ことってめっちゃ大変。
「いい場所にあること」=「立地がいい」ではなく
「気付いてもらえて入りやすいこと」=「立地がいい」です。


中をのぞいてもらえるとコーヒーを淹れているところや、焼き菓子のショーケースやイートインのスペースが見えるので、それだけで何屋か分かるし、お客さんがいるなぁっていうのも丸見えなので次のお客さんも入りやすい。
コンビニの雑誌のスペースが外に向けられているのと同じ原理で「立ち読みしている人たちが外から見えるので入りやすい」っていう効果。

分からないものは買わない
だから分からないものは買わない、気付けないとそもそも買えない、知らないものには価値を感じない。

常に自分は「陸の孤島」にいると思わないといけないと感じる。



いいなと思ったら応援しよう!

山路 裕希(YUKI YAMAJI)
お店にも来てくださいね〜〜!!