徒歩5分で温泉に行けた家
6年前の春、私たち家族は大分市に住んでいた。
夫が東京から大分に転勤が決まり、私はちょうど育休中で、
4月から息子が入園するはずだった保育園の内定をリリースし、急遽育休の期間を延長してもらって転勤先についていった。
大分は旅行でも行ったことがなく、どんな街なのかまったくわからなかったけれど
引越し先の住まいの近くには、駅もスーパーも市の子育てセンターもあって、生活するには何の不自由もなかった。
思いがけず嬉しかったのは、温泉施設も近くにあったこと。
ビルの高層階にある施設で、眺望も素晴らしい温泉だった。
寝かしつけた息子を夫に預け、一人で別府湾を眺めながら露天風呂を満喫し、サウナと岩盤浴をはしごして、
スッピンも気にせずホカホカの体のまま家に帰ってベッドに直行。
これを週1ペースでできたのは、大分に住んでいるからこその贅沢だったと思う。
その後、関西に戻ることになり、わずか3か月で大分暮らしは終わってしまった。
旅行先の温泉ももちろん素敵だけど、日常生活の中に温泉があることこそ、私にとっては「至福」。
春になると時々、あの大分の家が懐かしくなる。