現象を告げる声
雪の予報は外れることが多いと思っていたのでいつも通り過ごしていたら、昼から降り出した雨が夕方から霙に、そしてだんだんと水分が少ないふわふわな白いものに変化していった。これはきっと積もってしまうだろう。心の中の子どものわたしは積もる雪に喜び、大人の私は翌日の雪かきを思い出し悲しんだ。小さなかまくらで作ってみたら気が晴れるかな。
外気温に釣られて室温もどんどん下がっていて、エアコンの温度を調整するもどうにも間に合っていないようだ。我が家の設定はいつも暖房22度。24度に変更する。
それと同時に息子が2階から降りてきて「部屋が寒い」と訴えてくる。彼は小学生の時の夏休みに冷房16度で部屋に篭り毛布をかぶってゲームをしていて私を怒らせたことがあるので、まずエアコンの設定をチェックした。
設定温度が少し低かったので24度にして、それから息子の服装を眺める。少し薄着だったので上着をフリースにして膝掛けを使うように提案し承諾される。
息子は厚着が好きではないのか冬でも室内で半袖で過ごしていることがあり、重ね着で着膨れている私からすると南国に住む人に見える。
雪はどんどん降り積もり、外はどんどん白くなる。カーテンから覗き見すると街灯を反射して思っていたよりも外は明るい。
いつもより音がしないなとカーテンに近寄ると突然の閃光、そして轟音。このタイミングで雷が落ちている。厳かに携帯で現象を検索する。
またも息子が「雷!」と現象の名前を告げながら現れてジュースと共に部屋へ去っていく。
予報通り日付が変わる頃も雪は降り続く。雷の音はいつの間にか聞こえなくなっていた。