イウしキー Advent Calendar 2023-12-03 フラクタル図形に関するお話


初めに

 情報に誤りが含まれる可能性があります。正確な情報を求める場合は公的な文書に当たってください。
 また、今回は厳密な定義などは行いません。なぜなら、今回はフラクタル図形の紹介が目的だからです。「こんな図形があるんだなぁ」程度に見てもらえると助かります。
 また、画像は全て自作です。

フラクタルとは

 フラクタルとは数学的な図形の一種です。図形の全体と部分が自己相似となっているような図形をフラクタルと言います。有名なものにはマンデルブロ集合やコッホ雪片などがあります。

確率的フラクタル

 確率的フラクタルとは確率的な値によって決定されるフラクタルです。そのため、計算のたびに異なる結果を返すことになります。

ブラウン木

ブラウン木の画像
ブラウン木

 ブラウン木とはブラウン運動を利用したフラクタル図形です。この図形は以下のようなプロセスで発生します。

  1. 粒子の大きさを1として、木の大きさrを定義する。

  2. 木の種となる固定された粒子を一つ配置する。この時の位置をcとする。

  3. cからr以上離れたランダムな位置に、ブラウン運動で移動する新しい粒子aを生成する。

  4. 粒子aがもし、固定された粒子に接した場合、粒子aも固定される。
    これは、すでに固まっているものに接触するとそれも塊の一部になるということである。

  5. もし、固定された粒子が全てrの内側にあるなら、3に戻る。

以上のような簡単なプロセスでこのような複雑な図形が発生します。

反復関数系

ドラゴン曲線

ドラゴン曲線の画像
ドラゴン曲線

 ドラゴン曲線と線をある規則で繰り返すことで描写される図形です。この図形を生成する規則は複雑なため割愛させていただきます。

コッホ雪片

コッホ雪片の画像
コッホ雪片

 コッホ雪片は馴染みが深いフラクタル図形の一つかもしれません。その理由は、高校数学の極限の計算の例として出題がしやすいフラクタル図形だからです。
 この図形は、三角形の各辺上に自身の1/3の大きさの三角形をくっつけるといった動作を繰り返す事で生成されます。

シェルピンスキーのカーペット

シェルピンスキーのカーペットの画像
シェルピンスキーのカーペット

 シェルピンスキーのカーペットは長方形を九等分し、中心を除く8つに同じ操作を繰り返すことで作ることができます。直方体で同様の動作を行うとメンガーのスポンジという図形になります。

シェルピンスキーのギャスケット

シェルピンスキーのギャスケットの画像
シェルピンスキーのギャスケット

 シェルピンスキーのギャスケットは三角形を三等分し中心を除く3つに同じ操作を繰り返すことで作ることができます。
 また、この図形は1次元セル・オートマトンのrule90やパスカルの三角形といった様々な図形と関係があります。

Escape-time fractals

 Escape-time fractalsは、一見するとフラクタル図形のようには見えません。しかし、特定の部分を十分拡大していくと。自己相似な図形が存在することがわかります。

マンデルブロ集合

マンデルブロ集合の画像
マンデルブロ集合

 マンデルブロ集合は最も有名なフラクタル図形の一つです。ある複素数平面上の点$${c}$$に対して、以下のような漸化式で$${z_n}$$が無限遠へと発散しないような図形です。

$$
\left\{\begin{array}{l}z_{0}=0\\z_{n+1}=z_{n}^2+c\end{array}\right.
$$

 上の式で得られた無限遠に発散しないような$${c}$$を複素数平面に記した図形がマンデルブロ集合です。ちなみに、本当の意味でのマンデルブロ集合は真ん中の黒い部分だけで、周りの青や紫など色のついている部分は発散までに何回かかるかを視覚化するためのものです。

burning ship

burning shipの画像
burning ship

 バーニングシップフラクタルはマンデルブロ集合よりはマイナーです。ある複素数平面上の点$${c}$$に対して、以下のような漸化式で$${z_n}$$が無限遠へと発散しないような図形です。ただし、$${R(z)}$$と$${I(z)}$$はそれぞれ複素数の実部と虚部を返す関数です。

$$
\left\{
\begin{array}{l}
z_{0}=0\\
z_{n+1}=\left(|R(z_{n})|+i|I(z_{n})|\right)^2+c
\end{array}\right.
$$

 上の式で得られた無限遠に発散しないような$${c}$$を複素数平面に記した図形がバーニングシップフラクタルです。ちなみに、本当の意味でのマンデルブロ集合は真ん中の黒い部分だけで、周りの青や紫など色のついている部分は発散までに何回かかるかを視覚化するためのものです。
 また、上の図では、一般的な座標軸の取り方に対して上下が反転していることに注意してください。

自然現象など

 上にあげた例の他にもロマネスコという野菜やリアス式海岸の海岸線などがフラクタルになることが知られています。

実際に作ってみる

定義

 六角形を用いたフラクタル図形を考えます。この時、以下のような規則で図形を書きます。

出力

自作のフラクタル図形(アニメーション)
自作のフラクタル図形(アニメーション)

 上のアニメーションのプロセスによってこのような図形が生成されます。この図形はどこかシェルピンスキーのギャスケットやカーペットに似ており、また、内側の空白部分はコッホ雪片の様な面白い図形となりました。

出典

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%AB

きっかけ

https://voskey.icalo.net/notes/9lrtw8af1m
https://voskey.icalo.net/notes/9lrtwnoc2p

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