ボク12歳、ボク苦しい
ふと子供の頃使っていた本棚を見ると、妖怪ウォッチの攻略本が随分幅を取っていた。子供の頃3DSを買ってもらえなかったのに。
確か当時の俺は3DSがないことによって友達との会話に置いてかれないために必死で、この攻略本を買った。本で追体験を得ようとしたのだ。妄想癖のせいでゆきおんなを白雪姫に進化させる夢を見たことがある。憐れだ。友達の会話に置いてかれないために宿題も大してせずYouTubeをひたすらに見ていた。そのせいで変な記憶力が残っている。
最近友達との会話の中でミラクルぐっちの「岩盤べぇ」(パート100ちょっとある妖怪ウォッチ実況の中でとあるパートにおいて間を繋ぐために出された、ぐっち氏がその場で考えたオリジナル妖怪の名称。それ以降登場は無かったように思える。)の話を出してしまい、キモがられた。人生の後遺症だ。ツラいなぁ。
別に家が厳しかった訳じゃない。でも3DSは皆が持っていたし、我が家はきっとそれの購入を拒むほどお金に問題がある家庭ではなかった。そういうちっちゃな本当に下らない不公平感が俺みたいな人間を作ったんだろうな、と陰鬱な気分になる。
でもその代わり俺は色々なことを覚えてられた。珍しい妖怪がいる場所だとか、他にもいろんなことを。だから友達のプレイに横槍を入れてプレイした気分になっていた。当時の友達からしたら迷惑だったんだろうが、そうでもしなきゃ俺の自我なんて紙切れ同然だから。
なんかみじめだよ。ただ与えられなかっただけなのに、なんでそれだけで歪まなくちゃいけないんだよ。ただその時その瞬間欲しいものを与えられていなかっただけなのに。なんでこんなに歪んじゃったんだろう。
今だったら2ヶ月分の小遣いで3DSを買えるけれど、俺は買わない。小学生時代に得れなかったものをもう二度とは得るチャンスが訪れないと、脳に理解させたくない。
生きていて本当に思う。他人の笑い話以上に、俺の精神的時間は小学生で止まっている。ADHDの精神年齢は実年齢の三分の二だという話がある。前に進まない時計を隠して大人のふりをして歩く。治らない病気を抱えて、12歳の18歳は受験に挑むらしい。苦しいよ。俺は苦しいよ。