微睡みなんて生易しいもんじゃない、

酒が百薬の長なら、睡眠不足はその対義語である。百害の長、と呼ぶべきか。

心臓にねじ切れそうな違和感がまとわりついて、耳鳴りは止まらず、意識は決してまとまらない。クラゲのような脳が脳漿のなかで科学的に分解されてしまっている。血管のなかをどす黒い廃液が這い回っている。目が燃えるように冷たい。まぶたが腐敗している。その他数多の症状が体内を駆け巡っている。

寝たい。眠たい。これから塾だ。若いときの苦労はかってもせよ、だと言う奴もいるし、後で必ずツケが回ってくるという奴もいる。多分どっちも正しくて、そこを上手くやれるやつが生き残っていける。そう言った人生をうまくやる能力があるか無いかで人生はほぼ決まる。

俺は上手く出来ない。逃げ時もやり時もわからない。やり続けられる奴には勝てないし、上手くやる奴にも勝てない。中途半端にやって、体とメンタルぶっ壊して勝手に病んで。

世の中、自分と上手く向き合えない結果として発生した苦しみが自業自得として処理されがちになってきている。俺だってやめたいよこんなの。やりたくないもん。眠いよ。寝たくないよ。自由くれよ。そしたら俺は電車に乗って知らない駅に行くんだよ。なんて読むかもわからん看板の吊るされたホームをほっつき歩くんだよ。何も出来ないよ。何が出来るかを考えなくちゃいけないはずなのに。

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