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しているADLとは?
※このnoteは2010年に書いたブログ記事の転載です
しているADLとは何だろう?
一般的には生活場面におけるADLの実行状況を指す用語である.できるADLをしているADLに昇華できれば介入が成功したような流れがある.
僕がADL自立しているのは色々な作業を遂行しているからだ.ADL以外にやることがない生活が訪れれば,いずれADLにも支障をきたすだろう.
「なんとか自分で遂行できるようになったADL」をしているADLと呼ぶことは危険だ.
ADLが遂行可能になるだけでなく,様々な大切な作業で構成された日常を良循環させることができるようになってこそ,初めて「しているADL自立」と言えるのではないか?
単純な反復練習で獲得された現象的視点のみで評価されたFIMのスコア.もし退院後の追跡調査で維持できていない対象者がいたら,その原因をどう考察する?
昨今の診療点数や加算の動向(2010年当時)からも,明らかに訓練量の不足に原因を見出している傾向がある.
ADLは目的にしてはいけない.
誰が明日,上手く排泄するために生きている?
誰が明日,食事をこぼさないことを夢見て眠りにつく?
誰が明日,いつもより円滑に着替えられることに情熱を燃やす?
ひたむきに汗を流し,子供達を立派に育て上げ,今の豊かな日本を作りあげた対象者の人生をそんな浅はかな尺度で語るな.