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未踏ジュニア 2020 最終成果報告会 レポート
17歳以下の優秀なクリエーターを支援するプログラム「未踏ジュニア」の最終成果報告会が、2020年11月1日に開催されました。
未踏ジュニアとは🔽
今年はオンラインでの開催でしたが、去年通りリアルタイムで視聴しました。概要、感想などゆるっとまとめます〜。
Skimer - 宿題管理アプリ
宿題をグループで管理するというタスク管理スマホアプリ。コロナで休校になって、アプリでの宿題管理の便利さに気づいたことから始まったプロジェクトです。グループ共通のタスク管理やランキングなど、複数人向けアプリならではな機能がありました。
感想: グループでタスク管理するから継続しやすそうと思います。宿題はやったことがないので使っているイメージは付きづらかった(個人的問題)のですが、他の人の感想を聞くとニーズありそうですね。個人的ですが、クリエーターの安藤さんと2年以上前から仲良くさせていただいてるので、なんかめっちゃ嬉しくなりました。
PV🔽
critica - 手軽で直感的なリアクション回収ツール
https://critica.uno/
イベントや展示などで、反応を集められるWebツール。5つ星評価、絵文字リアクションなど、フォームの種類を選んでつくることができます。
気軽にフィードバックを受け取れる・送れるものがほしい!という思いから開発。ユーザーテストを15回以上も行っているとのこと。
感想: ユーザーテスト・インタビューを何度も行って分析しているの尊敬すぎる… ちゃんと問題点を絞って対応しているのがすごい。それと、デザイン面で少しアドバイスさせていただいたのですが、アドバイス後、短期間でデザインがぐっと良くなっていて正直ビビりました。フォームの一種に、感情レベルを回答できるものがあったのですが、表情がなめらかに変わる演出があって可愛かったです。また、クリエーターのお二人と会う機会があったのですが、仲良さそうで素敵だなと思いました。一緒になにか一つのものを作れる仲間がいるの、すごくよい。よい。
Align - バッテリー残量からはじまるエモチャット
バッテリー残量が近い同士でチャットできる、残量が離れると切断される、というアプリ。「出会いと別れがエモい」という仮説を持って「エモさ」を実現していくというプロジェクト。
感想: 「エモさ」を定義してるの面白かったです。「エモい〜」はよく聞くのですが、それを実現するということを明確な目的にしているものは初めて見ました。
Mer-多機能電子リコーダー
リコーダーを元にした、好きな音が出せる電子楽器。めっちゃ多機能です…
感想: これは説明するより実際に見てもらうのがはやいですね。リコーダー愛が詰め込まれたプロジェクトだなと感じました。本番ではデモが聞けなかったのが残念ですが、中間合宿の演奏がすでに素晴らしく、聞いていて楽しかったです。
動画🔽
🗣『Mer-多機能電子リコーダー』のプレゼンです🎶✨
— 未踏ジュニア (@mitoujr) November 1, 2020
息の吸い込みを利用した発音、運指の読み取り、MIDI の信号出力、管を回転させるピッチベンドなど様々な機能がある。
動画は『回転させるピッチベンド』のデモ演奏です!🎶#未踏ジュニア U-17 クリエータ支援プログラム https://t.co/M4YivlsYRn pic.twitter.com/anMRozh4Oo
Poet ~詩人のための創作ツール~
単語を書き出す→整理する・まとめる→詩にする、という、自身の詩を書くプロセスから作った創作ツール。
メモ帳アプリのように単語を書き出して、階層わけや並び替えができます。
感想: 課題を分析して、どんなツールで解決できるのか考えて、丁寧に実装しているの良いなあと思いました。「言葉の宝箱」づくりを支援するというコンセプト、好きです。短文を作ってくれる機能もあったらいいかも?というコメントに対して、「コンピューターに任せるとクリエイティブなところが縛られてしまうのではないか」というような内容で答えていたのが印象的でした。
GUInfra〜GUIで建てるインフラストラクチャー〜
https://guinfra.app/
クラウドインフラむずかしい…の解決をめざすツール。
グラフ作成ツールでAWSの構成を作りながら学べるというものです。
感想: 私自身、インフラには詳しくないので、初学者向けわかりやすい学習ツールがあるというのは便利そうだなと感じました。分野は違いますが、私も作りながら学ぶ学習ツールの開発に関わっているので興味深かったです。
-Flight Fit VR- 「飛行」をテーマに仮想空間で身体を鍛えるVR作品
「飛行」をテーマに仮想空間で身体を鍛えるVR作品。手軽に自宅で継続できる運動方法があればいいなということで、運動できるVR作品の開発に。
3Dモデルはblenderで自作とのこと。初めにきれいな世界をVRで体験するというところから開発につながっていました。
感想: 機能・ゲーム性だけでなく、きれいな世界をつくるという表現部分に力が入っていて、見ていて楽しかったです。運動は苦手なのですが、継続できるような作品づくり、ぜひ頑張って欲しいです
PV🔽
ぶらっしゅとーく〜小さな子どものための筆談アプリ〜
高齢の祖父とコミュニケーションしたかったという自身の経験をきっかけに開発。文字が書けなくても筆談ができるというもの。
感想: ユーザビリティ、アクセシビリティを考慮して制作してるのいいなあと思いました。文字が書けないが読める、という段階があるのか若干疑問があったので調べたら、一般には「読みは4歳、書きは4~5歳」らしいので確かにありそう。ご自身の経験がベースにあって、発表もわかりやすかったです。
PV🔽
GliderGun - ブラウザOSを簡単に作成できるツール郡
「Linuxのディストリビューションを簡単に作成できるツール郡を提供」するものです。
感想: 知識不足であまり概要が理解できず。悔しい… 多分すごく便利なものなんだと思います…><;
ForceBook - つよつよ自作ノートPC
ロマンの詰まった自作PC!!実際に作ったPCで発表していました。タッチパネルでトラックパッドを実装しているので、画像も表示できるという。
感想: 発表最後で「作っていて楽しかったです」「興奮しました」といっていて、良いなと思いました。つくる楽しさ、大事にしていきたい。実物を見たらディスプレイ部分がすごく薄くてかっこよかったです(語彙力
Levo - 全く新しい近未来的デザインのエアソフトガン
「『怖い』『野蛮』というイメージから、悲しい思いをするケースがある」という背景があり、ネガティブなイメージを払拭するデザインのエアソフトガンを開発したというプロジェクト。機能面・視覚的デザイン面ともにこだわっている様子を感じられました。実際に使えるものになっているそうです。
感想: サバゲーやってみたくなりました。シンプルで明るい色となめらかな形で、触ってみたいと思うデザイン、惚れた。oculus quest 2っぽさありますね。質疑応答でサバゲー界隈の方からもコメントが来ていて、興味を持たれるくらいにしっかり作り込まれているんだなあと思いました。
Color Overlap-光の三原色RGBを使ったパズルゲーム
光の三原色(赤、緑、青)の色光を均等に混色する(重ねる)と白になる、という特性が、ゲームとして表現されているものです。未踏ジュニア応募前に完成していたScratch作品を元に、ゲーム性やストーリー性などを改善し全く新しいゲームアプリを制作したそうです。
感想: 色彩興味ある人間なので、気になっていたプロジェクトです。時間制限ある系のパズルゲームは得意ではないですが、ぜひやってみたいです。ストーリーや音楽、イラストも自作して、ゲーム内の世界観を作り上げているこだわりもかっこいいなと感じました。今後の展望について、色覚特性に配慮したデザインにしていくことが書かれていたのいいなあ
Spaghetian - 電気と電磁石だけでCPUを自作する!
自作CPUをつなげてネットワークにし、その上でオンラインピンポンゲームが動くという発表でした。CPUは魔法ではなく、理解できるものなんだよということを伝えられるように、電気と電磁石で自作するということにしたそうです。
感想: 実物が配信会場にあったのですが、迫力がすごい… あと、映像かっこよかったです。採択直後のツイートがバズっていたのも印象に残っていますね。個人的にクリエーターの方を前から知っていたので、プロジェクトがぶっ飛んでて驚きでした((
メンターの方が書いたnote🔽
動画🔽 (v 1.0 なのでちょっと前のです。かっこいいです。)
Rocat-~モデルロケットを使ったSTEM教育~
https://rocat.jp/
既存のSTEM教材はプログラミング教育に偏りがち…という背景があり、もっとバランス良い教材の開発を行ったというもの。
組み立て式のロケット、ロケットのデータを受け取れるビジュアルプログラミングツール(Blocklyベースだった)、データ可視化ツール、で構成されています。実際にワークショップを開催して、ユーザーの行動も観察して改善、というフローを回していました。さらに、教育者向けにカリキュラムを作成し使ってもらえるような工夫を重ねていました。
感想: 教育ツール、私の興味分野とわりと近いのでわくわくしてます。大きく分けて3つの機能(組み立て、プログラミングツール、データ可視化ツール)がありますが、すべて作り、更に使ってもらえる段階まで進んでいて、時間の流れがこのチームだけ違うのかなと思いました笑
それと、未踏ジュニア初の五人チームで、チームマネジメント力素晴らしかったです。質疑応答時もわたわたせず、スムーズにそれぞれが回答するというチーム力を感じさせる発表でした。
Visible ─ Webアクセシビリティー診断 & 修正提案ツール
https://visi.dev/
サイトの利用しやすさ(アクセシビリティ)を診断できるツールです。当事者でないと気づけないような問題を知り対応できるようなものとなっています。「身体的特性など、アクセシビリティに関する正しい知識を与え、対応を促す」という観点から、単に問題を報告するだけでなく、「なぜ問題なのか」という理由にも気付けるような工夫がされています。
感想: 修正方法もソースコードレベルで提案してくれるのでわかりやすいですね。期間中、サイボウズ アクセシビリティチームやfreeeのデザイナーさんなどにヒアリングをして、より良いものにできるよう開発を進めていました。見習おうと思います。
ユーザーインタビューの様子🔽
#未踏ジュニア に採択されたアクセシビリティ改善サービス『Visible (開発: @TheGodOfNeet)』のユーザーインタビューの様子を、許諾を得て #YouTube から一部公開しました!📺✨
— 安川要平/Yohei Yasukawa (@yasulab) October 24, 2020
目の不自由な方へのユーザーインタビューhttps://t.co/pEfnu7XxhH
協力:@cybozu アクセシビリティチームの皆様 🙏💖 pic.twitter.com/hN0Lf8v87u
まとめ
今年も、情熱を持って作られた様々なプロジェクトを間近で見ることができました。「動いて終わり、作って終わり」ではなく、使ってもらえるようにインタビューを重ねたり、更にロマンを突き詰めて改良したりと、動く前提のものが多くなっているのが印象的でした。
年々レベルが上がっていき(高レイヤーという意味ではなく)、毎年わくわくと驚きの気持ちを持ちながら、未踏ジュニアに参加しています。分野は違えど、「作りたいからつくる」という思いで制作していく様子は刺激になりました。
これからも、多くの優秀なクリエーターに未踏ジュニアというプロジェクトを伝えていきたいと思います。技術力や知識はまだまだですが、少しでも自分が未踏ジュニアに関わっていることで、より多くの人が新しい世界に出会えるならいいなと思っております。