【幼少期】父による母へのDV~離婚
両親は教師だった。
母は中・高の養護教諭で、父は小学校の先生。
この二人が日本で出会い、新婚旅行先のハワイでの出来事がきっかけで私と弟が誕生した。
弟とはいわゆる双子の関係で、二卵性にあたる。
お互いを初めて意識した瞬間は当然覚えていないが、それは恐らく劇的な瞬間ではなかったのか。
お互い顔を見合わせて固まるみたいな、産まれて初めて鏡を見て戸惑うみたいな。
それとも大したリアクションも取れなくて、何か自分と似た生物が近くにいるくらいの感覚だったのか。
親にとって双子を育てるというのは、非常に大変だったと思う。
一方がやっと寝たかと思えば、もう一方が起きて急に泣き出したりして、とにかく目が離せなかっただろう。
しかも今ほど少子化が喫緊の課題となり、子育て支援も今以上に充実していなかったと思う。
時代によって子育ての苦楽がどれほど大きく変わるのかはわからないが、ここまで双子を育てあげた母は尊敬に値する。
だが一方で、双子当事者の苦労もわかっていただきたい。
学生時代など常といっていい程比べられることが多かったし、おもちゃなど二分割して与えられないものを獲得するためには必ず争いが起こる。
恐らく弟も私も生まれ変わるなら、「来世は単胎でお願いします。」と神様に言うだろう。
母も双子を産んで、さぞかし人生に後悔しているのではないか、もっといい人生を送れたのではないか、そんなことを思っていた時期にふと、
「二人のおかげで、私の人生は退屈せんかったわ。」
高齢者になりつつある母は最近このようなことを呟いた。
この場を借りて母には深く感謝申し上げたい。
というのも私が3歳の時に、父のDVが原因で両親は離婚することとなり、母はシングルマザーとなる。
DVの内容については割愛したい。万が一母がこの内容を読んで思い出して、悲しい思いをしてほしくないからだ。
という訳で、父との思い出は記憶の中ではほとんどないのだが、我々双子には手を出さずにいてくれていたらしい。
そのような事情があり、私と弟は母片の祖父母の家に引き取られることとなる。
つづく。