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第8話:感情が人生を左右する

「あの人は感情的だから」「それは感情論」
など、感情という言葉は「冷静ではない」「不合理である」というような意味合いを帯びることがあります。

感情とは、それだけ「理性、道理を捻じ曲げてしまうパワー」がある、ということ。冷静な時なら見えるはずのものを、見えなくしてしまいます。

この感情ですが、ネガティブな場合はもちろんのこと、ポジティブな時でも視野を狭くし、理性を飛ばしてしまうもの。有頂天になったり調子に乗り過ぎると、判断に支障が出て失敗したりします。
また、ハイになった後はガックリと疲れるものですが、これは強い感情に引きずられ、エネルギーを浪費してしまうからです。

感情には、そういった無視できないパワーがあります。
ですので、取り扱い方が分からないと振り回され、チャンスを逃したり、大切なご縁を失ったり、余計な問題を作り出してしまいます。

しかし、だからといって「感情=ネガティブなもの」ではありません。
ダイナマイトと一緒で、殺戮行為に使うこともできれば、雪崩を人工的に起こして事故防止に役立てることも、ニトログリセリンを薬にすることもできる。要は「リソース」であり、全て「使い様」です。

そんな感情について、おじいは「感情は絶対に殺してはいけない。が、己の感情をコントロールし、相手の感情を汲み取れ」と言います。
そして、そのためには「原因と対象に注目せよ」。

ということで、まず「原因」について考えたいと思います。
感情が発生する基になっているのは、いったい何なのでしょうか。

生まれたばかりの赤ちゃんが泣くのは、空腹や寒さ、痛みなど、体験している状態が不愉快、苦痛であるからです。赤ちゃんは、そこでネガティブな感情を持ち、それが「泣く」という行為になって現れます。
この場合、感情の原因=状態・経験と言えます。
特定の体験によって、特定の感情が生まれる、というわけです。

図式化すると、こんな感じでしょうか。
体験 ⇒ 感情

しかし、人は成長するにつれ、記憶を持ち始めます。

過去を思い出すから、過去がある。
未来を想像できるから、未来がある。

この「ある」は「創造される」ということでもあります。
つまり、記憶があるがゆえに、人は何かを想像上で疑似体験し、それが「過去の事実」や「未来像」としてストックされるのです。

その際に「起こったこと、事実」だけではなく、そこで自分が得た「感情」も一緒に、パッケージとして保存されます。

そうすると、日々新しい体験をしていても、それが何らかの「過去の経験」を呼び起こす引き金となり、そこに付随している感情も一緒に蘇り、現在の感情に影響を与えることになります。

図式化すると、こんな感じ。
体験 ⇒ 過去の体験+当時の感情 ⇒ 意味付け ⇒ 今の感情

まだ起きていないこと(未来)に対する想像も、今持っている情報(記憶)が基になるので、あなたの過去の経験とそれに付随する感情・意味付けが、あなたの未来予測にも反映されることになります。

逆に言えば、記憶は人工的な創造物であって、事実・真実とイコールではない、ということです。

例えば赤ちゃんが、お母さんが来たらおっぱいをもらえたり抱っこしてもらえたりするので嬉しい。この場合「お母さんが来る=嬉しい」という意味付けが起こります。

同様に、椅子から落ちて痛い思いをしたなら「落ちる=痛い」、犬に吠えられて怖い思いをしたなら「犬=怖い」という意味付けが起こります。

そうやってお母さんが大好きだった子供が、ある日「もう1年生なんだから、一人で寝なさい」と言われ、とても悲しく、不安になりました。すると「成長すると幸せが奪われる」という意味付けが起こったりします。
同様に、ちょっと怖いな、と思いながらも勇気を出して犬の頭をなでようとしたら「ウーッ」と唸られたとします。すると「勇気を出しても拒絶される、上手く行かない」という意味付けが起こるかもしれません。

そんなふうに、生きて行くうちに様々な「経験と感情のセット」が、わたしたちの内面に溜め込まれていきます。
そして、溜め込まれた「意味付け」が次の行動に影響を及ぼし、それがさらにその「経験と意味、感情」を強化していくことになります。

例えば、過去に「成長すると幸せが奪われる」という意味付けをしている人は、成長できる機会が来ると何だかんだと言い訳をして、思い切って飛び込むことを渋るかもしれません。
結果、なかなか人として成長することが出来ず、それによって周囲の評価が低くなる。風当たりが強くなればなるほど、当人的にはさらに「時間の経過」とネガティブな意味、そして感情のコンボが強化され「年をとってもいいことなど無い」が「体験に裏付けされた事実」すなわち経験則となっていきます。

逆に、過去に思い切って挑戦した結果褒められたり、その後の道が開けた経験をしている人は、おそらく「挑戦・成長」とポジティブな感情がセットになっています。
そういう人は、新しいことにもわりと躊躇せず飛び込めるし、上手く行かなくてもまた挑戦しよう、と思うことができる。
結果、少しずつスキルがアップしたり地位が上がって、やりがいや充実感も増大。そんな人には「成長するって素晴らしい!」という経験則が固められていくでしょう。

(こちらの記事でも、その辺詳しく書いてました)

このように、あなたが「反射的に」感じる感情も、よくよく観察してみると、その「原体験」があるかもしれません。
上司が何かと口うるさく感じる人のネガティブな感情の原因は、一見その上司のようですが、深層レベルでは「口うるさく支配してきた(と感じた)親」かもしれません。
恋人ができそうになるとなぜか冷たくしたり、幸せになるのが怖い人の原因は、昔誰かに「ちょっと可愛いからと思って付けあがるな」と言われ、自分の存在が誰かを不幸にすると思ってしまった経験、なんてこともあるでしょう。

(魂パターンを深く理解していくと、この感情の持ち方にも体験以前の「元々の癖」があることも分かってくるのですが、ここでは割愛します)

続いて「対象」です。
先に「感情はリソース(資源)である」ということを言いましたが、おじいの言葉を借りれば「感情はエネルギーである」。

エネルギーである限り、抑えてしまったら暴発します。
なので「上手に」アウトプットする必要があるのです。

ということで「対象」です。
つまり「何に対して」使うべきか、という話ですね。

感情というエネルギーが、非生産的に使われる例を挙げると
‐ 嫌味
‐ 嫉妬
‐ マウンティング
‐ 悲劇のヒロイン
‐ 調子に乗り過ぎ
などがあります。

ここでエネルギーが使われている対象は「ねじ伏せたい・支配下に置きたい相手」です。
調子に乗る、というのは一見、支配と関係ないようですが、本質的なところでは「自分中心」で、要は他を含めた「全体」を「自分」の下に置いている状態と考えられます。

言い換えれば、こうした行為は全て「保身、自己中」だということ。自分が一番かわいい、自分しか見えていないのです。

こういうエネルギーの使い方をすると、だいたい人生は上手く行きません。
仮に力で周囲を支配したとしても、心の平安は得られませんし、付いてきてくれる人、助けてくれる人は減って行くので、ネガティブなスパイラルが起こって行きます。

逆に対象を「自分」ではなく「他」そして「全体」に向ければ、同じエネルギーも生産的に使えます。
個人攻撃をするのではなく、全体としての視点から、プラスになる方向に使うことが大切です。

実際の発動の仕方はいろいろありますが、例を挙げれば

‐ 怒り ⇒ 突進力・突破力(苦しい現状に負けるか!)
‐ 悲しみ ⇒ 共感力・寄り添い力に(あなたの思いが痛いほど分かる)
‐ 喜び ⇒ 共に喜ぶ(あなたが笑顔で嬉しい)

などがあります。

ということで、
「感情は強大なエネルギーである」
「感情を殺すのではなく、活かす」
「原因と対象に注目せよ」

感情の取り扱いスキルを向上することで、あなたの人生は好転するはずです。

補足になりますが、怒りや悲しみを「昇華」させることが難しくても「消化」は比較的簡単にできます。
具体的に言えば、体を動かしたり歌ったり絵を描いたりして外に出す、発散することです。枕を叩くとか、紙に不満不平を書き出してから破って捨てる、とか、ちょっとバイオレントな行動でもいいのです。

感情の「はけ口」を「人」ではなく「行動やモノ」にするだけで、エネルギーの負の連鎖作用が避けられます。言い換えれば、感情で人を傷つけることはしてはいけない、すれば何らかの形で、自分に不利益となって返ってくる、ということ。

これは倫理とか道徳以前に、エネルギー作用の話だと、おじぃは言っています。

(おじいの教えについて詳しく知りたい方は、「魂の掟」原本を読まれることを推奨します)

第9話:数字の意味

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