ピアノを弾いてくれる？　リャードフの〈プレリュード〉。


　絵里香の心の声が伝わるか伝わらないかのうちに、大広間のベーゼンドルファーが静かに鳴り出した。


　ふしぎね。最初に聞いた時より、もっとロマンティックに聞こえる。


　ピアノの脇に寄り添って立った絵里香を、クラウスはふと見上げた。少しの間、時間が止まるかのごとく、彼の手も、音楽も、ゆるやかに動きを失った。まるで止まりゆくオルゴールのように。
　２人の瞳と瞳が溶け合い、無限の時がそこに生まれる。それは、２人の人間が同時に恋に落ちた魔法の瞬間だった……。


　　　　　米　　　　　米　　　　　米



「額縁幻想」の劇中、ヒロインの絵里香を幻想絵の世界から救い出すクラウスによって、２度、この曲が奏でられます。優しく、とてもロマンティックな雰囲気で。

　安斎 航 さんが、「微笑みの額縁」、「ハプスブルクの鏡」に続いて、今回も、美しいテーマ曲を特別に録音して下さいました。

　リャードフ作曲　 プレリュード Op.57-1

　イメージも本当にぴったりで、この物語と、読者の皆さまの為の、最高の音楽の贈り物となりました。

　音楽物語としての『額縁幻想３部作』は、これで完結です。安斎さんの素敵なピアノの調べと共に、物語の世界に想いを馳せて頂けますと幸いです♪